*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「ナル・・・今日も少しお願いできますか?」
「・・・またか」
所長室に入るなり放たれたリンの言葉。
主語のないそれに、呆れを含んだ視線が返される。
「好きにしろ」
溜息ひとつで了承したナルは、興味は失せたと本に視線を戻す。
そんなナルに「いつもすみません」と言いながら、リンは鈍く光る鋏を掲げる。
「なに・・・やってんの?」
紅茶を持ってきた麻衣は、目に飛び込んできた光景に固まった。
「あ、谷山さん。今ちょっと手が放せないので紅茶はそちらにお願いします」
「えっと、はい。・・・・・・あの、ナル?」
「僕の分はこちらへ」
「あ、うん」
そっとカップを机に置いた麻衣は、じっと目の前で展開される作業を眺める。
ジャキ・・・ジャキ・・・ジャキ
カタンと鋏を置いたリンは、ほっとしたような笑みを浮かべてナルに頭を下げる。
「ありがとうございました」
「もう良いのか?」
「はい、十分です。これでしばらくは」
「そうか」
「リンさん。あの・・・それってナルの髪の毛・・・ですよね?」
もう耐えられないと、麻衣は直球に聞いてみた。
なぜならリンは切ったナルの髪の毛を、後生大事に集めて布で包んでいるのだ。
まさか呪いに使うとか?
そんな怖い考えさえ浮かんでしまう。
「ああ、谷山さんはご存じありませんでしたか」
麻衣がそんな事を考えているとは知らず、リンはにこやかに答える。
「ナルの髪は、水に浸けると増えるんですよ」
「は?」
増える?
って・・・・・・増毛?
え!?リンさんってもしかしてズラ!?
「増やしてどうするんですか?」
「食べます」
まさかと思い訊ねれば、返ってきたのは思いもかけない答えで、麻衣の頭は真っ白になった。
「た、食べるって・・・髪の毛、ですよね?」
「そうですよ。ナルの髪は見た目通り、ワカメですから」
「・・・・・・・・・そ、う・・・なんですか」
「そうなんです」
答えを返せた自分を誉めてやりたいと麻衣は思った。
そして理解の範囲を超えた展開に、もうなにも聞くまいと心に決めた。
たとえニコニコと嬉しそうに語るリンが、その髪を食べるのだとしても。
「そうそう、ジーンはヒジキだったんですよ」
昔はそっちもよく貰ったんです。
懐かしそうに語るリンに、麻衣が思考を放棄したのは言うまでもなかった。
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