*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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ようやく思考が復活したらしい滝川も話に加わった。
うーん、と考え込んでしまった術者たちに、訊ねるは再び麻衣。
「何が問題なの?」
「馬鹿かお前は?」
「何だとー! 道の先が塞がれてるなら開いてあげれば良いじゃんかー」
「「「「「 !? 」」」」」
麻衣の言葉に綾子、真砂子、滝川、ジョンにリンまでもが目を見張った。
「なるほど、閉鎖された空間を再び創るのでは無く、道はそのままに利用すれば....」
「ナルそれでしたらこれ以上、均衡を失う事なく霊の浄化もできますわ」
「それは僕も賛成さしてもらいます」
「問題は...」
「方法だな」
リンと滝川の言葉に考える素振りを見せた綾子が突然こう言った。
「ちょっと私、日本に戻るわ」
「綾子!?」
「人の築いたものでは、また歪みが起こるかもしれないでしょ?」
驚く一同と眉を顰めるナルに笑みを向けた綾子はこう言い切ると、踵を返し屋敷を去った。
明後日の朝、例のパワースポットに行くとだけ言い残して。
翌朝、伯爵夫妻がロンドンでの会合を終わらせ戻って来た。
「留守にして申し訳ない。博士、調査の方は進みましたかな?」
「大体は説明が付きました。報告をお聞きになりますか?」
「妻も同席させても良いですかな?」
「どうぞ」
夫妻への報告は、機材が揃っている事からベースにて行われた。
昨日一日で解析したデータの中には、10人以上の彷徨う霊が映し出されていた。
どれも悪霊などでは無く、屋敷の中で遊んでいる子供や何故ここに居るのか判らずウロウロと困った顔で彷徨う女性。
物珍しそうに屋敷の中を徘徊するものなど様々だ。もちろんベティーとトビーも走り回っていた。
「.....これ、全て屋敷の中に?」
呆然と訊ねる伯爵も口元を抑えている夫人も少しばかり顔色が悪いのは気の所為では無い。
まさかこんなにも霊が居るとは思いもしなかったのだろう。
「今の所、悪霊と呼ばれるものは居ませんが、今後はどうなるか判りません」
静かなナルの声に、伯爵は身を固くする。
「浄化する事は出来ないのでしょうか?」
気丈にも質問をしてきた伯爵夫人の言葉に、ナルは安原へと視線を送る。
その視線に頷いた安原は手元に用意した資料を夫妻に手渡す。
「この2日間で我々が調べた結果です。ご覧頂けばお判りになるかと思うのですが、こちらの屋敷は霊の溜まり場としての資質を多分に備えた場所に建てられております」
「霊の溜まり場....?」
鸚鵡返しに呟く伯爵に安原は実に沈痛な面持ちで説明を加える。
「魂の行き着く先と言えば良いのでしょうか、ここに居る霊は神に導かれ在るべき場所に還ろうとした者の魂なのです。しかし霊媒である Ms. 原の見立てによりますと、還る為の扉が閉ざされておりその魂は行き場を失い、彷徨うより他無かったとの事なのです!」
「まぁ! なんと不憫な...」
彷徨う霊に子供が多かった所為か、はたまた安原の演技力の所為か、伯爵夫人は実に感極まったように瞳を潤ませている。
「屋敷が建てられてから最近まではその扉はちゃんと開いておりました。しかし、ひと月程前にその扉の鍵の役目を果たしていた屋敷が取り壊されてしまいその役目を負う事が出来なくなってしまったのです。閉ざされてしまった扉を、再び開く事が出来れば、哀れな魂は神の御許へ還る事が出来ます。しかしその為には壊された屋敷の土地に新たな鍵を創る必要があるのです」
「私に何か出来ますでしょうか?」
神に祈る様に指を組み十字を切り、そう言う夫人に安原とナルの瞳が光った。
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