*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「実は今、その鍵を巫女である Ms. 松崎が取りに日本に戻っているのですが...」
「何か問題が?」
「その鍵を創ったとしても、屋敷同様に壊されてしまえば再び同じ事が起こってしまうのです」
「壊されない様にすれば良いのでは?」
「出来ればそうしたいのですが、この土地の持ち主は僕ではありませんので...」
どうしたものか....と悩ましげに呟く安原。
「ではその土地を買い取ってしまえば良いのです!!」
それで何も問題ありませんわ! と叫んだ夫人は夫である伯爵に詰め寄る。
「あなた、直ぐに買って来て下さいな」
「い、いや...しかし」
「ダメですか?」
口籠る伯爵に悲しそうな瞳で訴える夫人。勝者は決まった。
夫人に追い立てられる様に屋敷を後にした伯爵は、その日の内に例のパワースポットの中心を含む土地の所有者となって戻って来た。
「Mr. ヤスハラ、Dr. ディビス、どうぞ哀れな魂を救って差し上げて下さい」
「もちろんです」
そう応える安原の瞳はいつになく真摯だったとか......
ザザッと揺れる榊の音と、パンっと柏手を打つ音が木霊する。
東の空から僅かに光が漏れる早朝、巫女装束に身を包んだ綾子が厳かに祝詞を捧げる。
「高天原に神つまります 大天主太神の命もちて 八百万の神たちを神集へに集へたまひ...」
瞳を閉じ榊を振るう綾子は普段から想像も出来ない程に神々しい。
綾子が一言、言葉を捧げる度にこの場の空気が神聖な物へと変わって行く気がする。
「天津神は天の磐戸を推披きて 天の八重雲をいづの千別きに千別きて所聞食さむ...」
一体何が起こるのかと訝しげな顔をしていた伯爵も綾子の醸し出す空気に完全に呑まれている。
セシア、ルイス、マルクも例外では無い。
綾子の邪魔にならぬ様、誰も音を立てる者はいない。
「祓ひたまへ清めたまへと白すことを所聞食せと 恐み恐みも白す」
凛とした声音で祝詞を捧げ終えた綾子は、榊を両の手で持ち直し深く一礼した。
その視線の先に在るのは一本の細い分け木。もちろん只の木では無い。
綾子が慕う御神木より賜った神の宿る木である。
誰からとも無く “ほぉっ” と長い溜め息の様な声が漏れる。
「何回見ても綾子のこれは凄いよね」
「本当ですわ」
妹たちに誉められ綾子も満更ではない様だ。
麻衣と真砂子に向かって一瞬微笑むと、未だ魂を抜かれた様に動かない伯爵夫妻へ向き直る。
「こちらの土地に樹齢300年を越える御神木...精霊の宿る木の分け木を御祀り致しました。彷徨える御霊も還るべく場所へとお導き下さる事でしょう。私も定期的に祝詞を捧げに参りますが、普段のお世話は伯爵方に御任せ致します」
巫女の顔で言う綾子に伯爵も夫人も No と言える訳無く、ただ頷いたのだった。
end
祝詞参考
「神話の森」様
「古今宗教研究所」様
「神話の森」様
「古今宗教研究所」様
—あとがき—
お、終わりました〜。長い間お付き合い下さいました皆様、ありがとうございました!!
まさかこんなに続くとは....朽葉にも予想できませんでした。
途中プロットが進まなくなったりもしましたが、この連載を楽しみにしているとお言葉を下さった皆様のお陰で乗り切る事が出来ました。
皆様のご感想や励ましが朽葉の支えです!本当にありがとうございました♪
次回作も、またお付き合い下さいますと嬉しいです。
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