*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「ナルなんか大嫌いっ!」
そう叫んで事務所を飛び出したあたし。
きっかけはほんの些細なこと。
ナルにしてみればいつも通りのことだった。
けど、あたしにいつもの余裕が無かった。
何も考えたくなくて、ただ我武者らに走り抜けた渋谷の街。
すれ違う人がどんな目であたしを見ていたのか分からないけど、半ばぶつかりながらの疾走が好意的に捉えられたことはないだろう。
どこをどう来たのかさえ分からない先に見つけたのは小さな公園。
滑り台とブランコしかないその公園で、ようやく気持ちが落ち着いたあたしは、ブランコに腰掛け溜め息を吐いた。
「明日……どうしよう」
あたしの言葉なんてナルは何も思ってないかもしれないけど、いやそれはそれで悲しいんだけど、でも相手がどう思おうと、言っていい言葉じゃない。
「謝らなきゃ!でも………行きづらい」
ううううう。
ブランコに揺れながら頭を抱えて唸る女って、端から見たら怪しいことこの上ない気がする。
どんなに悩んでも、やることは1つしかない。
良し!明日朝一に謝ろう!
そう心に決めてガバっと立ち上がったあたしの視界に、あるはずの無い黒が見えた気がした。
まさか………
怖々と視線を右にずらすと、ブランコの周囲を囲む鉄パイプに腰掛けたナルが居た。
頬を引き攣らせたあたしに、落ち着き払った声が掛けられる。
「百面相」
わかってらい!思わず反論しようとしたあたしの思考は、そこで途切れた。
なぜなら……
突如吹いた強い風が、あたしとナルの間を吹き抜ける。
公園の入口にあった満開の桜から、はらはらと花びらが舞い散る。
そんな幻想的な空間に見とれていたあたしは、間近に迫った黒い瞳に気付かなかった。
柔らかな温もりが触れて離れる。
え?
目を見張ったあたしに、ナルは鮮やかに笑った。
「僕は別にキライじゃない」
え?
ええ!?
大混乱しているあたしを他所に、ナルは踵を返して公園から立ち去った。
ええええええええっ!!!?
ナルの姿が完全に見えなくなったあたしは、心の中で思いっきり叫んだ。
あたしは、真っ赤になった顔を隠す様に抱え込み、その場に踞った。
あ、明日……どうしよう!
あたしは違う意味で頭を悩ませるはめになったのだった。
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