*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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※このエドさんは男の子です
「はがねのー」
語尾にはぁとが付きそうな猫なで声で名を呼ばれると人間は脱力するらしい。
しかもそれがかなり年上で同性の上司だと尚のこと力が抜ける。
いっそこのまま無視して司令部に行っても良いだろうか?そんな現実逃避をしてしまう俺を誰が責められよう。
などと考えている間に人の気力を根こそぎ奪った上司は満面の笑みを浮かべながら近づいて来る。
「元気そうだね鋼の。逢いたかったよ」
「............あー、ひさしぶりー」
若干目を合わせないように挨拶を返す。
いや今目を合わすとコイツ色々とマズイんだって。
前におもいっきり睨み付けてやったら「そんなに見詰められると照れるじゃないか」とか言って頬を染めやがったんだ。
ぶるり。あぁぁぁぁぁぁ思い出しただけで鳥肌が立つ。
記憶から抹消したい出来ごとのひとつだぜ。
頭から無理矢理その光景を追いやったときさっきまで隣りにいたアルフォンスが居ないことに気付いた。
きょろきょろと周囲を見渡せば通りを挟んだ向こう側にトランクを持って立っていた。
そして俺と目が合ったのを確認した瞬間、生身ならそれはもう素敵な笑みを浮かべた弟が叫んだ。
「兄さーん、僕これから今日の宿の手配と図書館に行って来るから〜。あと夜はミーちゃんやみやぁちゃんたちとデートしてるから僕のことは気にしないで〜!!あと、大佐に迷惑かけちゃだめだよー!!大佐〜返却はいつでも良いですから〜!!」
「あ、こら待て!お前は兄を見捨てる気かーーーっ!!あるぅぅぅぅぅぅ!!」
「良い義弟(おとうと)だなぁ、アルフォンスは」
じゃ!と猛ダッシュして去っていった弟に気を取られている間に問題の上司は俺の直ぐ隣りに迫っていた。
義弟ってなんだ、アルは俺の弟だぞとは思うけど言わない。
だって前に「いずれ私と君が結婚したらそうなるんだから良いじゃぁないか」って真顔で言いやがったんだぜコイツ。
というか何してやがる。その腰に置いた手をどけやがれ。
ダメだと判っていたハズなのに思わず睨み付けてしまった俺に奴は「相変わらずつれないね」とかほざきながら顳かみにキスしてきやがった。
あぁ、もうコイツは.........
「お帰り、エドワード」
「..........................おう」
ようやく返した返事に笑うと大佐は「行こうか」と俺を促し歩き出した。腰を抱いたまま。
いや判ってたけどさ。
「どれにする?このイチゴのパフェが1番人気だそうだが?」
「あー、じゃぁそれで」
「シフォンケーキセットもどうだい?」
「へ?あぁ旨そうだなぁ」
あれからスイーツが美味しいと評判の店に俺を連れてきた大佐。
君、甘いもの好きだろう?と微笑んだ大佐に見蕩れたなんて言ってやらねぇ絶対。
自分が素直じゃないことも目の前で笑顔でアイスを頬張る男が俺を、あ、愛しちゃってることも知ってるけど毎回イーストシティに帰って来た時に繰り広げられるやり取りにコイツも俺もよくやるよなぁと半分は自分のことながら呆れもする。
「今回の旅はどこに行っていたんだい?」
「どこって報告したじゃん、西部のルスカルドって街の錬金術師のとこだよ」
「それは聞いたな。途中にあるのはその街だけじゃないだろう?」
「...........そんなん聞いて楽しいもん?」
「楽しいとも。普段見れない君たちのことだからね」
照れもせずというか本気で楽しそうに笑う大佐にやっぱ本気で脱力する。
街の中だとか人の目だとか色々あるんだけど、コイツのこんな顔が見れるんなら何かもうどうでも良いやって気分になってくるから不思議だ。
絆されるってこういうことを言うんだろうなぁ。
俺の旅の話に相づちをうち、眉をひそめ、心配し、拗ね、考え、そして笑う大人が好きだと思う。
目が合うと「どうした?」と優しい目で訊ねるアンタを見てたら胸の奥から穏やかで温かいものが溢れてきた。
あぁ、ここが俺の帰る場所だ。
「ただいま、ロイ」
自然に出てきたその言葉にアンタは一瞬目を見張ってそして幸せそうに笑うんだ。
end
某方のお誕生日に捧げるために書いた作品の片割れをリサイクル(笑)
ちょっと書き直しもしつつ........流行のエコですよねエコ
(エコって打とうとしたら手が打ち慣れたエドを打つww)
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※パロですご注意ください※
むかーしむかし、東の都のさらに東に位置する所にリゼンブールという村がありました。
特に大きい村ではありませんでしたが、昔から優秀な織物師が育つと言われておりました。
中でも一番優秀な織物師を「織り姫」と呼び、その者が織る織物は天帝に献上されるほどの品で
リゼンブールの「織り姫」と言えば国一番の織物師と同等の意味を持っていたのです。
当代の織り姫はとっても働き者の少女で、先代織り姫の愛娘でもありました。
その少女は艶やかな金色の髪と蜂蜜を溶かし込んだような深い金色の瞳を持ち、弱き者には優しく
悪しき者に負けぬ強さを持ち、その容姿はとても美しいと有名でした。
しかし彼女は幼くして両親を亡くしたせいか己の容姿にはまったくの無頓着で、沢山の求婚者たちには
目もくれず、というよりは気付きもぜず、たった一人の弟を養うため懸命に働く日々を送っておりました。
彼女には一度集中すると他の事が一切頭から抜け落ちる悪癖があり、寝食を忘れ夜通し機を織ったり
珍しい文献が手に入った際、読み終わるまで手放さず倒れかけることもしばしばあったのです。
そんな彼女をずっと傍で見ていた弟は思いました。
このままではいつか姉は過労死してしまう。そんなことになるま前に何とかしなくては.....
そうだ、優秀だけどちょっとサボり癖のある男と結婚させてしまえば良いんだ!!
他の人が聞いたら思わずそれで良いのか!?
とっつこみたくなる事を思い付いた彼は早速、姉の結婚相手を探すことにしたのでした。
一方こちらは東の都でも最大の都市、イーストシティ。
そこでひと際大きな建物は天帝のおわす城で=通称、東宮(ひがしみや)と呼ばれておりました。
その宮の一室で膨大な量の書類に囲まれ執務に明け暮れている男がおりました。
男はぬばたまの黒髪と深く吸い込まれそうな漆黒の瞳をしていました。
毎日、裁いても裁いても沸いてくる書類に辟易していたその男は、明日できる事は明日する!
をもっとうに仕事をよくサボるのでありました。
これに困るのは彼の配下たちです。
役に立たないただのボンクラならば切って捨ててしまえば良いのでしょうが、彼の物事に対する判断能力も
有事の際の統括力も完璧。
人を惹き付けるカリスマ的魅力も持ち合わせており、普段のサボり癖さえなければ最高の上司なのです。
側近たちは考えました。
この困った上司が普段の生活において、持ち合わせた実力の半分でも発揮させるにはどうすれば良いのだろうかと。
上司の親友は言いました。
アイツの舵を取れる賢い嫁でも見つけてみたらどうだと。
確かに一利ある。
そう思った側近たちは早速、上司の結婚相手を探すことにしたのでした。
こんな冒頭で始まる七夕パロはどうだろう?
しかしこの一癖も二癖もある上司の舵を取れる女性とは中々居ないもので
側近たちが上司の嫁探しを初めて早半年が経過しようとしていました。
「はぁ..........ダメっすねぇ」
「そうね」
資料を手に大きな溜め息を吐いたのは、ジャン・ハボック少尉。
短く揃えた金髪のヘビースモーカーな男で、人に好かれる笑顔を浮かべる男だ。
ハボックの言葉に同意したのは、リザ・ホークアイ中尉。
クールビューティーを体現したように東宮の女性の憧れのお姉様的存在で、麗しの鷹の目
なんて呼ばれることもしばしば...女性らしく長い金の髪をバレッタでひとつにまとめている。
「大佐の外見と地位のおかげで寄り付く女性は多いけれど、そういう人は、あらかさまに媚を売るから
大佐の中で遊びと割り切られてしまうし、私たちもそんな馬鹿を大佐の妻に押すわけにいかないわ」
「大佐のことをちゃんと理解して、且つ癒してくださるような女性でないとダメですよね」
リザの辛辣な言葉にも笑顔で意見を述べたのは、ケイン・フュリー曹長。
黒縁の眼鏡を掛けた小柄な男性で小動物を彷彿させる。
「しかし、イースト中の女性を調査しても上司の奥方に相応しい方が見付からないのですが.....」
「う〜ん.....範囲をイーストシティ以外にも広げるか?」
困ったように意見するのは、ヴァトー・ファルマン准尉。
歩く辞書とも唱われる知識を有した彼の脳内には今まで調査した女性の報告書が入っているが
何度見返しても上司の妻になれる女性は存在しないようで、普段から細い目を更に細めて悩んでいる。
同じく悩ましい声をあげたのは、ハイマンス・ブレタ少尉。
知略に富んだ参謀である彼は、現状を踏まえた上で次の段階を示唆している。
「しっかし、イースト以外って出逢えるもんっすかねぇ?」
「視察を増やしてみてはどうでしょう?」
「サボる口実を与えるようなものだわ」
「でもその方の普段の生活を見ない限りは、大佐に相応しいか判断できませんよね?」
「..............仕方無いわね。何とか調整してみるわ」
ブレタの提言に伴い、イースト以外の女性の調査もすることにした彼ら。
その前に立ちふさがったのは件の上司のサボり癖。
しかし上司の警護も仕事に含まれる彼らがイーストを離れるには上司を伴うより他無い。
全員が深く大きな溜め息を吐いたことは言うまでもなかった。
「姉さん、織り物コンテストに出品してみない?」
「はぁ? なに言ってんだ?」
一方こちらはリゼンブール。
弟の突然の提案に姉はおもいっきり眉を顰める。
そんな姉の反応を予想し切っていた弟は、コンテストのポスターをでかでかと広げる。
「だって、姉さんっ!出場者はイーストシティへご招待なんだよ!!」
「ふーん」
「ふーんって、興味ないの!?」
「べつにー」
「この招待してくれる時期って丁度、シンの錬丹術の展示会やってるんだよねぇ」
「なにっ!?」
「それに、招待ってことは『タダ』で』イーストシティに行けるってことだよね?」
まったく興味を示していなかった姉から興味を引き出すなんてこの弟には造作のないことであった。
新しい知識の欲求と、なにより『タダ』という言葉に姉は弱い。
「イーストシティ国立図書館にも行ってみたいなー、僕」
「アル」
「なに姉さん?」
「コンテストっていつだ?」
「1ヶ月後。ちなみに柄は指定品目の中からの選択制で、使う糸は自由。出品は1人2点まで」
「任せろ、アル!!俺がきっちり優勝してイーストシティに連れてってやるっ!!」
待ってろーーーっ!!と叫ぶと、彼女は機を織るために自室へと篭った。
そんな姉の後ろ姿を見送ると、弟はしたり顔で微笑んだ。
「本当に何も見えないのか?」
「あぁ、そのようだ」
心配そうに訊ねたエドワードに返ったのは静かな肯定の言葉。
何でもないように言われたその言葉にエドワードの顔が曇る。
あのホムンクルスとの戦いでロイはその視力を奪われた。
それは理不尽な奪われ方だった。
人体錬成を己の意志で行った自分たちは当然の報いだと思う。
でもホムンクルスの都合で人体錬成など望んでいなかったロイが一方的に真理に対価を奪われるとは、それが真理だなどと到底許容できるハズが無い。
エドワードは壊れることを恐れるように、そっとロイの頬に触れた。
手に伝わる温もりが、自分もロイも生きているということを実感させてくれる。
そんなエドワードの様子に少し困ったように首を傾げる。
「.....何?」
「いや...........君から私に触れてくれるなんて中々なかったシュチェーションだなと」
「アンタ、バカだろう」
「酷いな君。私は久々に恋人と二人っきりの時を過ごせると喜んでいるのに」
「...........やっぱりバカだよ、アンタ」
泣き笑いのような表情になったエドワードの口から発せられるのはいつもの憎まれ口。
ちょっとだけ今の顔をロイに見られなくて良かったと思うエドワードだったが、ロイには例え顔が見えずともエドワードが何を考え、どんな表情なのかは手に取るように判る。
「君だけが見えれば十分だよ」
そう茶化し笑うロイにエドワードは「はぁ!?」と怒りの目を向ける。
アンタさっき何も見えないって言っただろうが!!と叫ぶエドワードに対しロイは自信たっぷりに応える。
「君の顔なら心の瞳でしっかり見えるとも」
「..............っばっかじゃねーのっ!!//////」
「そんな真っ赤な顔で睨まれるとイタズラしたくなるな」
くすくすと笑うロイが本気んんだか冗談なんだか判らずエドワードは口を閉じる。
こういう時に口を開けば墓穴を掘りまくって流されることは判り切っている。
流されてなるものかという思いを篭めて睨み付ければロイはようやく笑いを引っ込めた。
「茶化してんじゃねーぞ」
「冗談で言ってる訳じゃないよ」
「じゃーどーいう意味だ」
「君の目に世界はどう見える?」
怒りを孕んだエドワードの言葉に今度は真面目に応えるかと思えば、質問を質問で返すロイ。
顳かみに青筋が浮かびそうなエドワードに「そうじゃない」とロイは言う。
「私の目にもう何も映ることが無いのだとしても世界は止まっている訳じゃぁない。もちろん私の時間(とき)も望む望まないと別として容赦なく進んで行くだろう。目が見えない、ただそれだけのことで立ち止まっている時間は私にはないのだよ、鋼の。それにこの国に目が見えない人が何人いると思ってるんだ?片腕や片足のない人は?難病を患っている人は?その人たちはただ嘆いて暮らしているのか?違うだろう?人というものは意外にしぶといものだ。私の目が見えないなら他のものの目を借りればいい。幸いにも私の周りには中尉しかりハボックしかり支えてくれる部下が居る。私を支持してくれる街の人たちが居る。だから私の目が見えずとも彼らに聞けば良いんだ。今、国はどうなっている?と。ほら大したことじゃぁない」
穏やかに笑いながら言うロイの言葉は一理ある。
足が片方なくても生きてゆける。腕が片方無くとも未来は攫める。
その人たちは決して不幸なんかじゃぁない。
けれど、国のトップに立とうとする人間が目が見えないというのはこの権力争いの中では致命的なことのハズだ。
でも...........それでもアンタは笑うんだな。
トップに立つことを諦めずに、足掻き続けるんだな。
エドワードはロイと初めて逢った時のことを思い出し眩しそうに目を細めた。
世界の全てを遮断して生きる屍と化していた自分の前に現れたこの男は、漆黒の髪と瞳をしていたにも関わらずエドワードには鮮烈な光そのものだった。
一度全てを諦めた自分が再び立ち上がることができたのはロイの言葉があってこそだ。
途中、崩れそうになった時も支えてくれたのはこの男だった。
エドワードは取り戻した右手をぐっと握り込むと、真っ直ぐにロイを見据えた。
「俺が、あんたの目になってやるよ」
「鋼の..........」
エドワードのその真摯な言葉にロイはあとの言葉が続かない。
確かに自分は言った「他のものの目を借りればいい」と。
だがエドワードの言葉にはそれ以上の意味がある。これはきっと自惚れではないハズだ。
ソファに座ったまま動けないでいるロイの前に立ちその手を取り自らの胸に抱き込む。
「俺があんたを支えてやる」
end
お、おかしい。ギャグの予定だったのに....エドさんが格好良すぎる所為だw
もう感動したロイさんに押し倒されちゃえば良いよ☆ってことでおまけ
どさっ
「ち、ちょっと! なぁ、おい。アンタ目見えてないんだから大人しくしてろって」
急にソファーに押し倒され焦るエドワードを無視し、ロイはエドの手首を攫み引寄せるとその掌に口付けを落とす。
驚いてロイを見つめるがロイの瞳は閉じられたまま。
一体どうしたんだと眉を顰めたエドワードにロイはゆっくりと瞳を開いた。
「エドワード」
「っ!! あ、アンタ目が.....?」
「いいや、残念ながらまったくもって見えないとも。君の顔も、攫んだこの腕さえも.....」
「..........たいさ」
「こら、そんな顔をするんじゃない」
「そんな顔って...................見えない癖に」
見えるのか!? と意気込んで思わず声を上げたエドワードだったがロイの言葉に顔を歪ませる。
そんなエドワードにロイは穏やかに笑う。
アンタ何でそんな顔で笑えるんだよ。
勝手に人体錬成させられて、勝手に光を奪われて、なのになんで.....
ホムンクルスとの戦いの時、ロイに何もしてやる事が出来なかった不甲斐ない自分に、理不尽な等価交換をさせられたという悔しさに エドワードの瞳に涙が溜まる。
まるでそんなエドワードの心の声が聴こえたかのようにロイはエドワードの頬を優しく撫でる。
「そうだね。でも、君が私に世界を見せてくれるのだろう?」
ロイの言葉にエドワードは瞳を瞬く。
ゆっくりと顔を上げたエドワードにロイは「違うのかい?」と訊ねる。
そこにあったのは、いつもと変わらないニヤリとした笑み。
自意識過剰で胡散臭くて子憎たらしくていつだって自信満々なロイ・マスタングがそこに居た。
「っぅ.......っう........................ひっく」
もう止まらなかった。
エドワードはただ子供のように泣いた。
あとからあとから溢れ出す雫は留まる事を知らずその頬を濡らしてゆく。
「困ったな...............エド、エドワード? 泣き止んでくれないか?」
「っうう.......っう」
ソファの上に座り直しエドワードを膝に抱き上げたロイは、その止まらぬ涙を拭い、背中を撫で、頬や額に口付けを落としながらエドワードが泣き止むのを根気強く待った。
そして漏れる嗚咽が小さくなってきた頃、ロイはエドワードに声を掛けた。
「エドワード、君に尋ねたい事がある」
「.................んだよ?」
大泣きした事が恥ずかしいのか、拗ねたような返事のあと金色の頭が持ち上がる。
そんな見えなくても判るエドワードの気配にロイはまた笑う。
「きっと大変だと思う」
主語の無い言葉にエドワードは首を傾けるが、ロイはただ淡々と言葉を紡ぐ。
「色々と迷惑を掛ける事が沢山あるだろうし、今までと違って出来ない事だって増えるだろう。このまま今の地位に居られる保証も無い....それでも君は隣りに居てくれるかい?」
「俺は」
応えようとした声を制しロイは先ほどのエドワードと同じように、その手を握り自らの胸に引寄せた。
その姿はまるで、何かを誓うかのように.....
「これから先の人生を、私と共に歩んでくれるだろうか?」
闇色の瞳に真摯な想いを乗せロイは訊ねた。
対する金色の瞳に浮かぶのは愛しさと喜びとが折混ざった美しい笑顔だった。
end
おまけはガンガン6月号を読んで沸いた妄想(笑)
あの最後から3ページの「鋼の」これだけで妄想し放題ですともvvv
「疲れた」
自宅の扉に鍵を掛けた後に零れたのはその一言だった。
重いブーツを脱ぎ、着崩す事さえ許されない軍服を脱ぎながらリビングへと続く廊下を進む。
既に年が明けてから1週間、年末から数えれば3週間振りの自宅だ。
まったく例年の事とはいえ、年末年始の忙しさには辟易させられる。
辿り着いたリビングのソファーにドサリっと身体を預ければ、後はもう動きたくなかった。
手に持っていた軍服の上着が床に滑り落ちた音がする。
拾うのも億劫だ。
こんな時に思い出すのは金色の仔猫.....いや、仔猫というには些か凶暴すぎるか。
キャンキャンと仔犬のように騒がしいその姿を思い描いただけで笑みが零れる。
しかし、ほんの少し考えただけで、やさぐれていた自分の心が軽くなった事が判る。
良くもまぁここまで溺れたものだと思う。
こんな事は今までで初めてだった。
今まで付き合って来た女性が居なかった訳では無いが、恋と呼ばれるものはしてこなかった。
美しいとか可愛いなどの褒め言葉は口にしても、愛してると囁いた事はない。
こんな事が君に知れれば、きっと最低とか女の敵とか言われるだろうな。
そんな言葉さえ君が私に向けて放ったと思えば嬉しいのだからもう手に負えない。
逢いたい。
今、君はどこに居るんだろうか?
機械鎧は気温の変化に弱い。
特に冬はその冷たさが身に凍みて痛いと聴く。
どこか温かい場所に居ると良いと思う。
旅先で出逢った人達と楽しい年明けを迎えられたのなら良かったと思う。
リゼンブールに戻って、幼なじみの彼女の家で過ごしたのでも良い。
君が笑っていたのなら。
でもひとつだけ叶うなら、今君に逢いたい。
「......いかんな、少々疲れ過ぎたか」
自分の思考回路に苦笑し呟いた声は情けない程に弱々しかった。
これはもう寝てしまうのが良いだろう。
風呂に入ってベッドで寝た方が疲れは取れるは判っているが、疲れた。
そこで私の意識は途切れた。
「...ぃ.....ぃさ」
はがねの?
「大佐」
途切れ途切れに聞こえた声が鋼のの声に聞こえ、訝む。
そして思い当たる。
あぁ、これは夢か。
今年は中々縁起が良いかもしれない、初夢に鋼のが出て来るなんて。
忙しかった私へのご褒美だろうか?
なら遠慮なく受け取るべきだな、うん。
寝ぼけた頭でというか寝ているのだからこの表現はおかしいか?
まぁ良い。とりあえず夢なんだし、現実では絶対にさせてくれないだろう事を試してみよう。
そう考えた私は声のする方へ腕を伸ばした。
「うぉぉぉっ!?」
色気の無い悲鳴が上がるのも君らしい。
温かく小さな身体を腕の中に囲い込み至福の一時を感じる。
もぞもぞと腕の中で動く感覚はまるで本当に鋼のを抱き締めているようで笑みが零れる。
「起きろって言ってんだろうが、この無能っ!!!!!」
.......何だか有り難くない呼称が遠くから聞こえた気がするが、全てを無視してロイは眠りについたのだった。
end
1月入って1週間くらいから書き始めたのに、仕上がったの2月とか.......
調子悪いにも程がある。
アンタが大総統になったら返してやるよ
あれから5年.....未だ約束は果たされていない。
決して深くはない眠りの中で、パタパタと動き回る足音が聞こえる。
家の中に自分以外の誰かが居るという事に違和感を感じなくなったのはいつからだろう。
食欲中枢を刺激する美味しそうな香りは野菜たっぷりのスープだろうか?
早く食べたいとは思うものの、今朝方眠りに付いたばかりの身体はまだ眠りを欲している。
そんな事を考えながらベッドの中でウトウトしていると、可愛らしい足音がこちらへと向かって来るのが判る。
眠ったばかりの自分を気遣ってか、いつもより小さめなその音に思わず頬が緩む。
そぉっと開けられたドアからひょっこりと金のアンテナが覗く。
「えど.....」
「.....起きてたのか?」
「さっき」
「飯、作ったけど.......食う?」
「んー」
眠くて頭が回っていないのか、口から出るのは単語だけだった。
エドもそれが判ったらしく遠慮がちに聞いて来る。
どちらも捨て難く悩んでいると、スプリングが軋む音がした。
エドがベッドの縁に腰掛けたらしい。
起きて食事にするかな、と思ったその時に髪を撫でる優しい手が降りて来た。
さらりさらりと撫でられるその感触に、再び意識が遠退きかける。
こんな優しくて幸せな時間を過ごせる日がくるなんて思いもしなかった。
こんな.......
「前に.....小銭を、貸しただろう?」
思いの外はっきりとした声が出た。
一瞬止まった手は、続きを促すように再び頭を撫で出した。
「君は、私が大総統になったらと言ったね」
「言ったな......それが?」
「うん.....利子をくれないかなぁと思って」
私の言葉が意外だったのか「はぁ!?」と驚いた声がする。
ゆっくりと瞳を開ければ、私の真意を量るような視線と交差する。
ダメかい?と重ねて問えば君は実に豪快に笑った。
「いいぜ。全部まとめて返してやるよ」
「いや、できれば利子は分割で」
「分割ぅ?アンタ意外にケチくさいのな」
「酷いな」
「別に分割でも良いけど、520センズの利子なんて知れてるぜ?」
「構わないよ」
苦笑しながら言う君に、同じく笑いながら私は身体を起こした。
ちゅ。
毎日キスを1つ。
私が大総統になるまで払ってくれたまえ。
end
「なぁ」
「何だね?」
「.........なぁってば」
「だから何だね?」
パラリ、パラリと捲られる書類の音が響く室内で会話とも言えないようなやり取りが行われている。
既に数回繰り返されたその会話はエドワードの機嫌を悪くするに十分だった。
自宅に書類を持ち帰らねばならぬ程に忙しいことは知っていた。
立続けに起こったテロでずっと司令部に詰めていて家にも一週間以上帰れていないと聞いたのが今朝のこと。
それでも恋人である自分と共に居る時間を増やす為に自宅に仕事を持ち帰ることを条件に帰宅の許可を取り付けたことも知っている。
帰りの車の中でも、デリバリーした食事の最中も、書類を片手に持っていたのはそれほど早く終わらせたいからだ。
そして今も書斎ではなくリビングのテーブルで書類を見ているのだってエドワードが一人にならないようにと気遣ってのことだ。
それは知っているし理解もしている。
しかしだ、自宅に居るというに一向に自分に向けられる事のない瞳にエドワードはいい加減焦れていた。
勝手だという事も、我侭だという事も、全てを承知している。
イーストシティーに帰って来たのが数ヶ月振りなのは自分の生活の所為。
その間の連絡といえば月一回の定期報告の電話のみ。
もちろん軍の回線は盗聴の恐れがあるので迂闊な会話は憚られる。
しようと思えばできたロイの自宅への連絡をしなかったのはエドワードの選択だ。
だから自業自得。
そう理解しているからこそ今朝から何一つ文句を言う事なくロイの隣りで過ごしている。
あと数枚........いや十数枚の書類にサインし終わればロイの意識はエドワードに向くであろう。
でももういい加減無理だ。
その時、何かがエドワードの中で切れた。
「大佐」
聞こえないように小さくひそめた声でロイを呼び立ち上がるエドワード。
真剣に書類に向かっているロイは気付かない。
足音も気配も殺さずごく自然にエドワードはロイの側に寄ると両手を大きく振り上げた。
ばんっっっっっっ!!!!
突如上がった盛大な音と振動にロイは思わず身を引いた。
一体なにが.......と書類から少し視線をずらせば、そのすぐ横にあるのはエドワードの両手。
ゆっくりと顔を上げてゆけば無表情な恋人の顔。
しまった、放っておきすぎた。
そう理解したロイが万年筆を置き立ち上がろうとした瞬間、エドワードがロイの胸ぐらを攫むと勢い良く引寄せた。
「いい加減、俺を見ろ」
ガンっと睨み付けながらそういうと目を見開いたまま驚きで固まっている男をもう一度引寄せた。
「驚いたな............でもたまには良いかもしれないな」
「何が?」
有に数十秒は呆然と固まっていたロイがようやく絞り出したのはそんな言葉だった。
ロイを驚かせて少し機嫌の良くなったエドワードがそれに首を傾ける。
「こんな風に君が私を求めてくれるというならば少しくらい仕事が忙しくても良いかなと」
「..................俺はヤダ」
再びムッとした表情になったエドワードに笑って今度はロイがゆくりと身を屈めた。
やっぱりたまには良いなと心の中で思いながら.......
end
お題:「夜のベッド」で登場人物が「ひっぱたく」、「吐息」
という単語を使ったお話を考えて下さい
という単語を使ったお話を考えて下さい
「アンタサイテー」
14も年下の、しかも自分が庇護すべき少年から言われた言葉は鋭いナイフの様に私の心に刺さった。
だが私がそれに反論する事などできるはずもない。
昨晩というより、つい先程まで彼を組み敷き、本能のままに貪っていたのだから。
告げるつもりすら無かったこの想い。
私は細心の注意を払って彼に接していた。
イカスカない胡散臭い上司の仮面を被り忌憚なく会話できる関係。
それが決壊したのは昨日だった。
彼らが予告なく戻って来たのは昨日の昼過ぎ。
彼の為に取り寄せた稀少本は、自宅に置いたままだった。
それを言うと彼は、私の家まで取りに来ると発言した。
その警戒の無さに、今までの自分の苦労が無駄では無かったと安堵したと同時に少し落胆もした。
だが彼が家に訪れるという事は嬉しく、今思えば浮かれていたのかもしれない。
書庫に案内した時の嬉しそうな顔にほんの少し欲が沸いた。
その場で渡した本を広げ読み出した彼の頬に手を伸ばし、身を屈めた。
不意に触れた体温と、射した影に彼は顔を上げる。
金色の瞳に自分だけが写り込んでいる事に酷く満足したのを覚えている。
瞬きひとつ。
何?とでも言いたげな瞳を無視し、私は唇を重ね合わせた。
見開かれる瞳。
どこか遠くで本が床に落ちた音が聞こえた気がする。
一度合わせれば満足するかと思われた唇は、逆に更なる餓えを抱かせた。
半ば意識を飛ばした君を寝室に連れ込み、押し倒した。
私の理性は既に限界で手加減などできなかった。
熱い吐息が君の唇から漏れる頃には、私も我を忘れて溺れていた。
そして気付いた時には、ベッドの上で意識を飛ばしている君が居た。
もう終わりだと思った。
今まで築いて来た関係は崩れ去り、君に嫌悪の瞳で見られるのが怖かった。
これが最後だと思ったから、ずっと君の寝顔を見詰めていた。
そして朝起きた君の第一声に打ちのめされた。
謝らなければと思えど、何も言葉が出て来ない。
何も言えない私に君は指で来いと合図する。
殴られるのだろうと思ってゆっくりと彼に近付いた私は、どんな断罪も受け入れるように瞳を閉じた。
ぺちん....思って居たより遥かに優しいビンタだった。
その事にビックリして瞳を開ければ、睨んでくる鋭い眼光。
あまりに情けない顔をしていたのだろうか?そんな彼の瞳が緩んだ。
「は...はがねの?」
「アンタサイテー」
もう一度繰り返された言葉はあまりにも優しかった。
end
ロイエドさんにオススメのキス題。シチュ:自室、表情:「目を瞑る」
ポイント:「顎に手を添える」「相手にキスを迫られている姿」
ポイント:「顎に手を添える」「相手にキスを迫られている姿」
いったいなにがどうなってこうなったのかだれかわたしにせつめいしてくれないだろうか?
ロイ・マスタングの脳内はただその一言に尽きた。
ここは自室でもって寝室であり先程まで自分は安眠を貪っていた。
眠る前と何ら変わりない部屋に、たった一つだけ異彩を放つモノが存在した。
それは何故か自分の腹の上に跨がりこちらを見下ろしている。
「...は...がねの?」
何とか絞り出した声は酷く掠れていたように思う。
どこか現実逃避したような事を考えていると、エドワードがロイの顎に手を添えしっかりと視線を合わるよう見つめてきた。
ちゅ
.....それは本当に一瞬の出来ごとだった。何か唇に柔らかいものが押し当てられ離れて行った。
ホンの僅かなその温もりを酷く惜しいと思ってしまった事に内心狼狽えた。
視線を上げれば艶やかな笑みを浮かべたエドワードと目が合う。
その瞬間、強く美しい金色の瞳がロイを完全に捕えた。
「俺、アンタが好きだ」
そう言い切ったエドワードの顔が再び近付いてくるのを、ロイはただ目を瞑る事で受け入れた。
end
今日が休みならば……何度そう思った事か。
ベッドの脇に腰掛けたまま、随分と長い間ロイはそこに居た。
カーテンの隙間から零れる光の中、未だ夢の中に居る昨日までは保護すべき子供であった愛すべき人を見、ロイは幸せそうに笑う。
「エド」
小さく呟いたロイは、まろい頬に1つキスを贈った。
優しく髪を撫でると寝ている筈のエドワードの顔が幸せそうに緩む。
その事にまた1つ幸せを感じたロイが額に口付けを落とすと、その感覚にエドワードは薄く瞳を開いた。
「たいさ?」
寝ぼけている所為か、どこか舌っ足らずな声でロイを呼ぶとエドワードは、ほにゃりと笑み崩れた。
「たいさが………」
「ん?」
「たいさが、ゆめ……に、でてくるなんて、きょう……は、いいこと………あるかも」
そんな可愛い事を言った後、エドワードは再び眠りに落ちた。
後に残されたのは、頬を赤く染め「やられた」と手で目を覆うロイだけだった。
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