忍者ブログ

*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

2025/03    02« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  »04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





「ところで鋼の、君上着をどうしたのかね?」
「あぁん?」

ロイの問い掛けにエドワードは訝しげに眉をひそめる。

「上着だよ、いつものコートはどうしたんだ?……はっ!ま、まさか誰かに脱がされたんじゃぁっ!!だ、誰だね!!言いたまえっ!!!!」
「アンタじゃあるまいし、いねぇよそんなもの好き」

一人検討違いな想像に慌てるマスタングに、エドワードはジト目を向ける。

「アンタさ……ばっかじゃねぇ?」
「馬鹿とは何だ馬鹿とは!!大体君は自分の魅力というものを!!」

いつまでも続きそうなロイの言葉をエドワードは睨み付けて遮る。

「………大丈夫なのかよ、腹。入院、してたんだろう?」

小さな声だった。
だが、ロイの耳に届くには十分な声。
しかし視線を合わせようとしないエドワードにロイは苦笑を零す。

「あぁ、大丈夫だ。問題ない」

僅か2歩。
エドワードとの間にあった距離を縮めたロイは頭に手を伸ばし、柔らかな金髪を撫でた。
その感覚にようやく視線をロイに向けたエドワードは、いつもみたいに怒りだす事なく、青い胸板にそっと額を預けた。




拍手[1回]

PR




果てしない道のりだとは判っていた
でも
本当に元に戻れるのだろうかと考えてしまう事がある
アル...アルフォンス
あぁ、こんなにも俺は弱かっただろうか?
ちくしょうアンタの所為だ
アンタがそうやって俺を甘やかすから
帰る場所なんていらない
俺はアンタが思うほど強くはない


前を見据えて毅然と立つ様は眩しいけれど
走ってばかりでは疲れてしまうよ
たまには甘えなさい
私の腕の中にいる時くらい目的を忘れたって良いじゃないか
少しだけ休んでまた歩き出せば良い
君たちの目指すものはそう簡単には手に入らない
立てなくなりそう?
君はそんなに弱くないだろう?
君は自分を過小評価しすぎている
他の誰が何と言おうとも私は知っているよ
誰よりも君が頑張っている事を


やっぱアンタ俺に甘いよ
でも
アンタが笑って出迎えてくれて
アンタが笑って送出してくれる
それって贅沢だよな
アンタに迷惑ばっか掛けてるけど
俺、頑張るよ
今度逢う時はきっと笑ってアンタの前に



拍手[0回]





これを君に送ろう
店にあった中で最も美しくて可愛い薔薇を君に
沢山の花弁が可憐に咲き誇る
誰にも浸食されず野に咲く可憐な花
凛とした美しさも
毅然とした気高さも
茎に生やされた棘も
どれも全てが君のようだ
嵐にも負けぬ強さも
雨に濡れて咲く儚なさも
人々を魅了するその陽の光のような輝きも
君にはまったく叶うハズはないけれど
でも君を見ているようだ
私がそんな事を考えていると知れたら君は怒るんだろうな
それもまた可愛いからついからかいたくなる
愛しき君
今はどこに居るんだい?
たまには私の事を思い出してくれないとピンクの薔薇の花束を送りつけるぞ?
きっと君は怒って電話してくるだろうから
その時に遠慮なく捕まえさせてもらおう
まったく薄情な恋人を持つと苦労させられる
しかしそれさえも愛おしいだなんて私も毒されたものだ
匂い立つ香りは人を惑わし
茎や葉に生えた棘は人を傷付け
麗しく鮮やかな花弁で人を魅了する
本当にどこをとっても君のようで愛らしい
愛しき君へ
果てしなき我が愛を麗しき花に篭めて
願わくは君の心にこの想いが届く事を
君に幸あれ



拍手[0回]





人は何かの犠牲なしには何も得られない
今さらだと思う
錬金術師たる自分には <あたりまえ> のこと

なのに
それでもと思ってしまうのは俺が愚かな証拠だろう
俺の目的はアルの身体を取り戻す事
それ以外は徹底的に排除して来た
どんな事も....どんな人も....
俺はいつからこんなに弱くなった?
大切なのはアルフォンスだけ
俺が絶対にお前の身体を取り戻してやる
例えそれが神様ってヤツに叛く行為だったとしても

何を対価にもっていかれよとも
俺の腕でも心臓でもくれてやるつもりだった
心理ってヤツはどこまでも見通してやがる
俺が一番欲しいモノの対価は
俺が一番手放したくないものだとさ

はは!
ざまねぇよな
俺はアルフォンスを取り戻す
大佐..........
あんたの記憶から俺は消えるらしい
ロイ.....ごめんな
俺もうあんたの元には戻れねぇや

ありがとう......


さよなら


拍手[2回]





愛される事に不慣れな君
その真っ赤なが愛しいと言ったら君は怒るんだろうな
でも君はもっと愛されるという事を学ぶべきだ
旅の途中無自覚に人々を誑し込む癖にそんな事に無頓着な君
泊まった宿の気のいい女将であったり
訪れた街で暴漢から救った美しい女性であったり
図書館ですれ違っただけの君と同じ年頃の少女だったり
更には燃やしてやろうかと思う若い男共も...
君が無意識に微笑んで落とした人間は本気で数が知れない
私がいつもどれだけハラハラしているか判っているのかい?
まぁアルフォンス君がしっかり見張っているだろうから安心だが
こんな風に君はまったく意識せずに誰からも愛される素質があるんだ
だからもう少し余裕を持って周りを見渡してごらん
沢山の笑顔が君を支えてくれているから
例えば駅前の小料理屋の主人、図書館の司書の女性、行きつけのドーナツ屋
司令部の受付の女性、
君に歩む為の脚と戦う為の腕をくれたウィンリィ嬢だって
中尉、ブレタ、ハボック、フュリーにファルマン、それにヒューズも
君が無理をして心配するのはオルフォンス君だけじゃぁないのだから
あぁ、もちろん世界で一番君を愛しているのはこの私だ
信じられない?
構わないよ、今は
でも君たちの旅が終わった暁には遠慮はしないから覚悟していたまえ



拍手[0回]





いつも似非っぽい笑顔を浮かべてるから
キレイな女の人に囲まれて
街の人から尊敬の眼差しで見つめられて
部下からも信頼されて
偉そうで
自信満々で
自意識過剰
人の事からかったり
厭味を言ったり
ひとつの目標に向かって力強く進むアンタしか見た事なかったから
だから、アンタがそんな顔してたら調子狂うじゃんか
もっといつものアンタみたいに嫌みな顔で笑ってろよ

「鋼の」

あー、もう! 何だよ、こんちくしょう!!
そんな捨てられた犬みたいな顔で俺を見るな!!

「鋼の?」

だーかーらー、何だ!!
そんな想いを篭めてギっと睨み付ければ途端に嬉しそうに笑う
だぁぁぁぁぁぁぁっ
ちくしょう!可愛いじゃねーか!!!

「鋼の」

うるせぇぇぇぇ!黙れこの野郎!!
俺の心情なんて判りゃしないアンタは俺の手を握った

「愛してるよ」

溶けるような笑みを浮かべてそう言ったアンタは俺の頬にキスをした



拍手[1回]





君を傷付けたくなかった
後回しにした所でいずれは知る事になるのは判っていた
その時に君たち兄弟がどれほどの後悔に襲われるのかも
あの時ヒューズは元気かと訊いた君に
ここには居ない....それだけしか告げなかったのは
ただの私のエゴだ

君を傷付けたくなかった
私の目の前で打ち拉がれる君を見たくなかっただけ
まだ君を慰めてやれるだけの余裕が私に無かった
せめてもう少し
時間が経ったあとなら

君が怒るのは当然だ
だが子供扱いした訳じゃないんだ
どうすれば良いのか、私にも見当か付かなかった
せめて君の旅の妨げにならなければ
せめて君の笑顔が曇らなければ
せめて....

悪かった
私が悪かった
だから君...泣かないでくれないか?



拍手[0回]



ついったーで
「20分以内に2RTされたら、家の中で、微笑みながら背中から抱き締める軍服姿のロイをかきましょう」
といわれたので書いてみました^^








良い事なんて何も無い日だった。

朝、出勤したと同時に舞い込む大量の書類。嫌がらせの用に鳴るお偉い方々からの電話。
ようやく一息付けた時には既にお昼を大分回っていて、食事を取る気にもならなかった。
優秀な副官がコーヒーと一緒にサンドイッチを差入れてくれなければ、きっと何も口にする事はなかっただろう。
こんな事、君にバレたら「いつも俺には、ちゃんと飯食えとか言ってる癖に」なんて呆れられるんだろう。
書類を捌きながら君からの電話が掛かってこないかと、ほんの少しだけ期待する。
億に一の気紛れで来るかもしれない愛しい人からの便りをただ待ち続ける。
誰だったか「思うだけで幸せになれる」と言った者が居たが、私には到底無理だ。
私が愛するように、君にも私を愛して欲しい。
長い旅の中、ほんのひと時でいいから私を思い出して欲しい。
そんな事を考えながら、ただ只管に書類を捌き続けた甲斐があって22時には仕事を終える事ができた。
重い身体を引き摺って久々に帰り着いた家は、酷く無機質なものに見えた。
君が居ない。
ただそれだけで、こんなにも家に帰るのが億劫になる。
きっちりと着込んだ軍服の胸元を揺るめ、上着をソファーの上に放り出す。

「アンタ油断し過ぎ」

本気でビックリした。この私が人の気配に気付かないなんて……。
動揺のまま固まった私を放置し、君はくるりと身を翻しキッチンへと入って行った。
三つ編みの先が視界から消えてようやく我に返った私は慌ててその後を追い掛ける。
キッチンには、小さな身体をめいいっぱい伸ばして大きな鍋をかき混ぜる姿があった。
今日はシチューのようだ。
その幸せな光景に目を細めた私は、ゆっくりと近付きその身体を背後から抱き締めた。


「ただいま、鋼の」




 

拍手[2回]



Discolo(配布)より「愛する世界に捧ぐ5題」



爽やかな風が2人の間を通り抜けてゆく。
墓前に供えた花がその風に揺れる。
静かに墓石を見つめていたエドワードは、すぐ隣りに佇むロイを見て僅かに笑う。

「ありがとな」
「エドワード?」
「あんたが、母さんに挨拶したいって言ってくれて……嬉しかった」
「私が、君を育ててくれたお義母さんに挨拶したかたんだよ」

穏やかに笑い合う2人はとても幸せそうで、トリシャが見ていれば本当に喜んだ事だろう。

「以前にも言ったが、今日この場所で君とトリシャさんに誓おう」
「……ロイ?」

エドワードを正面から見据え、ロイは大切な宝物に触れる様にその頬に手を滑らせる。
不思議そうに首を傾けたエドワードに向かい鮮やかに笑う。

「これからの君の人生を、私と共に歩んで欲しい。辛い事も嫌な事もあるだろう。でも2人で乗り越えて進んで行きたい。もちろんそれ以上に楽しい事も嬉しい事も共に。エドワード、私は君をずっと愛し抜くと誓おう。だから私と結婚してくれないか?」

ロイもエドワードも錬金術師だ。
神など信じていない。
だからここで、ロイは誓う。
母の愛は無償の愛。
だれよりも純粋にエドワードを愛していたトリシャの前で。

「……どうしよう、俺」

エドワードはロイの心が嬉しかった。嬉しくて嬉しくて、想いが溢れて声にならない。
真っ直ぐとロイを見つめたままの黄金の瞳から涙が溢れる。
パチパチと何度か瞬きしたあと、惹かれて止まない強い目がロイを捉える。

「……俺、あんたを好きになって良かった」
「エドワード」
「俺を……ロイの奥さんにして下さい」
「ありがとう」

満面の笑みを浮かべ、ロイはエドワードを力一杯抱きしめる。
一頻り抱きしめ合った2人は見つめ合うと、そのまま唇を重ね合う。

「お義母さん。私は、息子さんを貴女から攫ってゆきます。これから先の人生をずっと共に。沢山の人の命を奪った私が、幸せになっていいのか悩んだ事もありましたが、彼を手放す事はできそうにありません。後悔しても過去は変える事はできませんが、未来に向けてできる事を、彼と共に歩んで行きたいと思います」
「俺が自分のした事に絶望して、何も考えられなくなった俺を救ってくれたのがロイなんだ。ロイが来てくれなかったら、俺はここに居ないと思う。生きるって事は辛い事も悲しい事もあるけど、俺は進むよ。母さん。俺さ、本当に色々あって辛かった事も沢山あったけど、今……幸せなんだ」





拍手[3回]



恋したくなるお題(配布)より「未病で末期な恋心」



まさか。
そう思った時には既に遅かった。
胸に走った痛みに気付かない振りをして、俺は今日も憎まれ口を叩く。
それがアイツと俺の関係。
ただの上司と部下で後見人とその子供。
アイツが優しいのは俺が庇護すべき子供だから。
アイツが俺に便宜を図ってくれるのも、食事に誘うのも、決して俺が特別だからじゃない。
だから勘違いするなと毎回俺は自分に言い聞かせるんだ。
少しでも優しくされると期待してしまいそうになる自分が憎い。
ちょっとでも気に掛けてもらえたら喜んでしまう自分を馬鹿だと罵る。
いっそ盛大に告白して木っ端微塵に振られてしまったら、この気持ちを整理する事ができるだろうか?
そう思った事もあるけど、できなかった。
もしも男なんかに告白されるなんて気持ち悪いとか思われて、後見人とその子供という立場さえ無くしてしまうかもしれないと思ったら、言える訳なかった。
今向けてくれてる優しい瞳が凍る瞬間なんて想像しただけで、耐えられそうになかった。
俺とアイツの唯一の繋がり。
何度勘違いだからと言い聞かせても、何度忘れようと努力しても無理だった。
いつか身体を取り戻して、銀時計も返して、軍とは何の関係もなくなって、落着いたら。
ヒトリでアイツを想って泣こうと思う。
誰も居ない場所で気の済むまで泣いて泣いて泣き切ったら、2度とアイツと逢わずに過ごそう。
いつかアイツが結婚する時には “おめでとう” ってカードを送ってやろう。
痛みには慣れているから耐えられなくはないだろう。
笑ってアンタに逢える日がいつか来ると信じて生きてゆこう。


 

拍手[1回]






「エルリック先生」
コツコツと階段を上る足音と共に掛けられた言葉に俺は振り返る。
先ほどまで窓の外を眺めていた所為か、目が慣れるのに暫しの時間を要した。
「ホークアイ先生?」
「良かった、ここに居らしたんですね」
首を傾げた俺に、彼女は安堵の溜め息を漏らした。ちなみに俺の勤務時間は既に終了している。
…………急患だろうか?
俺の疑問を他所に、彼女は淡々と用件を述べる。
「実は明日から新しく配属される先生がご挨拶に来られてるんです。エルリック先生がまだ居らっしゃったらと思って」
その言葉に納得した。確かに明日から新しく医師が来ると副院長が言っていた。
しかし、部署も違うし俺には関係ないと思ってたんだけど、違ったんだろうか?
「俺に?」
「実はその先生、あの論文の作者なんですって」
「ええ!?マジでっ!!?」
こっそり耳打ちされた内容に俺は飛び上がって驚いた。あの論文ってのは、難しい事は端折るとして、今まで未知の病気で治療方法
は疎か、進行を遅らせる事さえできなかった難病に対する物で、マウス実験とはいえ病気を進行を30%も遅らせる事ができたという物だったのだ。
その論文は医療界に激震が走った。特に内科医である俺は本当にビックリして、次いで嬉しくて何回も何回もその論文を読み返した。
「………エドくん」
「あ…………ゴメン、リザさん」
やっちまった。実は俺もリザさんも院内では敬語&名字読びで過ごしてるけど、元々知り合いで仲が良かったりする。
あ、勘違いしないでくれよ。リザさんにはちゃんと恋人が居るんだからな。
俺?俺はそんな事に興味はない。恋人作ってる暇があるなら論文の1つでも読むぜ俺は。
ってそうだ、論文で思い出した。
「で、リザさん!その先生は!?」
わくわくと心が躍る事が止められず、リザさんに聞けば、彼女はクスクスと笑う。
「医局に居るわ。どうもヒューズ先生と知り合いみたいなのよ」
「ヒューズ先生と?」
「今夜、こっそり歓迎会するらしいから一緒に行って聞いてみればどうかしら?」
パチンとウィンクした彼女は颯爽と医局に向かう。うーん、格好良いぜ。俺もリザさんみたいになりたいな。



「失礼致します」
医局の奥の更に奥、院長の許可なしでは入れない部屋の扉をリザさんが入室する。
あ、なんか俺、今更ながらにドキドキしきた。
「おーぅ、リザちゃんお帰りー」
「ヒューズ先生」
聞こえて来た軽い声にリザさんは眉を顰め、俺は脱力する。
「まぁまぁ堅い事言わずにさ、座った座った。で、エドは?」
「居るよ」
「良かった、まだ帰ってなかったんだな!!お前も座れ紹介すっからよ!!」
ヒューズ先生の視線の先に居た男に、俺は一瞬にして目を奪われた。
真っ黒な髪に同じく真っ黒な瞳。意志の強そうな瞳だと思った。
「ロイ、紹介するぜ。こっちの美人が、リザ・ホークアイ医師。脳外科の主任医師だ。で、こっちの生意気そうなのが、エドワード・エルリック医師。内科の主任医師だ。で、コイツが、ロイ・マスタング。俺の親友で例の論文の作者。偏屈で頑固な奴だが、良い奴だぜ!!」
…………ヒューズ先生の大雑把な説明に、何とも言えない空気が医局内に漂う。
「あー、コイツの言い分は無視してくれ。ロイ・マスタング、明日からこの病院の外科の医師として勤務する事になった。どうぞよろしく」
「ひっでーなーロイちゃんよー」
「煩い、黙れ」
親友ってのは本当らしい。遠慮のない言葉の応酬に俺は笑ってしまった。
コレが俺と奴の出逢い。
懐かしむ程の時は経っていないのに、懐かしいと感じてしまうのは、あの時と今では立ち位置が全然違うからなんだろうな。
「何を考えてるんだね?」
どこか拗ねた様な響きの声と共に腰を引寄せられる。柔らかなソファーの肘掛け部分に座っていた俺は、引寄せた奴の膝の上に座らされる。その体勢が些か不本意で、返す言葉が素っ気なくなる。
「別に」
「直ぐ側にいる恋人の声も聞こえなかった癖に」
どうやら拗ねた様なではなく、拗ねているらしい。飲み物の入ったグラスをテーブルに置いた奴は、その空いた手で俺の顎を捕える。非難の眼差しにクスリと笑い、俺からキスしてやったら驚いたアンタの瞳。その事に満足して離れようとしたら逆に後頭部を引寄せられた。
「………ん…………ふっ」
自分の物とは思えない甘ったるい声が漏れる。恥ずかしいと思う反面、その声に瞳を細めるアンタが堪らなく好きで翻弄される。
「ロイ」
キスの合間に名前を呼べば、アンタは嬉しそうに笑う。犬みてぇ。戯れなキスを交わしながらも身体に這わされる手。息継ぎの合間に落とされる愛の囁き。そのどれもが俺を溶かしてゆく。
もう何も考えられなくなった頃、再度同じ事を問われる。
「で、何を考えていたんだね?」
よっぽど気になってるらしい。その事に、クスクスと笑いが漏れる。再び不機嫌になる前に、俺は両手を奴の首に絡めた。
「…………もう一回」
「?」
「もう一回キスしてくれたら教えてやるよ」
そう言ったら、またアンタの瞳が細められた。優しくて獰猛な俺の好きなアンタの瞳。
押し倒されるソファーの上で俺はアンタを思う。

夜はまだ長い。



 

拍手[3回]

カウンター

 
nextキリ番 300000 

☆リンク☆

*オフ用(ふじおりさくら)
ふじおりさくら

悪魔ナルアンソロジー
悪魔ナルアンソロジー

着衣エロアンソロジー
着衣エロアンソロジー

GH&悪霊サーチ
GH&悪霊サーチ

悪霊世界征服
悪霊世界征服

GH-OFFNAVI
GH-OFFNAVI

ロイエドサーチ
ロイエドサーチ

鋼お題&素材 鋼アイコン

+魔王シンドローム+
+魔王シンドローム+

まるマアイコン

堕天使襲来

Egg*Station Egg*Station

カレンダー

02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

最新コメント

[08/02 桜花]
[03/29 K]
[03/23 水瀬]
[03/05 水瀬]

バーコード

ブログ内検索

忍者アナライズ

<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- *藤袴 -thoroughwort-* --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by もずねこ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]