*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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イギリス、プラット研究所内にある応接室にニ人の男の姿がある。
徐に一人の男が口を開いた。
「─── と言う訳で、ひと月前から我が家は妙な現象が起こっている。博士には是非これを解決して頂きたい。私もSPRに出資している身、調査の仕方とやらを見学させて頂きたくてね。そうだ、博士がご執心の協力者とやらも呼び寄せられてはいかがです? 必要経費は私が用立てましょう。博士お墨付きの能力者と本国の能力者どちらが優秀か見極める良い機会でしょう? 」
─── 日本時間 3月8日 AM10:00 ───
突如携帯の着信音が鳴り響いた。
ディスプレイを見れば、よく喫茶店代わり顔を出している某心霊研究事務所のアルバイト安原 修こと通称、少年の名前が浮かび上がっていた。
珍しいことも有るもんだと思ったが、確か所長サマもその保護者も、愛娘と愛して止まない少女も居ない事を思い出し、暇なんだろうという結論に達した。
「はいよ。どうした? 珍しい。誰も居なくて..」
寂しいのか? と続くはずの言葉を遮り滅多に聞けない少年の慌てた声が響いた。
「滝川さん! 安原です。唐突で申し訳ないのですが、今晩の飛行機で一緒にイギリスに行って頂けませんか!?」
「何か有ったのか!!?」
突拍子も無い頼みに驚いたが、イギリスと聞き彼等に何か有ったのではないかと不安になる。
越後屋と言われる程に多少の事には動じない少年が、何の説明もせずに焦って用件のみを伝えてくる事に事態の深刻さが伺える。
俺の言葉に少し落着いたのか、少年は言葉を選ぶように告げる。
「すみません、少し落着きました。僕も詳しい事は聞けていないのですが、先ほど所長から電話が有りました。緊急の調査が入ったそうで、あちらの研究所の調査員と所長、リンさん、そして谷山さんも同行し現場に赴いたらしいんです。ところが建物に入った瞬間 ──────谷山さんが倒れたと」
「た、倒れた?」
「はい。しかし、現場に居合わせたあちらの能力者は “何も感じなかった” と言うらしいのですが、現に谷山さんは倒れている。所長としてはより信頼性のある滝川さん達をイギリスに呼ぶ事を決定されたそうです。で、滝川さんお時間取れませんか?」
「無くても作るさ。娘が危ない時にのんびりしてられるか」
「さすが父親の鏡ですね」
「で、少年。あと誰を呼ぶんだ?」
「全員と言われてます」
「残りは俺から連絡しよう。お前は別の事をナル坊から言われてるんだろう?」
そう確認を持って訪ねると苦笑が返ってきた。
「はい。すみません、滝川さん。では残り全員への連絡をお願いします。僕は情報収集に掛かります。チケットは森さんが手配してくださるそうで空港で受け取る手筈にになってます。今夜22時、空港のロビーで」
「了解した」
少年との電話を終え、震えそうになる手を叱咤し仲間に電話を掛けた。
憑依されているならば、とまずはジョンに連絡し次いで真砂子、綾子の順に。
全員からの回答は何としても都合を付けるこの事だった。
うちの娘はよっぽど愛されてるらしい。
約束の時間より少し早めに来た空港のロビーには既に少年が居た。
スーツケースの上にはファイリングされた分厚い紙の束。
さらにパソコン二台を使いこなしている様はエリート商社マンのようだ。
「あれ? 皆さんもうお越しですか? 予定より早いですね」
そう言うと少年はパソコンを片付け “行きましょうか” と立ち上がった。
「少年? 出国ロビーは方向が違うんじゃない?」
「さすが松崎さん、手慣れてますね。でも、今日はこっちで良いんです。今回の僕たちの旅費依頼をした伯爵持ちなんだそうで、僕が集めた資料を機内で整理出来るようにファーストクラスのチケットを押さえて下さいました。半分以上は伯爵への当て付けだと森さんが言われてましたが...」
「つまり奴の機嫌は悪いんだな」
「そうですね。僕が受けた電話でも伯爵への激しい怒りが垣間見えましたし...」
「ちなみにどんな?」
「今回の依頼主、SPRのパトロンをされている様で、無謀にも所長を調査の責任者に指名したらしいんです。事前情報も不確かだった上...」
「トドメは麻衣か?」
「はい」
「着いた途端、奴のブリザードに晒される訳だ。俺たちは...」
「仕方有りませんわ。ナルですもの」
「...それで納得させてしまうナルもどうかと思うわ私」
「渋谷さんはそれだけ麻衣さんの事が心配やよって仕方の無い事や思います」
「ジョン...」
ナルの機嫌の悪さに戦々恐々していた俺はジョンの邪気の無い笑顔の前に崩れ落ちた。
それからエコノミーとは比べ物にならない豪華なシートと接客で(殆ど寝ていたとは言え)約15時間もの長い旅を終えやっとイギリスに着いた。
忙しく誰も迎えに来れないので空港からタクシーに乗れと、ちなみにこの料金も伯爵持ちだそうだ。
さらに数時間掛けやっと辿り着いたのは、SPR研究所の本部だった。
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