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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「例えばどんな風に?」

首を傾けて訊く真砂子に、綾子は “そうねぇ” と思案する。

「例えば廊下なんかの角でわざとらしくぶつかって助け起こしてみたり、その人の行先を調べて “偶然ですね?僕もここ良く来るんですよ” とか言って現れてみたり...」
「うわぁー、それって下手をすればストーカーじゃないですか?」

と眉を顰めるのは安原だが、“それじゃぁ” と綾子に視線を向けた時には口元に意味深な笑みが浮かんでいた。

「散らばった書類を集めるふりして手に触れてみたり、書類の内容を確認するふりして無駄に顔を寄せてみたりとか?」
「そうよ、少年!天然を装って “可愛いね” だの “僕は好きだよ” なんて囁いた挙句に “そこ違うよ” なんて言って肩を抱いたり、ふらついたのを支える名目で腰を抱いたりもするんだから!!」
「それは忌々しき事ですねー。そう思いませんか、ケヴィンさん?」
「...そ、そーですね」

突然話を振られたケヴィンは、そう答えるのが精一杯だった。
何を隠そう今の会話、身に覚えが有り過ぎて途中から頬が引き攣っていたのだ。

「あ、あぁ。僕この辺りで失礼を...」
「おや? 谷山さんのお茶は飲んで行かれないんですか? それに何だか顔色も良くありませんよ?」
「そ、そんな事ありませ...」
「本当、あまり宜しくありませんわ」
「ここで休んで行かはったらどうですやろか?」
「おぉ、それが良い。安心しろ、俺は病人には優しいんだ」

全員から捲し立てられたケヴィン。
浮かしかけた腰は、あれよあれよと言う間に再びソファーに沈められた。
全員、微笑みを浮かべているはずなのに、言い様の無い威圧を感じるのは気の所為だろうか?
冷や汗の流れる思いをしたケヴィンは “お待たせー、皆も飲むでしょう?” とやって来た麻衣が天使に見えた。
にこやかにお茶を受け取った一同だが、ここで攻撃の手を緩めるような事はしない。

「麻衣、そのお茶はナルの分?」
「そうだよ」
「ナルもこっちに呼んでらっしゃいよ」
「そうですわ。篭ってばかりでは身体に良くありませんわ」

綾子と真砂子の言葉に “そーだね” と麻衣はナルを呼びに行った。


だらだらだらだらだらだらだら。
ケヴィンは汗の流れる音を生まれて初めて聞いた。
自室から出て来たディビス博士は事も在ろうにケヴィンの向かいに座った。
博士の隣には当然のようにマイ。片手に分厚い本、反対の手にはカップを持って優雅に紅茶を飲む姿は美しい。
しかし、一瞬。自分を見た時の瞳が怒りをたたえていた気がしたのだ。
そんなケヴィンの心情を余所に、ナルと麻衣はいつも通りの会話をしている。

「もう、休憩中くらい本置いたら?」
「お気遣い無く」
「明日休みだよねー?」
「一応」
「ウェスターさんとこ行かない?
「お一人でどうぞ」
「ムリー。だって道わかんないもん♪ 迷子になったら迎えに来てくれる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・午後」

長い葛藤の末、一緒に行く事にしたらしい。
確実に迷子になるだろう麻衣を探しに行くよりは一緒に行ってさっさと帰って来た方が
面倒が少ないと判断したのだろう。“わーい♪” とナルの腕に抱き着く麻衣。
そんなイレギュラーズやここ数日一緒に居た研究室内の人達にはもう見慣れた光景。
だが、ケヴィンには衝撃だった。

あのディビス博士が折れた?
しかも他人に抱き付かれる事を許容している!?

この状況を信じられないケビンが動けないで居ると、内線を知らせるコール音と軽く扉をノックする音が聞こえた。
電話はルイスが、扉には安原が向かった。


コンコン

「失礼致します。Mr.ヤスハラはいらっしゃいます?」
「おや、レイチェル嬢。と、エルザ嬢でしたか? 僕に何か?」
「お昼をご一緒した際、こちらをお忘れでしたの」
「あぁ! わざわざすみません、レイチェル嬢。次お逢いした時でも良かったのに」
「わたくしもそう思ったのですが、エルザが大事な物だったらと言うもので...」
「それは、お気遣いありがとうございます。エルザ嬢」
「いいえ、。当然の事です Mr.ヤスハラ」

にっこり微笑みながら答えるエルザだが、入ってきた瞬間から室内に目を配りディビス博士を探していた彼女は、ソファーに座るナルを見つけ瞳を瞬かせその腕に抱き着く麻衣にムッと眉を顰めた。

その実に判りやすい表情の変化は、エルザに興味の無いナルと明日の約束を取り付けてご機嫌な麻衣以外の誰もが認識するところだった。とにかく何とかナルと話したいエルザ。
ナルの向のソファーに既知の人物が座っているのを見付け、嬉々として話し掛けた。

「あらケヴィン♪ こんな所に居るなんて珍しいわね?」
「や、やぁ...エルザ」

もの凄い勢いでソファーに近づいた彼女と、まだ衝撃から立ち直れず引き攣った表情のケヴィン。
と、そこへ電話を終えたルイスが戻ってきた。

「すみません、博士。今、森チーフから先日のレイド伯爵の捜査の報告書とデータ全てを至急持って来て欲しいとの連絡がきたのですが...」
「全て?」
「はい」
「リン、ぼーさん」
「一人では無理ですね。我々も行ってきます」
「りょーかい」
「ほな、僕も行かせてもらいます」
「じゃぁ報告書は私が取ってくるわ」
「セシア、それも一人じゃ無理よ。私も行くわ」
「松崎さん。あたくしも行きますわ」

図ったように皆が一斉に研究室を出て行く。
最後に残った安原も “じゃぁ僕はレイチェル嬢をお送りしてきます” と出て行った。




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