*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「そ、そんなつもりじゃ...」
薄暗い部屋の中、間近に迫った影に慌てて後ずさるのはまだ若い女。
片や壁際に女を追い詰めた男は、そんな事を許すほど甘くも優しくもない。
「観念しろ」
低く囁かれた声は酷く甘美で女の身体を揺さぶる。
「っ、な.....る」
「...麻衣」
潤んだ瞳で見上げながら自分の名前を読んでくる麻衣にナルは手を伸ばす。
ピクリと震える身体に言い様のない感情が沸き上がる。
顎に手を添え持ち上げた顔に浮かぶは羞恥と期待....そして僅かな怯え。
その事が面白くなく、その身体を強く壁に押さえ付けた。
言葉を紡ごうとする唇を塞ぎ音を奪う。
ふ...っ......ぅ...
途切れ途切れに上がる声により一層深く口内をを侵す。
昔、無理矢理見せられた醜い感情に似た思いを、まさか自分が持つ事になろうとは思わなかった。
事の起こりは昼の事務所。
いつもの如く訪れた松崎綾子の持ち込んだモノの所為....
「麻衣、あんたナルと一緒に住んでたわよね?」
「へ? 」
「これあげるわ♪」
麻衣の淹れた紅茶を飲み、事務所の効き過ぎた冷房で涼んだ綾子。
「あ、そうだ」と呟くと持って来た包みを麻衣に向かって放り投げた。
新々気鋭の博士様お墨付きの麻衣の第六感が、コレハキケンダ と告げている。
「コレ....何?」
「家に帰ったら開けてもいいわ」
「.........」
「ナル、使い方は麻衣に聞きなさいね」
「?」
突然話題を振られたナルが首を傾げる中、綾子は満足そうに微笑み去って行った。
「何だったんだろう....」
「さぁ? それは何だ?」
「..........なんだろうね?」
手の中の包みが気にはなったが、律儀な麻衣はちゃんと家に帰るまでは開けなかった。
資料の整理が大変で忘れてたとも言う。
食事もお風呂も終え、あとは寝るだけという時にその存在を思い出した麻衣。
早速、中身を見てみようと包みを手に取った。
ちなみにナルは書斎にお篭り中なのできっと数時間は出て来ない。
「何かな〜♪ .......ん?」
ガサガサと包みを開けば、出て来たのは枕だった。
淡いピンクとブルーの枕......
麻衣は自分の頬が ヒクっと頬が引き攣ったのが判った。
「何だそれは?」
「ナナナナナ、ナル!!? 何で? 本は!?」
背後から聞こえた低い声に麻衣は飛び上がった。
「読み終わった。で、それは?」
「あー....っと.....その〜、綾子がね」
「あぁ。使い方は麻衣に訊けと言っていたものか。で、どうやって使うんだ?」
麻衣は心の中で綾子を盛大に罵った。
なんてモノをくれたんだ!!
「いや、あの....ねぇ?」
何とか誤摩化したい。誤摩化したいが.......
誰もが見惚れる笑みを浮かべたナルに顔を覗き込まれ、麻衣はようやく観念した。
<おまけ>
「ち....ちょっ、と!!」
「何だ?」
「こ、この体勢は....////」
「ご自分の発言には責任を持たれるべきかと」
「?」
何の事だか判らない様子の麻衣にナルは意地の悪い笑みを浮かべた。
無論、麻衣が恥ずかしがっている体勢のまま。
「僕は訊いたんだ。“YES or NO?” と....」
「し、知ってるよ! だから、あ、あたしは “NO” って!」
「否、僕にはそうは見えなかったが?」
「は!? 何でよ!! YES NO 枕の裏が “NO” だもん!!」
「あぁ。その向きで出せば “NO” だな」
「........向き?」
「さっき、麻衣は......上下が逆だった」
「逆.......」
首を傾げ枕を眺める麻衣の目の前で、ナルはぐるっと枕を逆さまにする。
「 “NO” を逆さまにすると “ON” .....ほら、麻衣は僕の上に乗りたいんだろう?」
「なっ! な、な、な、な、な、な、な、な.............」
顔を真っ赤にさせてただ一音を叫び続ける麻衣。
「ご理解頂けたようで?」
「い、いや!! 何て言うか! その......あは、あははは」
「そんな誘われ方をするとは、さすがの僕でも予想できなかったな」
何とか逃げ出したい麻衣だが目の前の “コイビト” が許してくれるハズもない。
そもそも、まだナルの脚を跨ぐ様に座らされた上に、腰をガッチリと抱え込まれているのだから逃げるどころか動く事もままならないのだが....
他人に触れる事を厭うナルが自ら触れようとしてくれるのは嬉しい。
べ、別に...その、スルのが嫌...なんて事も絶対に無い。
無いんだけど.....
恥ずかしいモノな恥ずかしいのだ!!
「うぅぅ〜ぅ/////」
そっと窺ううようにナルの顔を覗けば、右手で首筋から肩のラインを撫でられ、逆の手で太腿を撫で上げられる。
ピクリと身体は正直に反応してしまう。
「麻衣?」
あなたが私の名前を呼ぶ.......それがきっと最後通告。
この体勢は非常に...本当に顔から火が出るほど恥ずかしいけれど。
逃げられる訳が無い。
だって私は.......
今度こそ抵抗を諦めた麻衣はナルの首に両手を巻き付けた。
end
りんさん、遅くなってすみませんでしたー(土下座)
チャットで「YES NO 枕 NOは向き間違うとON」の発言に則って書かせて頂きました。
エロは中途半端だし、ナルはアレだし、体勢は......何も言うまい。
この様な品になりましたが、どうかお納め下さいませ。
朽葉
PR
ザァァァァァァァァ
窓を挟んでいるというのに雨の音が耳障りな程大きく聞こえる。
「はぁ....嫌になるわね」
零れた言葉は水の音に混じって誰に届くことな消えた。
憂鬱そうに窓の外を眺めるのは松崎綾子。実に稀な、本物の樹の巫女である彼女。
条件さえ揃えばその能力の素晴らしさは、かのオリヴァー・デイビス博士も認める所であ。
まぁ、彼女の場合、その条件が揃うこと自体稀なのだが.....
そんな事はさておき、ここは彼女のマンションの自室。
ベッド脇のテーブルにはワインの空き瓶が数本転がり、薄暗い部屋の中で存在を主張している。
普段ならば実に活動的な彼女の事、彼氏やら男友達やらを呼び出し食事やショッピングを楽しんでいるはずである。
しかし今日は到底そんな気分にはなれず携帯も電源を切ったまま放置している。
原因は昨晩のニュース。最近いやに増えた自然災害の情報だった。
崖崩れが起こったと.....それだけだったなら特別気にはしなかった。
しかし綾子は聞いてしまった、人ならざるものの声を....
聞きなれた優しい、優しい声にそれは酷似していて綾子の心をより深く抉った。
そう、崩れた崖の上の方には、きっちり祀られた御社があったのだ。
その地を護り慈しんできた存在が消えた。
否、大惨事にも関わらす死者が出ていないのは彼女がきっと護って下さったのだろう。
遠く、遠く離れた土地での事.......でも綾子は聞いてしまった。
自分に何が出来た訳でもない。それでも、それでも願わずにはいられない。
どうか安らかに、どうか穏やかに、どうか.....
ピンポ~ォン
綾子の思考を一気に奪い取る、間の抜けた音が響いた。
「..........誰かしら?」
今は誰にも会いたくない。
一瞬眉を顰めた綾子は訪問者を無かった事に決め込んだ。
再び波にゆたうように思考に戻った、否、戻ろうとした。
ピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォンピンポ~ォン
「.........五月蠅い!!」
額に青筋を浮かべた綾子は一直線に玄関に向かう。
一体こんな非常識なインターホンの鳴らし方をするのはどこのどいつだ!!
と、覗き窓から確認もせず勢いよくドアを開ける。
「誰よ!!こんな非常し...き......」
ドアの勢いと同じくらいの問い詰める声は途中で消えた。
目の前に佇むのは某心霊研究事務所の敏腕事務&調査員の青年。
手に持った傘から落ちる雨の雫と少し湿った服から雨足は結構激しいのだと思い至る。
「こんにちは、松崎さん」
「少年? .........何してるの?」
「最近、お顔を拝見してなかったなぁ〜と思い至り寂しくなって逢いに来ました」
「....はぁ.....悪いけど私、今日は誰とも話す気分じゃないの」
にこりと笑う安原に幽霊でも見たかの様にパチパチと瞬きを繰り返した。
やっとこ事で絞り出した言葉に返って来たふざけた物言いに綾子は大きく溜め息を吐き「じゃぁ」と扉を閉ざそうとした。
「判ってます」
先ほどまでの声音が嘘のような静かな声。
外からドアノブを掴まれ、扉はピクリとも動かない。
「何が?」
「昨日の崖崩れに巻き込まれた樹をご覧になられたのでしょう?」
質問の形は取っているが断言する声に綾子の心は震える。
「だったら何?」
「一人で、泣いてらっしゃるのかと思って」
「莫迦にしないでちょうだい」
「泣けないのでしたら、僕の胸をお貸ししますよ」
「いい加減にして!!」
「でも沈んでらっしゃるのは事実でしょう?」
叫ぶ綾子にまったく動じる事なく、安原は言葉を続ける。
まるで綾子が何を言うか予測していたかのように........
「あぁ、あと傷心な松崎さんを慰めてですね〜、少しは僕を意識して頂こうかな〜と思いまして」
「........冗談はやめて頂戴よ。私は玉の輿を狙ってるんだから」
「あれ?僕って稼ぎ悪そうに見えます?」
「.......」
再びふざけたような声の調子に戻った安原に綾子も肩の力が抜ける。
そして、にこやかに笑いながら告げられた言葉に、綾子は瞳を瞬き考える。
目の前の喰えない笑みを浮かべた少年は.....
なんというか、定職に就いていなかったとしても、どっからともなくお金を稼いできそうではある。
綾子の思考を読んだかのように自信ありげに笑う少年。
「ね?僕といればお金にも人生にも困らないと思いません?自分で言うのも何ですが、結構お買い得だと思うんですけど、僕」
にこにこにこ
一見、人畜無害そうな笑顔。しかしその裏に何かある事は今までの経験上知っている。
言葉を返さない綾子に焦れたのか、カタンっという音と共に一歩安原が玄関に踏み込む。
変わらずに浮かべられる笑みが綾子の心に限りない安堵と、少しの不安を呼び起こす。
「し、少年.....」
「僕の名前、ご存知です?」
「は?」
「僕の、名前、です」
殊更ゆっくりと区切って告げられた言葉。
目の前に居る“少年”だったはずの人は、もうずっと前に一人の青年へと成長していた。
もちろん知っていたが今更その事実を突き付けられた気分だ。
「や、安原 修...でしょ?何を今更...」
「えぇ、今更です。ですが、僕には結構大事な事です......松崎さん」
かの瞳に映りこむのは自分だけ......
伸びてきた安原の腕を綾子は振り払わなかった、否、振り払えなかった。
「僕は、ずっと貴女を見ていました」
頬を撫でる大きな手にそのまま身を委ねてしまえればどれだけ楽だろう。
「余計な事、考えてらっしゃいますね?ダメですよ。僕を捕らえたのは貴女なんですから、責任取って下さい」
言葉は何とも自己中心的だが優しく労わるように肩に触れた手と、にっこりではなくふわりと微笑んだ顔。
「逃がしませんよ」と耳元で囁く声。そのどれもが綾子をいとも簡単に絡め捕る。
動けない綾子に笑みを深めた安原は真っ直ぐと綾子を見つめ小さな声で囁いた。
「松崎さん、僕は貴女が好きです」
end
♪ Happy Birthday ♪ LSさんへ捧げる、初☆安綾です。
既に付き合ってる甘々な2人が想像できなかったので、安原の告白(越後屋風味/笑)
な話になりました。どうかお納め下さい^^
今、私が沢山の方と仲良くなれたのは、偏にLSさんが悪☆オンを主催下さったからです。
どんなに感謝して感謝して感謝しても伝え切れない思いでいっぱいです。
これからも宜しくお願い致します。
最近、何かとお忙しいLSさんの癒しになれば幸いです(ぺこり)
「なー、リンさんや?」
「何でしょうか、滝川さん?」
「あの2人は付き合ってるんじゃなかったか?」
「.......そのハズ、ですが」
どこか呆れたような声で訊ねるのは滝川。
それに答えるリンの声も些か固い。
それもそのハズ、先ほどから聞こえて来る言葉の応酬の数々。
大声で叫んで怒っているのは笑顔の可愛い事務所の看板娘である谷山麻衣。対するは静かな声ながらも言っている内容は子供よりも子供っぽい自他共に認める天才博士様。
彼らが何を言い合っているか?
それはもう犬でも喰わないアレな会話な数々....本人たちに自覚の無い辺りが更に質の悪い事この上無い。
「だから!! いい加減に本読むのやめなさーーーいっ!!」
「静かにして頂けませんか?」
「叫ばせてるのは誰だーーーっ!!」
「他人に構ってらっしゃる谷山さんはお仕事お済みなんでしょうね?」
子供だ....大きな子供が居る。
まったく同じ事を思った2人は頬を引き攣らせ目を合わせると大きく溜め息を吐く。
あれでは麻衣がナルの母親のようだ。
「なぁ...いつも、あぁなのか?」
「聞かないで下さい滝川さん」
目を逸らすリンに滝川は問いの答を知った。
不憫よのぉ、娘や......滝川が麻衣を見つめる視線に同情の色が濃く浮かぶ。
「麻衣、お茶」
「休憩されない方には必要ないんじゃーありません?」
にっこりと小首を傾げながら浮かべられた麻衣の笑顔は非常に可愛い...
可愛いがそれを見た者の背筋にゾクゾクしたものが走る。
あのナルも咄嗟に言葉を返せないでいる。
「休憩、する?」
わざと区切って強調された麻衣の言葉に、大きな溜め息と共にナルは手元の本を閉じた。
「麻衣、お茶」
「はーい♪」
パタパタと機嫌良く給湯室へ向かう麻衣。
相変わらずな2人の様子に大きな溜め息と共に呆れたようにリンは呟く。
「はぁ...ナルも初めから素直に休憩すれば良いものを」
「まったくだな。どーせ麻衣にゃ〜勝てんのになぁ」
「本当に」
「そうだリン、この前良い感じの店見っけたんだけど、飲みに行かねーか?」
「辛気くせー気分取っ払おうぜ」と、いつもの飲み会兼保護者会の誘いを掛け、リンの肩を叩いた滝川。
数回、瞳を瞬いたリンは「そうですね」と同様の苦笑を零した。
そんな彼らの視線の先には、温かく穏やかな空間が広がっていた。
<おまけ>
仕事も終わり夜の銀座へと繰り出した2人。
落着いたバーのカウンターに陣取り既にかなりの酒を消費している。
「しっかし、あいつ等が俺たちの息子と娘だとするなら父親は俺?いや、リンか?」
ポツリと呟かれた言葉にグラスを傾けていたリンは盛大に咽せる。
「でも俺、麻衣産めねーしなぁ」と呟いている滝川にリンは恨めしい視線を送った。
end
月羽さん、遅くなってゴメンなさーい><
ナル麻衣?な代物になりましたがどうかお納め下さいませ。
「キライだよ、冬は....」
ポッリと呟かれた言葉。その時垣間見えた横顔がとても哀しそうだった。
「待ってよ〜、麻衣〜」
「早く! 早く!! ほらほら雪! 雪だよ、ジーン!!!」
うわぁぁぁ!!っと瞳を輝かせる麻衣をジーンは微笑ましい想いで見つめる。
白く舞落ちる雪の花の中で真っ赤なコートをひるがえすその姿は実に鮮やかで目が離せない。
先日リビングで紅茶を飲んでる時に麻衣が漏らした小さな本音。
両手で包み込むようにカップを持ち、ソファーに膝を抱えるように座り窓の外を見る少女。
ぼんやりと外を見ている彼女の意識は今ここには無い。
きっと無意識に零れてしまったのだろう言葉。
否、だからこそ本音なのだろうと思う。
雪が...否、冬がキライだと言う彼女が少しでも冬が好きになるようにという想いを込め
ルエラとマーティンが悩みに悩んでプレゼントしたその赤いコートはとても麻衣に似合っている。
本当は僕がプレゼントしたかったんだけど....
両親が麻衣へとコートを渡した瞬間、そんな想いが過ったジーンだったが、両親の優しい瞳と
それを受け取った時の麻衣の嬉しそうな顔に「まぁいいっか」と思い直した。
代わりに麻衣にそのコートを着せて一緒に遊びに行こうと連れ出した。
どうやらそれは正解だったらしい。
雪を見てはしゃぎ、笑う麻衣にジーンは安堵する。
やっぱり麻衣には笑顔が良く似合う。
ジーンは雪に向かって伸ばされていた麻衣の左手を取ると自分のコートのポケットに突っ込んだ。
「寒いね」
「うん、寒いね....」
「でもこれでちょっとマシになるかな?」
悪戯っぽく微笑むジーンに麻衣も笑う。
「麻衣」と小さく呼ぶとジーンはもう片方の手も優しく包み込むように握った。
はぁぁ息を吹きかけると白い息が2人の間に浮かんで消える。
そして今度はコツンとおデコをくっつけた。
いきなりのジーンの行動に麻衣は頬を染め、慌てておデコを離す。
「ど、ど、ど、どうしたの!?」
「べーつーにー、ふふふ。寒いしそろそろ家に帰ろっか?」
そんな麻衣の反応に笑い頬に軽いキスを贈るとジーンは踵を返した。
顔を真っ赤に染めつつ麻衣もそれに続く。
小高い丘をゆっくりと下り始めた2人に強い風が襲う。
ざざぁっと吹いた風に煽られ空一面に光る白い結晶は実に美しい。
「僕は好きだよ」
「へっっ!!?」
つないだ手をそのままに笑うジーンの突然の言葉に麻衣は素っ頓狂な声を上げる。
そんな麻衣の反応にジーンは笑って片手を麻衣の頬に伸ばす。
「冬の寒さも、一見泣き出しそうに見える空も、降り積もる冷たい雪も....麻衣と見るなら温かい」
あぁ.....アタシ、やっぱりジーンが好きだなぁ....
穏やかな水面を想わせる深く優しい瞳。
心の底から沸き上がった想いは麻衣の悲しい心も寂しいという感情をも凌駕し全てを包み込む。
降り続ける冷たい雪の中交わした未来への約束はとっても温かくて、涙が零れ落ちた。
end
遅くなり申し訳ありませんっ ><
初☆ジン麻衣であります。ふんわりほのぼのな感じになった....と思います。
どうぞお納め下さいませ^^ 若宮さんのお気に召して頂ければ幸いです。
くるくると舞うように落ちる木の葉を窓越しに眺めるのは麻衣。
冬を前にしたこの時期は、あちらこちらの木々の葉が一斉に風に攫われる。
昔なら....お母さんが死んでしまった頃なら寂しくて悲しいと感じていたこの季節もナルの隣りに居る事を
許されてからはそんな事を考えなくなった。
世間一般の優しい恋人とは違うけど温かい人だと思う。
そりゃぁ仕事に関して言えば容赦は無いし愛想はないし協調性だって無いけれど責任感は人一倍強い。
ナルが口に出して言った事は無いけど皆判ってる彼の優しさ。
些細だけど思い出しただけで微笑んじゃうくらいアタシ幸せなんだ。
ほら今だって窓際のソファから動かないアタシに手渡される温かい紅茶のカップ。
アタシの隣りに腰掛けてカップを片手に膝の上に本を開けば「聞いてやる」の合図。
こんな時「あぁ、ナルが好きだなぁ」と実感する。
人と付き合うのが苦手な不器用なナルが好きだよ。
本気で判り難い心配や気遣いしかしない人だけど、とっても大切な人なんだよ。
アナタを好きになって良かった。
外はとっても寒そうだけど心はとっても温かい。
こてんっとナルの肩に頭を預けてアタシは外の落ち葉を見る。
なんて事ない日だけれど、それが一番愛おしい。
ふふふと笑みを浮かべれば漆黒の瞳がアタシを見つめる。
「何がそんなに楽しいんだ」と呆れた声が降って来るけどそんな事、今の幸せに比べれば気にもならない。
ひとりぼっちだと思っていたアタシに居場所をくれたのはナル。
ひとりで生きていくんだと思ってたアタシに家族をくれたのはナル。
ひとりぼっちで震えていたココロを包んでくれたのはナル。
「大好き」と呟けば「知ってる」と頭を小突かれる。
うひゃぁと首を竦めるも、さっきから少しも進んでいない本のページに頬が緩む。
「ありがとう」の気持ちを篭めてとびっきりの紅茶を淹れてあげよう。
クリスマスには逢いに行こうね。
きっと素敵な笑顔で迎えてくれる、ナルの大切な人たちに。
家族の意味を教えてくれた愛しい愛しい人たちに。
アタシは伝えたい。
ナルを愛してくれてありがとう。
ナルを守ってくれてありがとう。
アタシは、ナルに出逢えて幸せですと。
end
刃月さんお誕生日おめでとうございます!!大変遅くなって申し訳ありません>x<。
約2ヶ月遅れで更に短いなんて.............返品可ですので遠慮なく仰って下さいませ。
私には最近出来た楽しみがひとつある。
毎日という訳ではないのだけれど、週に2回、運の良いときは3回ほど彼女たちを見掛ける日が訪れる。
ほら、今日も逢えた。
「ねぇねぇ、もう直ぐクリスマスだよね!」
明るくて可愛い声の彼女が隣りの青年に嬉しそうに話し掛ける。
対する彼は一目見たら忘れられないであろう麗しい顔を特に崩す事なく短い肯定を返す。
「それが?」
素っ気ない。でもこれが彼の標準的な受け答えだ。
え? なぜそんな事を知ってるかって?
ふふ。それはね私が働いているフラワーショップが交差点の歩道の直ぐ近くにあって彼女たちは
そこの信号待ちでよく店の前に止まるからなの。
それに前にうちの店で花を買ってくれた事だってあるのよ。
だから彼女の方は私と目が合うとにっこり微笑んでくれたりもするの。
彼女たちに見蕩れてた人から羨ましそうに見られたりして、ちょっと優越感。
でも普段は私はこっそり眺めているだけ。
だって私が居ない方が、彼の顔が穏やかで優しいもの。
彼女も幸せそうに笑ってて、こう見てる方が幸せな気分にさせたれるのよ。
私もいつかそんな「傍に居るだけで幸せ」って人を見付けたいな。
と、こんな無駄な事に意識を飛ばしてる場合じゃないわ。
しっかりとこの福眼な光景を目と耳に焼き付けないと。
「パーティーするんでしょ? ルエラがご馳走いっぱい作るって張り切ってたよ」
「........まぁ、今年はいつになく大量に消費してくれる方がいらっしゃるからでしょう」
「なんだとぅ!!」
「おや、お判りになりませんか? タニヤマさん?」
「態とらしく名字呼ばれるのってムカつく。性格悪ーい」
「それはどうも」
「誉めてませんー」
微笑ましい痴話ケンカに頬が緩んでしまう。
ツンと横を向いた彼女も本気で怒ってる訳じゃないし、からかっている彼の瞳もとっても優しい。
信号が変わるまでのごくごく短い時間。
彼と彼女のほんのひと時の会話しか聞いてないけれど、お互いが本当に大事なんだって判る。
向けられる視線が、伸ばされる腕が、返される笑顔が、ただ愛しいと告げている。
神様、どうかあの2人がいつまでも笑っていられるように見守って下さい。
彼女たちの瞳の奥には深い.......とっても深い悲しみが隠れているから。
それを乗り越えた2人に神の祝福を。
end
月羽さん、お誕生日おめでとうございます☆
ほのぼのナル麻衣&イレギュラーズ以外の第三者視点とのリクになってると思います(多分)
朽葉と仲良くして下さってありがとうございます。これからも宜しくお願い致します^^〃
「今度の調査内容だが...」
ナル....それ家で話さないといけない内容なの?
仮にもガールフレンドと自室にいて寛いでる時に話すべき内容じゃないよね?
僕、麻衣がちょっと不憫に思えるよ.....
ふよふよと闇の中を漂うように浮かんでいた僕に片割れの声が聞こえてきたのはつい先ほどの事。
思わず瞳を開けた先にあったのは懐かしいナルの部屋の景色。
僕は何かに引寄せられるようにその景色を覗き込んだ。
すると片割れだけだと思っていた空間に麻衣も居る事に気付いた。
ベッドに腰掛け相変わらず分厚い本を読んでいるナルの隣りで寝そべっている麻衣。
サイドテーブルの上には麻衣が淹れたのだろうまだ温かい紅茶のカップが2つ。
何て事ないその空間に僕は涙が出そうなくらい嬉しかった。
だったあのナルが自分の部屋に人をしかも女の子を入れて平気な顔してるなんて....
僕は感動したんだ。
なのに....なのに聞こえたのは冒頭のナルの言葉。
お兄ちゃんは嘆かわしい、本当に嘆かわしいよ....
今度お説教してあげるからね。
ぐっと拳を握り決意する僕に構わず2人の会話は続く.....色気の無い会話が。
「ナル」
「何だ?」
「ナッツとチョコだったらどっちが良い?」
「..........」
唐突に変わった会話の内容に僕は目を瞬かせる。
ナルも「はぁ?」って顔してるからきっと僕も同じような顔してるんだろうなぁ。
にっこり微笑む麻衣を無視してナルは手元の本に視線を戻す。
無駄な話に付き合う義理はないというナルのポーズだ。
が、その程度で諦める麻衣じゃぁない。
それくらいでないとナルの隣りになんて居られないよね。
うんうん、と僕は大きく頷きながら次に麻衣がどう出るのか楽しみに見物する。
「どっちでも良い?ならチョコにバナナとアイスを付けてあげよう♪」
にこにこにこにこ
「..........何の話しだ」
「ん?クリスマスケーキ♪ 生クリームダメでしょう? だーかーら、麻衣ちゃんお手製のケーキをだねぇ」
「いらない」
「なになに?生地には砂糖とキャラメルをたぷっり?まかせなさーい!!」
「麻衣」
「バナナだけじゃ嫌?よしよし、ではイチゴとメロンも付けちゃおう♪」
「麻衣!」
「ナッツとチョコだったらどっちが良い?」
「.....................甘くない方」
麻衣の言葉と、にこにこ笑顔にナル嫌な予感を覚えたらしい。
ひっじょーに不本意そうに訊ねるその顔に僕は吹き出してしまった。
麻衣の言葉を遮って一刀両断したのに麻衣のが上手だし。
ナル! ぼ、僕「世界初☆死んでるのに更に笑い死んじゃった幽霊」になれそうだよ!!!
あははははははははははははははは!!!!
僕は浮遊した状態だというのに、ゴロゴロと身を捩って笑い転げた。
色気はないけど、まぁ良っか。
ナル、君が幸福せなら僕も嬉しい。麻衣、君が笑っていると僕も笑顔になれる。
これはきっと僕だけじゃないよ。
君たちの周りにいる仲間だって....もちろん、ルエラだってマーティンだって幸福せになれるんだよ。
喧嘩したって良い、泣いたって良い。
君たちが隣りに居て笑っていられるのなら、それ以上の幸福せなんてないよね。
end
ハイゴ様、お待たせ致しましたー><
リクエスト頂いたナル麻衣ようやく完成致しましたのでどうかお納め下さい☆
どうぞ今度とも宜しくお願い致します♪
桜の花弁が舞い散る庭園に2つの影が落ちる
それは1組の若い男と女であった
女がまといしは紅、そして男がまといしは紫...........どちらも至極の色目
気高く咲き誇る桜に手を伸ばそうとした女の細い手を背後から男の手が包み込む
背中に寄り添った温もりに女がそっと振り返る
黒く透き通った女の瞳に吸い込まれるように男はその頬に触れる
「秀麗、愛している」
愛おしい
だたその想いだけを篭めて男は女の顔に影を落と.............そうとした
しかし、その行為は女の手によって止められた
「秀麗?」
「劉輝..........」
キョトンとした瞳で見返す男に女は微笑みを携えて名を呼ぶ
名を呼ばれた事を勝手に了承と取った男は再び女に手を伸ばした
パシっっっ
しかしその手は女によって大きく振り払われた
「いつまでも甘ったれてんじゃないわよ!!アナタ何様!?王様だったらもっとしっかりしなさいよ!!」
「しゅ、しゅう.......れ、い?」
ギンっと鋭い瞳で睨み付け啖呵を切る女に男はただ呆然と名を呼ぶ事しかできなかった
そんな男に女は更なる怒りを覚えたようだ
「何よ!言いたい事があるんならちゃんと言いなさい!!」
「い、いや!その...........」
「シャキっとしなさいシャキっと!!私、ハッキリしない人って嫌いなの!!」
女の言葉に衝撃を受けた男は、傍目に判る程に固まってしまった
しかしそんな男をものともせずに女は続ける
「大体ね、大逆転を掛けてるから春まで待てって大口叩いたクセに、その舌の根も乾かない内に後宮に入ってくれ?ザケんじゃないわよ!!そんな男、こっちから願い下げよ!!」
「しゅぅれ...........ぃ」
「まぁそれも目出たく破談よね。リオウ君に頼んで縹家に連れて行ってもらって正解だったわ!!縹家では結婚も出産も女に決定権があるそうよ、アナタと縁が切れて清々したわ!!」
ふんっと勢い良く吐き捨てた女は涙に濡れる男を放置しその場を去った
残された男はただ愛しい女の残像をいつまでも見つめているのでした
めでたしめでたし
「そ、そ、そんな話!!余は、余は信じないぞーーーー!!!!!!」
大きな叫び声をあげて寝台より飛び起きた男......もとい彩雲国の王、紫 劉輝は
月明かりに照らされた室内を見渡して安堵した
「ゆ、夢か.........」
力無く呟いて胸に手をやれば心臓がやけに大きく鼓動を刻んでいる
大きく息を吐いた劉輝はいつも懐に入れている布を取り出した
そう、貴姫時代に秀麗がくれた刺繍の入った贈り物である
劉輝の数少ない宝物
「秀麗.......」
夢と同じく愛おしげに呟いた劉輝をただ月だけが見ていた
end
<後日談>
「あははははははははは!!」
壁に手をつき溢れる涙を隠そうともせずに爆笑する青年を恨めしそうに睨む劉輝
手を握り締めずっと耐えていたが最早限界であった
だんっっ!!と大きく机を叩き立ち上がった劉輝は青年に向かって叫ぶ
「楸瑛!! 何もそんなに笑う事はないであろう!!!」
「いや、だって、初夢が、そんな面白......じゃなくて、酷、い...............っく」
息が出来ない程に笑い転げる側近、我関せずを貫き通す側近の態度に
遂にのの字を書いて机の下に潜ってしまった王
そして彼の王の想い人の性格を誰よりも知り尽くしているが故に
夢の内容に対して慰める言葉が浮かばない元公子
そんな楽しい様を、ただただ大人たちは微笑ましげに眺めるのでありました
美桜子さん、お誕生日おめでとうございます♪
1日遅れてしまいましたがどうぞお納め下さいませ><
人生初の彩雲国物語(しかも劉輝×秀麗?)です。
「もうちょっと成長しないとあげられないわ」の想いを篭めすぎました(笑)
パンチの効いたもの?になったでしょうかね?
返品可ですので別のが良ければお申し付け下さいませ〜☆
そんな事は昔っから日常茶飯事だった。戦争での英雄はそれだけ沢山の人を殺したという事なのだから。
だから人から怨まれる事も憎まれる事も恐れられる事も慣れたものだった。
君はそんなモノに慣れるなと怒ったけど................あぁ......いま、無性に君に逢いたいかもしれない。
いつもの如くバターンっと勢い良く開けられた執務室の扉。
よー無能大佐ちゃんと仕事してっかー?と上官を上官とも思わない暴言を投げつける見慣れた子供の姿。
対する大人気無い大人は大きな執務机に陣取って皮肉な笑みと言葉を返し14も歳の離れた少年と同レベルの口喧嘩を繰り広げる。
それがいつもの東方司令部の風景だ。しかし今日はその光景を目にする事はなかった。
元よりその部屋にはロイ・マスタング大佐しか居なかった事もあるが、蝶番が軋む程の勢いで扉を開けた子供.......
否、エドワードがロイの顔を見た瞬間、投げかける予定の言葉を呑み込んだのだ。
いつに無いエドワードの様子に「鋼の?」と呼び掛けると同時にロイは不思議そうに首を傾けた。
ロイのその態度に瞳を鋭く細めたエドワードは次の瞬間「はぁ....」と小さく溜め息を吐いた。
「久々に逢った恋人の顔を見た第一声が溜め息とは相変わらず君はつれないね」
少しの本気と皮肉を篭めたロイの言葉にもエドワードは構わず、後ろ手に扉を閉めると顰めっ面のまま足を進めた。
目の前の男が発する目に見えない細い緊張の糸を切らないようにエドワードはゆっくりと近づくとロイの前で足を止めた。
「アンタさ自分の顔、鏡で見て来いよ。ひっでぇ顔してんぜ?」
「君は人の顔を見るなり酷いな。これでも街のお嬢さん方には素敵と頬を染められる顔なんだがね?」
「ふん、俺にそんな取って付けたような変な顔が通じると思ってんのか?笑いたくない時に笑うなって言ったのはアンタだだろ?それに、俺の前で取り繕うなんて許さねぇ」
視線を逸らす事なく断言された言葉にロイは僅かに目を見張った。
そしていつもと変わらないように見せかけていた笑顔という名の仮面を降ろした。
「...............驚いたな。中尉や少尉たちですら気付かなかったのに」
「違うだろ」
「.......あぁ、そうだな。彼らはきっと気付かないフリをしてくれていたのだろうな」
部下に気ぃ使わしてるようじゃぁまだまだだな大佐殿?とエドワードが言えば、なぁに部下が気を使ってくれる位に慕われているという事さとロイが返す。
いつもの軽口。しかしロイの心にいつものような余裕は感じられなかった。
この僅かな会話で恋人の精神状態を正確に見て取ったエドワードはくるりと踵を返すと勢いよくソファーに座った。
そしてぽふぽふと自分の隣りを叩きながらロイを呼んだ。
「.........アンタもう喋んなくて良いからこっち来いよ」
「はがねの?」
「いいから黙ってこっちに来やがれ無能」
優しいとは言い難いエドワードの呼び掛けだが、その有無を言わせない声に導かれるようにロイは立ち上がった。
コツ......コツ......とゆっくりとした足取りでソファーに座るエドワードの前に立ったロイの指先が、まるで許しを請うかのように
エドワードの頬に向かって伸ばされた。
「鋼の」という吐息のような呼び掛けと同時に頬に触れる指先は冷たく優しい。
何を隠そうエドワードはこの手が結構好きだった。
決してキレイだとは言い難い手だと知っている。
いつだったか目の前の男は「血に染まった手だ」と自嘲気味に評していた。
それでも自分を深い闇の中から引き上げてくれた力強い手だ。
希望という名の光を与え、時に厳しく、時に優しく差し伸べてくれる掛け替えの無い手だ。
確かに沢山の血に染まっているかもしれない、でもそれ以上に誰かを守って救ってきた手だと思う。
そんな事を考えている内にロイの瞳に変化が現れた。最初に見えた全てを拒絶するかのような色はもう感じられない。
やがて感触を確かめるように触れていた指先が滑り、掌が頬全体を覆う様に当てられる。
冷えきっていた大きな手にエドワードの体温が移り温まった頃、全てを吐き出すかのような吐息が零れた。
それまで黙ってロイを見ていたエドワードは再び自分の隣りをぽふぽふと叩いた。
つまり、隣りに座れと。
ドサリとソファーに腰を降ろしたロイは背凭れに頭を預け静かに瞳を閉じた。
そしてもう一度深く息を吐いたロイの頭を包み込むようにエドワードの腕が回された。
「俺はいつもアンタの側に居てやれるわけじゃないけどさ、近くに居る時くらい支えさせろよ」
「.................君は、たまにイヤになるくらい格好良いね」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」
膝に乗上げたような体勢のままふんぞり返って宣言するエドワードにロイが少しだけ笑った。
それは作られたものでも皮肉を篭めたものでもなく、ただ思わず浮かんだ穏やかな笑みだった。
普段はまったくつれない癖に、こんな時だけ優しいなんてズルイじゃないか。
これ以上惚れたら一体どうしてくれるんだ。
ロイはそんな恨み言を呟きながら、どうやら今日はめいいっぱい甘やかしてくれるらしい恋人の肩口に顔を埋めその小さな身体を両手で抱き締めた。
もう大丈夫だと笑えた。
この稀有な黄金が腕の中にある限り、私が光を見失う事はないのだから。
end
ねこめ様、お誕生日おめでとうございます★
いつも素敵で可愛いイラストに癒され、キュン死にしそうになってますvvv
ささやかながらお誕生日のお祝いを捧げさせて頂きます。お気に召して頂ければ幸いです。
糖質高めのロイエド...........あま、い....でしょうか?
エドさんが男前で格好良すぎた所為であんまり甘くない気も........すいません。
返品可ですのでもっと甘いのが良いわって事があれば遠慮なくどうぞ☆
※このエドさんは男の子です
「はがねのー」
語尾にはぁとが付きそうな猫なで声で名を呼ばれると人間は脱力するらしい。
しかもそれがかなり年上で同性の上司だと尚のこと力が抜ける。
いっそこのまま無視して司令部に行っても良いだろうか?そんな現実逃避をしてしまう俺を誰が責められよう。
などと考えている間に人の気力を根こそぎ奪った上司は満面の笑みを浮かべながら近づいて来る。
「元気そうだね鋼の。逢いたかったよ」
「............あー、ひさしぶりー」
若干目を合わせないように挨拶を返す。
いや今目を合わすとコイツ色々とマズイんだって。
前におもいっきり睨み付けてやったら「そんなに見詰められると照れるじゃないか」とか言って頬を染めやがったんだ。
ぶるり。あぁぁぁぁぁぁ思い出しただけで鳥肌が立つ。
記憶から抹消したい出来ごとのひとつだぜ。
頭から無理矢理その光景を追いやったときさっきまで隣りにいたアルフォンスが居ないことに気付いた。
きょろきょろと周囲を見渡せば通りを挟んだ向こう側にトランクを持って立っていた。
そして俺と目が合ったのを確認した瞬間、生身ならそれはもう素敵な笑みを浮かべた弟が叫んだ。
「兄さーん、僕これから今日の宿の手配と図書館に行って来るから〜。あと夜はミーちゃんやみやぁちゃんたちとデートしてるから僕のことは気にしないで〜!!あと、大佐に迷惑かけちゃだめだよー!!大佐〜返却はいつでも良いですから〜!!」
「あ、こら待て!お前は兄を見捨てる気かーーーっ!!あるぅぅぅぅぅぅ!!」
「良い義弟(おとうと)だなぁ、アルフォンスは」
じゃ!と猛ダッシュして去っていった弟に気を取られている間に問題の上司は俺の直ぐ隣りに迫っていた。
義弟ってなんだ、アルは俺の弟だぞとは思うけど言わない。
だって前に「いずれ私と君が結婚したらそうなるんだから良いじゃぁないか」って真顔で言いやがったんだぜコイツ。
というか何してやがる。その腰に置いた手をどけやがれ。
ダメだと判っていたハズなのに思わず睨み付けてしまった俺に奴は「相変わらずつれないね」とかほざきながら顳かみにキスしてきやがった。
あぁ、もうコイツは.........
「お帰り、エドワード」
「..........................おう」
ようやく返した返事に笑うと大佐は「行こうか」と俺を促し歩き出した。腰を抱いたまま。
いや判ってたけどさ。
「どれにする?このイチゴのパフェが1番人気だそうだが?」
「あー、じゃぁそれで」
「シフォンケーキセットもどうだい?」
「へ?あぁ旨そうだなぁ」
あれからスイーツが美味しいと評判の店に俺を連れてきた大佐。
君、甘いもの好きだろう?と微笑んだ大佐に見蕩れたなんて言ってやらねぇ絶対。
自分が素直じゃないことも目の前で笑顔でアイスを頬張る男が俺を、あ、愛しちゃってることも知ってるけど毎回イーストシティに帰って来た時に繰り広げられるやり取りにコイツも俺もよくやるよなぁと半分は自分のことながら呆れもする。
「今回の旅はどこに行っていたんだい?」
「どこって報告したじゃん、西部のルスカルドって街の錬金術師のとこだよ」
「それは聞いたな。途中にあるのはその街だけじゃないだろう?」
「...........そんなん聞いて楽しいもん?」
「楽しいとも。普段見れない君たちのことだからね」
照れもせずというか本気で楽しそうに笑う大佐にやっぱ本気で脱力する。
街の中だとか人の目だとか色々あるんだけど、コイツのこんな顔が見れるんなら何かもうどうでも良いやって気分になってくるから不思議だ。
絆されるってこういうことを言うんだろうなぁ。
俺の旅の話に相づちをうち、眉をひそめ、心配し、拗ね、考え、そして笑う大人が好きだと思う。
目が合うと「どうした?」と優しい目で訊ねるアンタを見てたら胸の奥から穏やかで温かいものが溢れてきた。
あぁ、ここが俺の帰る場所だ。
「ただいま、ロイ」
自然に出てきたその言葉にアンタは一瞬目を見張ってそして幸せそうに笑うんだ。
end
某方のお誕生日に捧げるために書いた作品の片割れをリサイクル(笑)
ちょっと書き直しもしつつ........流行のエコですよねエコ
(エコって打とうとしたら手が打ち慣れたエドを打つww)
※パロですご注意ください※
むかーしむかし、東の都のさらに東に位置する所にリゼンブールという村がありました。
特に大きい村ではありませんでしたが、昔から優秀な織物師が育つと言われておりました。
中でも一番優秀な織物師を「織り姫」と呼び、その者が織る織物は天帝に献上されるほどの品で
リゼンブールの「織り姫」と言えば国一番の織物師と同等の意味を持っていたのです。
当代の織り姫はとっても働き者の少女で、先代織り姫の愛娘でもありました。
その少女は艶やかな金色の髪と蜂蜜を溶かし込んだような深い金色の瞳を持ち、弱き者には優しく
悪しき者に負けぬ強さを持ち、その容姿はとても美しいと有名でした。
しかし彼女は幼くして両親を亡くしたせいか己の容姿にはまったくの無頓着で、沢山の求婚者たちには
目もくれず、というよりは気付きもぜず、たった一人の弟を養うため懸命に働く日々を送っておりました。
彼女には一度集中すると他の事が一切頭から抜け落ちる悪癖があり、寝食を忘れ夜通し機を織ったり
珍しい文献が手に入った際、読み終わるまで手放さず倒れかけることもしばしばあったのです。
そんな彼女をずっと傍で見ていた弟は思いました。
このままではいつか姉は過労死してしまう。そんなことになるま前に何とかしなくては.....
そうだ、優秀だけどちょっとサボり癖のある男と結婚させてしまえば良いんだ!!
他の人が聞いたら思わずそれで良いのか!?
とっつこみたくなる事を思い付いた彼は早速、姉の結婚相手を探すことにしたのでした。
一方こちらは東の都でも最大の都市、イーストシティ。
そこでひと際大きな建物は天帝のおわす城で=通称、東宮(ひがしみや)と呼ばれておりました。
その宮の一室で膨大な量の書類に囲まれ執務に明け暮れている男がおりました。
男はぬばたまの黒髪と深く吸い込まれそうな漆黒の瞳をしていました。
毎日、裁いても裁いても沸いてくる書類に辟易していたその男は、明日できる事は明日する!
をもっとうに仕事をよくサボるのでありました。
これに困るのは彼の配下たちです。
役に立たないただのボンクラならば切って捨ててしまえば良いのでしょうが、彼の物事に対する判断能力も
有事の際の統括力も完璧。
人を惹き付けるカリスマ的魅力も持ち合わせており、普段のサボり癖さえなければ最高の上司なのです。
側近たちは考えました。
この困った上司が普段の生活において、持ち合わせた実力の半分でも発揮させるにはどうすれば良いのだろうかと。
上司の親友は言いました。
アイツの舵を取れる賢い嫁でも見つけてみたらどうだと。
確かに一利ある。
そう思った側近たちは早速、上司の結婚相手を探すことにしたのでした。
こんな冒頭で始まる七夕パロはどうだろう?
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