*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「告白」(ナル麻衣)
「ナルが……すき」
聞こえた言葉が意外過ぎてナルは読んでいた本から顔を上げた。
「っ……あたし、ナルが好きなの!」
聞き間違いか?
浮かんだ思考を消すように今度ははっきりと叫ぶように麻衣は言った。
ぱちり。
瞬きをしても所長室の扉の前に立つ麻衣は消えないので、幻覚ではないようだ。
どこか冷静にそう判断する己の脳。
しかしそんな事をわざわざ考えてしまう辺り、どうやら自分はかなり動揺しているのだと思う。
沈黙が部屋を支配する。
「……とりあえずお茶」
「あ。は、はい!」
事務所に来ている以上は仕事をさせよう。
現実逃避だと分かってはいるが、少し考える時間が欲しかった。
もう先ほどまで読んでいた本の内容が思いだせない。
ナルは溜め息と共に椅子に深く沈み込んだ。
「あの……なる?」
コンコンという音と共に顔を覗かせた麻衣は、椅子の背凭れに首を預けたまま動かないナルに首を傾げた。
「紅茶、冷めちゃうよ?」
すぐ近くで聞こえた声にナルはようやく顔を上げる。
「麻衣が好きなのは僕?」
ぱちり。
先ほどのナルと同じように麻衣が瞬きをする。
「そうだよ」
……ジーンじゃ、ないよ。と麻衣は静かに笑う。
その笑顔が、いつもよりも儚く見えて、思わずナルは麻衣に向って手を伸ばす。
そっと頬に触れてくる優しい手と、嘘をつかない真っ直ぐな瞳が麻衣を見つめる。
ああ。
やっぱり、あたし……ナルが好きだな。
そう再認識した麻衣は、込み上げる愛おしい気持ちのままに笑う。
「ナルが……すき」
吐息のように落とされた声に、今度はナルが微かに笑みを浮かべた。
「そうか」
「うん」
見つめ合った2人の影がゆっくりと近付く。
初めて交わした口付けに、麻衣の頬が赤く染まる。
引寄せられて抱きしめられた腕の中で、麻衣は小さく訊ねる。
「ナルは、あたしのこと好き?」
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