*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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あっめあめ ふれふっれ かっあさんがー じゃのめで おっむかい うれっしいなー
ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ らんっらんっらん
能天気な歌がどこからともなく聞こえる......
煩い。
“はぁぁ” 僕は大きく息を吐いて書斎から出る。
当たりを付けたリビングに人影は無い。
.....どこだ?
首を傾げた所で、再び歌が聞こえてきた。
バルコニーか?
何が楽しいのか、麻衣はバルコニーに椅子を持ち込み、その上でご機嫌に歌を歌っている。
あっらあら あのこは ずっぶぬれだー やっなぎの ねかたで ないているー
「煩い」
「あ、ナル! おシゴト、おわった?」
ひと言声を掛ければピタリと歌は止み、満面の笑顔の麻衣が振り返った。
「何をしている?」
「あめのオトきいてたのー」
「......楽しいのか?」
「うん♪」
...........僕には理解不能だ。
「紅茶、飲むか?」
「のむー!」
ピョンっと椅子から飛び降りた麻衣は僕の手を引きキッチンへと向かう。
その間もさっきの歌を口ずさみながら...
かっあさん ぼくのを かっしましょかー きみきっみ このかさ さっしたまえー
ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ らんっらんっらん
「麻衣」
「なぁーに?」
「その歌」
「うた?」
「歌」
「あめふりだってー。ぼーさんがおしえてくれたのー。マイもカサもっておむかえしたーい」
「.....誰を?」
「ナルっ♪」
「......その為には僕が一人で出かける必要があるな?」
「むぅー、それはイヤー」
椅子を引張り出し背凭れに顎を乗せ、まだ麻衣は唸っている。
「ひとりはイヤー、でもおむかえはしたーい」
ケトルを火に掛け、茶葉を用意したところで、ルエラから小包みが来ていたのを思い出した。
「麻衣」
「んにゃ?」
僕の呼び掛けに振り返った麻衣の口にクッキーを放り込む。
むぐむぐ、と何とも言い難い声を発しながら食べる麻衣。
全てを飲み込んだ所で、満面の笑みが浮かぶ。
「おいし〜♪」
「ルエラからだ」
「ルエラすきーvV」
そう言うと、ニコニコ顔で僕の腰に巻き付く。
「こら、危ないだろう」
「はーい。ルエラのおむかえでもイイな♪」
「は?」
何をまた突然言い出すのかと、僕は呆れる。
「ルエラがニホンにきたとき、あめだったらおむかえ行ってもイイ?」
「......覚えておこう」
end
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「ナルー、なんかおハナシしてー」
麻衣のそんな言葉からこれは始まった。
「麻衣、もう寝る時間だぞ」
「ぅーん、もうちょっとー」
「ダメだ」
「ナルもいっしょ〜?」
「...僕はまだ仕事がある」
「.......」
無言の圧力というのは厄介だ。何だったか、ニホンのコトワザってやつにこんな言い回しがあったな。
目は口ほどにモノを言う.................はぁ。
「寝るまでだ」
「わーいv」
ようやく寝室に向かった麻衣はベッドに寝転んだ。
シーツを掛けてやり、僕も隣りに寝転ぶ。それで麻衣は安心するらしい。
「あしたは、ハレるかなぁ?」
「さぁ?」
「ぼーさんたち、くる?」
「さぁ?」
「リンさんのレイメンたべたいなー♪」
「それはリンに言え」
「で、アヤコのゼリーたべるの」
「あぁ」
「ナルのコウチャものみたい」
「気が向いたらな」
「ジョンに、だっこしてもらってー、しゅうくんと、ぼーさんのヒメゴトをアバくかいをひらいてー、マサコのひざにのるの〜」
「.............」
麻衣に対し適当に相づちを打っていたナルだが、聞き慣れない単語に脳が拒絶を起こした。
「.....しゅ、う?」
「しゅうクンだよー。メガネでニコニコなのー」
「..........もしかして、安原さんの事か?」
麻衣、僕はたっぷり10秒は脳が停止した気がするぞ。
「あのねー、ホントはオシャムくんなんだけど、よびにくいって言ったら、じゃぁ “しゅう” でどうです? って」
ニコニコニコニコ
「.............」
まぁ、本人が良いと言ってのなだから、僕は聞かなかった事にしよう。
「そうか」
「うん。でもねー、マイはマサコのおひざより、ご本よんでるナルのおひざのほうがスキなのー」
「僕は忙しい」
「しってるー。だからマサコのおひざにのるのー」
「.......」
これは賢明な判断だと誉めるべきなんだろうか?
「かわりに、コウチャのんでるナルに、だっこしてもらうのー」
にぱっ
何がそんなに楽しいんだ? そう思いたくなるくらいの笑みを僕に向ける麻衣。
「それは、喜ぶ事か?」
「うん。だってナルはマイがだきついても、おこんないもん」
「.......?」
「だってナル、さわられるのキライでしょ?」
何て事ないように言われた言葉に僕は驚いた。
<子供....特に女の子って結構敏感なのよ>
以前、言われた言葉が頭に響く。
「松崎さんの言葉が証明されたな」
溜め息と共に視線を戻せば、麻衣は目を擦っている。
ポンポンと背中を叩いてやれば、やがて小さな寝息が聞こえた。
end
GH(3本)まるマ(1本)
<どうしたの?> GH(ナル麻衣)
それは何て事ない日
いつもと何も変わらない
でも.....
「ナル?」
急に凭れ掛かって来たナルに小さく呼び掛ける
返事は返らない......ただアタシを抱き締める腕に力が篭められる
ごくたまにある日こんな日はただされるがままに
心を、特に弱さを見せないナルが言い様のない不安に襲われた日
アタシの存在を確かめるように....
大丈夫
アタシはここに居るよ
そういう想い篭めてアタシは取り留めも無いことをつらつらと話し続ける
プライドの高いナル
アタシに知られてるなんて判ったらきっと止めてしまうだろうから
だからアタシは訊くの
どうしたの?
返って来るのは「何でも無い」の言葉だけ
判ってる
頭の良いナルだもん
アタシが気付いてる事なんてきっと判ってる
それでもアタシは続けるのこれはアタシだけに許された特権だから
<悪戯> まるマ(コンユ)
「ふっ...ぅ...」
甘い声が響く薄暗い室内。外からは雨の音だけが聞こえる。
水のベールに守られて世界に唯2人だけしか居ないような感覚。
華奢な腰に手を回しシャツの裾から手を入れる。
ピクリと震え、逃げを打とうとする唇を許さず後頭部を押さえつけより深く貪る。
「...んん.....」
息苦しくなった所為かぐもった声が上がる。その事がさらに俺を煽る。
スルリと腰から背中を撫で上げればさらに顕著に揺れる身体。
愛しい
ユーリ、あなたがこんなにも愛しい。
ようやく解放した唇は紅く色付きユーリの妖婉さをこれでもかと引き出す。
俺以外に見せないで下さいね。
ユーリに見蕩れて動きの停まった俺に「どうした?」という瞳が向けられる。
お気に入りだと言う俺の髪に手を差入れ首を傾けるユーリ。
「何でもありません、唯あなたに見蕩れてただけです」
「こっ......なんちゅう恥ずかしい事を.....」
「事実ですから」
「.....もぅ、イイ」
真っ赤な顔で睨み上げるあなたも可愛いですね。
首筋に顔を埋め普段は隠された絹のように白い肌に所有印を刻む。
もう....手放しませんよ。
ついでに差入れたままの手を滑らせる。
「くすぐったいって」
「くすぐったいだけ?」
「さぁ?」
クスクスと笑いながら言われた言葉に耳元で囁き返せば悪戯な笑みを向けられた。
間近で開いた美しい漆黒の瞳。
あなたの瞳ならば何色でも愛しい事に代わりはないだろうけど。
俺は笑う。
あなたも笑う。
本格的に降り始めた雨を背に俺は目の前の身体に溺れていった。
<見つめるだけ>(ジーン独白)
あ、ナル.....麻衣も居る?
他のメンバーも全員.....
君はもう大丈夫なんだね
“ひとり” じゃない
その事がこんなにも嬉しい
それを傍で見れない事がこんなにも悲しい
ナル...
僕の半身
僕のただ一人の弟
愛してるよ
鏡の向こうからしか見る事はもう叶わないけれど
ずうっと見てるよ
君が愛される意味を知った事
君が誰かを愛する日が来た事
どこまで見れるか判らないけれど
許されるまでは君の傍に
<結局は>(ナル+麻衣)
「ぬぅっ......お、重ぃ....」
渋谷、道玄坂を一人の少女が汗を流して歩く。
その細い腕のどこにそんな力があるのか、大量の本を抱えている。
「麻衣?」
「....へ? あ、ナル。どっか行くの?」
「否これから帰る」
「ラッキー♪ じゃぁ、コレ持って.......」
大量の本の一部を持たせようと瞳を輝かせた麻衣。
ナルから一瞬目を離し、荷物を渡そうと手を伸ばせば、ナルの姿は既に遥か前方に.....
しばし呆然と佇む麻衣。沸々と湧き出る怒りに麻衣は今までより足を速めた。
「アンタ、自分の本でしょうがっ!!」
ダンっ!!! と所長室に取りに行った本を叩き付けた麻衣。
暑いし!重いし!疲れたし!!!と叫ぶがナルは気にもしない。
「それがお前の仕事だろう」
「ぐっ....ち、ちょっとぐらい手伝ってやろうって気は無いのかいっ!?」
「なぜ僕が?」
「..........」
そーだったね、そーいう奴だよねアンタって。思わず遠い目をしてしまう麻衣。
遠くに意識を飛ばした麻衣を他所にナルは本の世界へと戻る。
はぁ....と大きく息を吐いた麻衣はこれ以上ナルに何を言っても無駄だと踵を返す。
「麻衣、お茶」
........ぞーきんの汁入れちゃろか
口元を引き攣らせた麻衣は、ワザと バタンっっ!! と大きく音を立てて所長室の扉を閉めた。
end
「寒いっ!!」
「11月にもなればさむくてトウゼンだろう」
そろそろ寝ようとベッドに潜り込んだ麻衣がそのシーツの冷たさに思わず叫んだ。
それを呆れたように見やり、さもあらんと言葉を返すのは突如5歳に戻ってしまったナル。
5歳児にしては難しい英文の本を読んでいるあたりが小さくなってもナルと言わしめる要因の1つだ。
「ナルは寒くないの〜?」
「べつに....それにあついよりマシ」
「可愛くなぁい...」
「それはどうも」
「...........」
取り付く島も無い.....いや、返事が返る分だけマシと言えばマシである。
腕の中にすっぽりと収まるクッションを抱き締め、ぷっくり頬を膨らませた麻衣。
(お前は一体いくつだと普通のナルならば突っ込む所だろう)
本を読み続けるナルを見て何かを思い付いたらしい麻衣は、ふふふと笑みを浮かべた。
「マイ?」
不穏な...というか怪しい雰囲気を感じ取ったらしいナルが麻衣の名を呼ぶ。
そんなナルに返事を返す事なく、麻衣は手にしたクッションを脇に置くと「えいっ!」の声と共にナルを「ぎゅぅっ」と抱き締めた。
「ふにゃー、やっぱあったか〜い♪」
唖然と固まるナルを他所に、麻衣はご満悦である。
髪を撫で、頬をつっつき、ゴロゴロとまるで猫のように擦り寄ったりやりたい放題な麻衣。
「.....はなせ」
「やーだ♪ ナル、あったかいねー」
「........」
まえにもあったなこんなコト....ナルがどこか遠い目をしている。
こんな麻衣に何を言ってももはや無駄だと経験済みなのだ。
何を言っても自分が疲れるだけなので麻衣の好きにさせる事が一番楽だと....
しかし溜め息が漏れるのは止められない。
「はぁ.......」
「なぁに溜め息なんて付いちゃってんのさー」
「.........」
だれのセイだ、だれの! と視線で訴えるも麻衣に届くはずもなく。
麻衣はナルを抱き締めたまま布団に潜り込んだ。
「ナル...おやすみ」
「........Good night、マイ」
憮然としながらも小さく返された言葉に麻衣は笑みを深くする。
大きい時は絶対できないけど、と思いつつナルの額に “ちゅ” とキスを贈る。
そして再度 “おやすみ” と囁き幸せな気持ちで眠りに着いた。
実に寝付きの良い麻衣にナルが溜め息を吐いた事は言うまでもない。
ーーー 翌 朝 ーーー
「起きるのか?」
良く寝たーと布団から出た麻衣に掛けられた上の言葉。
どこか寂しげに見つめて来る瞳に、麻衣は言葉を失った。
じーっと寄越される視線には逆らえず、温かい布団の中へ戻った事は言うまでもない。
寒い冬の暖かい出来ごと。
小さな幸せを噛み締めて眠る2人は、ただ穏やかに、ただ静かに.....
end
それは休日の早朝の事でした。
日課にしているスズメさんたちへの餌やりを終え私も朝食を取ろうと食卓に着いた時に起こったのです。
白粥と煮物という質素ながらも温かい料理と青茶(チャンチャ)。
まったくもっていつも通りの朝の風景だったのです。
ピーンポーン
突如鳴り響いたインターホンの音に私は思わず時計を見ました。
朝6時半。
非常識にも程がある。
とは思えど仕事ならば隣りに住んでいる年下の上司は時間など関係なく持ち込んで来る事は判っていたので
今回もその類いであろうと私は手に持った箸を置き玄関へと向かいました。
オートロックを解除しドアを開くと、そこには黒髪の上司が.......いませんでした。
否、上司は疎か誰も居なかったのです。
一瞬、我が家に心霊現象なるものが発生したのかと考えてしまいましたが、その思考は直ぐに寸断されたのです。
なぜなら
「パパー♪」
という声と共に太腿に激しい衝撃が訪れたのです。
聞き覚えのある声ではありますがその見慣れた姿はありません。
私は恐る恐る視線を下へと降ろしました。
すると5歳くらいの可愛いらしい少女が私の太腿に捕まり満面の笑みを浮かべて私を見上げていたのです。
少女は私と目が合った事が嬉しいのかさらに、にっこりと笑いこう言いました。
「パパ♪」
....................!!!!!!!!?
ち、ちょっと舞ってじゃなくて待って下さい!!!!
パ、パパって誰の事デスカ!!? 否、この場合ワタシの事でしょうか!?
このとてつもなく某国に居るであろう上司にソックリな目の前の少女が私をパパと....
パパ!!!!!!?
完全に私の脳の許容範囲を越えてしまった衝撃に私の意識は遠くなりました。
が、しかし目の前の少女はそんな事さえ許してはくれませんでした。
「ちょっとパパ!! なにゲンジツトウヒに走ってるのよ! 男でしょしっかりしなさい!!」
腰に手をやり、びしっと私に説教をした少女は固まったままの私に向かってさらに追い打ちを掛けるように呟くのです。
「男ってこれだからつかえないのよね」
ふぅ...と5歳児とは思えぬ溜め息を吐いた少女は再び私に視線を戻します。
今度は一体何を言われるのかと身構えた私に少女は事も無げに告げます。
「ところで、そろそろ家にいれてくれない? シセンがイタいわ」
それだけ言うと少女は私の隣りをスタスタと歩いて家の中に進みました。
本来なら止めるべきなのでしょうが、そんな事さえ今はどうでも良いと思ってしまいました。
なぜなら、衝撃のあまり脳が凍り付いていた私は気付けなかったのですが、早朝の玄関先でこれだけ騒いでいれば
ご近所の方々が一体何事か?と気になるのは道理。
数件の玄関のドアが僅かに開かれ、その隙間から幾つもの瞳が覗いていました。
その中には見知った亜麻色の髪の少女が居ます。
私と目が合った瞬間、さっと視線をズラしますが皆さんドアを閉めようとはなさいません。
自分の頬が大きく引き攣ったのが判りました。
明日.....否、今日の午後にはきっと私の隠し子疑惑が真しやかに囁かれている事でしょう。
................泣いても良いでしょうか?
end
GH(2本)まるマ(1本)鋼(1本)
<誘うな危険> GH(ナル麻衣)
お題配布元「Discolo」様 http://discolo.tuzikaze.com/index.html
「やっ........あっ!」
触れる程に甘く深い闇に誘(いざな)うその身体はまるで麻薬のようだ。
きっと彼女は侵してはならない領域。
そう判っているのに...
「......なるぅぅっ!!」
その声に、その瞳に、その全てに....今もまた溺れてゆく。
声を消したいのなら音を紡ぐ口唇を塞げば良い。
零れる涙が邪魔ならば拭い去れば良い。
触れてくる指先が僕を求めるならばそれ以上の強さで搦め取る。
身体が熱いというならば何も考えられないようにしてやろう。
僕とお前を隔てるものは全て消し去ってやる。
だから....だからお前も、堕ちて来い。
「もっ.....もうダメっ!!!」
誘ったのはお前だ。
<くやしいほど君がすき> GH(滝綾)
恋したくなるお題(配布)より「未病で末期な恋心」
「アンタなんか嫌いよ」
ありったけの厭味を篭めて、そう言ったのに何でアンタは笑うのよ
「知ってるよ」
「ねぇ、どっか行ってくれない?」
「やだね」
「アンタのそーゆーとこがキライ」
そんなにジッと見つめてんじゃないわよ、キライだって言ってるでしょ!!
だから絶対に視線なんか合わせてあげないんだから
「でも....そーゆー俺が好きだろう?」
断りもしないで顎に手をかけたアンタは、無理に視線を合わそうとする
「やっぱりキライよ、クソぼーず」
最後にそう言ったアタシにも、やっぱりアンタは笑うのね
睨み付けた視線を軽く躱してアンタは私にキスをする
あぁもう!! くやしいったらありゃしない!!!
<叩きつける雨が無情> まるマ(コンユ)
お題配布元「Discolo」様 http://discolo.tuzikaze.com/index.html
コンラッド......なぁ、俺アンタに嫌われるような事した?
確かに、立派な王様じゃぁ無いけどさ。
けど、アンタ言ってくれたじゃん。
俺は俺のままで頑張れば良いって.....きっと良い王様になるって...
なぁ、それも嘘だったのか?
知り合いの誰も居ない国にひとり迷子になってた可哀想な子供を慰めてくれただけなのか?
その言葉を信じて頑張ってた俺をバカにしてたのかよ?
なぁ.....俺は、もう要らない?
心の中で訊ねた問いは俺の心を突き刺すんだ。
何をバカな事を....今、アンタが隣りに居ない事が何よりの答えじゃないか。
握り締めた拳に冷たい雫が落ちた。
空を見上げれば、まるで俺の醜い心情を洗い流すかのような雨が降り出した。
ちょうど良い。
俺は空を見上げたまま静かに瞳を閉じた。
今だけ....今だけはアンタを思い出しても良いよな?
誰も来ないこの場所で、きっとこの雨が俺の感情をすべて消してくれる。
きっと城では “みんな” が心配しているだろうけど、俺....今はそれさえ信じられないよ。
「なぁ、それは本当に俺が心配なの?」って思わず聞いてしまいそうになるんだ。
俺が魔王じゃなかったら、俺が双黒じゃなかったら、あんたらそれでも心配してくれる?
<呼吸も瞬きも忘れて> 鋼(ロイエド)
恋したくなるお題(配布)より「一目惚れの恋のお題」
あぁ、こんなハズじゃ無かったのに!!
頭まで布団に潜り込んで俺はぐるぐると突如に沸き上がった想いについて考える。
事の始まりはヤツの所為だ。
街中でキレイなオネーチャンをナンパなんてしてんじゃねー!
アンタ仕事中じゃねーのかよ。中尉に銃の的にされても知らねーかんな。
否、今はそんな事関係ない。
ヤツが女好きなのは今に始まった事じゃぁない。
問題は俺。そう俺なんだ。
頬を染めてうっとりとヤツを見つめるオンナノヒト。
そんな女性に胡散臭い微笑みを返すヤツ。
本気の笑みじゃない事は知ってる。
ヤツが心を許した人....
中尉とか少尉とか、中佐とかに向けるモノとはまったく違う事は判ってる。
判ってるけど.....けど、その瞳を俺にも向けて欲しい。
そんな事....一瞬でも思うなんて.....
自分の思考に固まってしまった俺に、アンタなんで気付くんだよ。
しかも、そんな顔で笑うんじゃねー!!
オイ、オネーチャンはどうした。何でこっちに来やがるんだ。
「やぁ、鋼の」なんて馴れ馴れしく俺の肩に手を置くんじゃねー!
なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ、いったいなんだってーんだ!!
アンタ俺に恨みでもあんのかよ、今くらいそっとしときやがれ。
従って俺がアンタの手を払い除けて「触るなっ!」と叫んだ事に罪は無い。
そのままアンタを放って宿に帰ってきたのだって、今日は司令部に行かないのだって俺の所為じゃぁない。
あぁ、もうっ!!好きだよ!俺はアンタが好きなんだよ!!!
どんなに自棄になったって事実は代わりはしない。
俺はこんな気持ちに気付きたくなんてなかった!!
責任取りやがれってんだ、この無能っ!!!
end
ゆるされた
許された
側で息づくことを
許された
ゆるされたのだ
この上ない幸福を
与えられた
一時はどうなるのかと、つかず離れず時には衝突し、紆余曲折しつつ結果は————大団円。
近くで傍観し、時折逃げ場になってあげていた大人組は収まるべき場所に収まったと思い
ホッと息をつく。つけるはず、だった。
ところがどっこいそうは問屋が降ろさないとばかりにまた、頭が痛くなるようなことが起き始めた。
本人達にとっては深刻ではないけれど、周りに被害が及ぶことだ。
カランコロン
「邪魔するよ〜って………誰もいないのか?」
「んな訳ないでしょ。この物騒なご時世に」
「資料室にいらはってらっしゃるんやないで……」
すか、と続けようとしたのだろうがそれは音になることはなかった。
「ちょ、ほんとに離してってば!自分で歩けるよ!」
「また転びたいのか?」
「あんなとこに物置いとくのが悪いっ」
「足元に注意すればいいような所だったろう」
「そもそもっあたしの!人権は!?」
「そんなものあるか」
「むきーっ!!」
「エエト……;」
ジョンが困るのも頷ける。
麻衣は
ナルに
姫抱きにされているのだ。
(………なんだ、これ)
会話の中から推測すると麻衣は転んだからといって別に怪我をしたわけではないようだ。が、
(………なによ、これ)
それならば何故姫抱き?!
思わずというか必然的に立ち尽くす三人にようやく麻衣が気付いた。
「あっ三人とも来てくれたの〜♪」
強引に飛び降りたせいかぐらりと体が傾いだが、ナルがさりげなく麻衣を支える。
ぽてぽてと近づこうとする麻衣にナルがすげなく言い放つ。
「麻衣、お茶」
「は〜い。あ、三人ともそんなとこで突っ立ってないで座って?飲み物はなんにする?」
「あ、おう、じゃあいつものアイスコーヒーで」
「今日はピーチのタルトを作ってきたのよ。ちょっと甘めになったからダージリンのストレートを濃いめに」
「ほなボクもそれで」
「わかった〜ちょっと待っててね」
すでにナルは一人掛けのソファに座ってどこに持っていたのか本を読んでいる。
滝川達も恐る恐るソファへと近づく。
「お久しぶりですね、お三方」
「うわっ!少年!?」
「驚かさないでよ!!」
「あ、原サンもお久しぶりデス」
「こんにちは」
背後からいきなり出てきたのは小さい買い物袋を持った安原と真砂子。
「買い出し、か?」
「それと逃亡で3:7ですかね」
「逃亡?!」
「あ、ちなみにリンさんもメンテに出した機材の回収という名目の逃亡で今日は帰ってきません」
「おいおい………;」
小声で話しているとはいえ全く聞こえないことはないはずなのだが、ナルはいたって無関心の無表情。
「あ、今更逃げようだなんて思わないで下さいね。
僕なんかここ最近ずっとこの空間にいたんですから。たかが2、3時間」
まるで獲物を捕らえた鷹。
「観念してくださいまし」
ため息をつく真砂子は早い時分からここにいたのだろうか、諦め顔。ここは腹をくくって挑むしかない。
それでもなるべく近づかないように離れて座る。
「あ、安原さんと真砂子お帰りなさ〜い。綾子がね、ケーキ持ってきてくれたんだよ。
切り分けてきたからリンさんいないけど皆で食べよう」
いつもと変わらぬ言動になんとなくホッとする。やはりあれは、そう、何かの見間違い。
けれど安原の目は
『まだまだ甘いですね』
————と。
「ほらぁナルも!休憩するのに出てきたくせに読んでたら意味ないでしょ。それに疲れた頭には糖分は必要!」
「要らない、疲れていない」
「う・そ・だ・ね!夕べからずっとパソコンに向かいっぱなしじゃん」
何故夕べからの状態を知っているのか。思わず叫びそうになる滝川を安原と綾子が咄嗟に押さえ込む。
それには全く気付かずに会話は進む。
「ナルのはちっちゃくしてあるから」
「麻衣が食べれば」
「へ〜ぇそんなこと言うの。子供みたい。我が儘」
「…………」
「…………」
「…………… 一口だけなら」
「ん、はい」
「………甘い」
「タルトだもん。甘いに決まってるでしょ」
———さて、この間に起きたこと。
一つ目、しばしの睨み合い。まぁこれはいつもの日常茶飯事。
二つ目、あぁこれは、もう気付いただろうか。
麻衣がナルに食べさせたのだった。
いわゆる、『はい、あーん♪』的なことを。
麻衣をムスメと言って憚らない滝川なんぞは口を開けて石化した上に風化している。
綾子やジョンなどは咀嚼を忘れていて。安原と真砂子はやれやれと濃いめのお茶をずずずっと啜る。
こういう展開になると踏んでいたのかタルトは完食済みだ。
「はい、もう一口」
「一口だけと言っただろう」
「だから食べられたんだったらもう一口ぐらいいけるでしょ。じゃなきゃお代わりナシね。
ほらほら早く口開けて………って、あれ。皆どしたのかな?」
「………さぁ」
三人に安原の視線が突き刺さる。
『こんな空気の中にいるんですよ』
幸せになってほしい
ただそれだけの願い
そう思っていた
ああ、今彼らは
本気で幸せを噛み締めている
end
■ 麒麟さまより (相互リンク記念/ナル麻衣)'09.5.14
<悪気はないんです ただ本気なだけ>
『四季折々の小道』様と相互リンクさせて頂きました☆その記念リクを頂戴しましたー!
きゃぁぁぁっ//// 姫抱き姫抱き秘め抱き(←違っ)転んだからって姫抱きですよー!!
いっそそのままベッ....ごほん。麒麟さま、これからも宜しくお願いします。
「ナルぅ!ナぁぁルぅ‥。」
それは真ん丸いお月様が空でピカピカ光る夜。
オシャレな高級マンションのドアの前で名前を呼ぶと中から不機嫌な顔をした美しい青年が現れた。
「…なんだ。騒がしい。」
血の気も凍るような冷たい視線もドアの前で『へらり』と笑う少女には威力がない。
「帰ったんじゃなかったのか…。」
それはこの日の午後の事だ。
「…ナル。茄子好き?」
「茄子?…何故?」
「もらったの。近所のおばちゃんが家庭菜園で豊作だったんだって…。きゅうりとトマトとししとうもあるんだけど…。」
「……。」
袋一杯の夏野菜は朝収穫したばかりで新鮮そのもの…。
アタシ一人じゃ手に余るし、誰か事務所に来てくれたらと思うけど…。
「今日に限って誰も来ないんだもん。」
明日は事務所休みだし…せっかく新鮮なのに置いといたら傷んじゃう。
「ナル野菜食べるでしょ?もらってよ。」
「…いらない。」
「なんでー?」
「面倒だ。」
「…適当に切って炒めたり。サラダにしたり…。あんな大きな冷蔵庫があるんだからさぁ。」
引越しの手伝いに無理矢理押しかけた時なんて贅沢なんだと思ったもんだ。
「僕にソレを抱えて帰れと?」
確かに…。
一抱えもある野菜の入ったビニール袋をナルが持って歩くのは違和感があるけれど…。
さすがにアタシも渋谷の街を歩いてくるのはちょっとアレだったかも。
「…じゃあじゃあアタシが運んで行くからさぁ。ついでに料理も作って置いとくから…引き取ってっ!」
食べ物を粗末にするなんて考えられない。
「……好きにしろ。」
確かにそうは言ったのだが、それは予定がなかった時の話で、僕とリンは急に予備調査に出る事になり
帰りはそのままマンションに直帰した。
「…事務所を閉めて帰れと連絡したはずだが?」
「だって…とにかく野菜だけでも…。」
「……馬鹿じゃないのか?お前。」
「なんだよぉ馬鹿って!」
「………。」
新品ピカピカのシステムキッチンには大きな冷蔵庫があって…電磁調理機や食洗機、オーブンも着いてるけど
まるで役に立ってない。
「…もったいなーい。」
茄子にきゅうりにトマトにししとう。
無機質な台所に青い野菜の香りが広がる。
「ナルごはん食べるよね。」
野菜をオリーブオイルと塩こしょうで炒めパスタにからめる。
スープはインスタントだけどまぁ手早く作ったにしてはなかなかだ。
「リンさんももう戻るんでしょ?隣だし一緒に食べてね。」
「…麻衣?」
「アタシも帰って家の野菜食べるから。朝浅漬けにしたお漬物もいいかんじになってるはずだし。
酢漬け…ピクルスならナルも食べる?今度持ってきたげるよ。」
「…リンに送って貰え。」
「悪いよ。事務所に荷物置きにいったんでしょ?まだ早いから大丈夫。」
「しかし。」
「アタシ今日はホッカホカの白御飯で食べたいの。炊飯器無くてもお鍋でも炊けるけどさぁ…。
やっぱ日本人なら白飯ないとね。」
「……。」
「じゃあね。今度野菜カレー作ったげるね。ピクルスと合うし。バケットと食べればいいでしょ。バイバイっ!」
あわただしくドアを出て静かなマンションを走っていく様子をしばらく眺めて…。
(騒がしい奴…。)
「…ナル!?これ…。」
「リンにずいぶん煩く言われた。夜遅く一人で帰すなんて非常識だと。」
「…それはゴメン。でもそれがなんで??」
「お前が言ったんだろ。御飯がないから帰るんだと…。」
「……えっ、と。」
相変わらず使われた気配のないキッチンにこの前来た時と違うピカピカの最新式の炊飯器が置かれていた。
遠赤外線厚釜仕様。
「スゴーイ。これナルが買ってきたの?」
「……リンが。」
(まあそりゃそうでしょう。ナルが電気店で炊飯器なんて買わないか…。)
必要最低限の物しかなかった高級マンションのキッチンに…お米の炊ける匂いとスパイシーなカレーの香りが漂い…。
「うん、いいできv。」
作りつけの収納棚にはまとめて揃えたのだろう白いセットの皿やグラスが並んでいる。
お茶のカップのセットだけは綺麗な青い花柄で…まどかさんかルエラの選んだ物かもしれない。
そこに並んだ淡いピンクと水色の花模様の二客の御飯茶碗のまあるい姿が…なんだかとてもかわいらしい。
「…これってやっぱりリンさんなの?」
「いや。茶碗が欲しいと言ったらこれだと…。」
「なんでこの二客?」
(リンさんと二人だからいいんだけど…。)
「…二個セットなんじゃないのか?みんなセットで箱に入ってたぞ。」
「……。」
リンさんと事務所の帰りに買いに行ったんだ…。
二人で行って一組の『夫婦茶碗』買ったのか…。
「……。」
(うーん。まぁいいのか?それって…。)
まぁこの組み合わせならリンさんが大きいのでピンクがナルだろうけど…。
「これはお前が使え。」
「…え?アタシ?」
「こんなピンクの物リンが使うわけないだろう。お前用だ。」
(ピンクがリンさんじゃ…まぁ可愛いすぎるけど…。)
「でもリンさんのは?」
「…なんでリンの茶碗がいるんだ。」
「………。」
(エヘヘ…。)
「今度は和食作るねv。」
「…ああ。」
真っ白ほかほか炊きたてご飯に夏野菜のスパイシーカレー。
ちょっぴりすっぱいピクルスがアクセント。
二人で囲んだ食卓がなんだか少し照れ臭かった。
「…ねぇリンさんは呼ばなくていいの?」
「…いいんじゃないか?」
「……そう?」
あんまり、リクエスト「お宅訪問」じゃないような?
甘くもないし、ナル麻衣でも・・・。申し訳ない。
end
■ 美桜子さまより(悪☆オンで/ナル麻衣)'09.6.25
<一組のしあわせ>
『蒼い鳥の薔薇色人生』の美桜子さまより頂きました。
朽葉のリクエストした「麻衣がナルのお宅訪問」のお話で〜す。
通い妻♪ 通い妻♪ とウキウキしました☆
無自覚なナルの言葉に麻衣ちゃんは翻弄されつづけるんですねvv
美桜子さまこれからも宜しくお願いします。
「……!」
どさりと、コンラートの体がベッドに沈んだ。その頬に影が差す。
押し倒された恰好で、コンラートは呆然と有利の顔を見上げた。
「……ユーリ、どうかした?」
辛そうに顔を歪める有利に、コンラートが腕を伸ばした。その手が頬に触れる前に、
「触るな……!」
有利はコンラートの手を払いのけた。
「……ユーリ?」
「……んでっ」
有利の黒い瞳に、涙が溢れる。一度出た涙は、堰を切ったように流れ出した。
ぼろぼろと流れる涙が、コンラッドの頬に落ちる。
「泣かないで、ユーリ」
「泣いてねぇ!……なんで、なんで俺はあんたじゃないと駄目なんだ!……畜生!!」
乱暴にコンラートの胸元を掴んだ有利が、その胸に顔を埋める。
肩を震わせる有利の肩を、コンラートがそっと抱き寄せる。
「愛してますよ、ユーリ。あなただけを……」
「う、うるせぇ!」
ははと、微笑みを浮かべて、コンラートが有利の背中をぽんと叩いた。
そして、落ち着くまで背中を優しくさすっていた。
頬に落ちた、有利の涙。
そして、胸には、決して揺らぐ事のない有利への愛。
■ イボコ様より (チャットで/コンユ)'09.6.29
<落ちてきたもの> お題配布【VOID 様】http://theme.milt.nobody.jp/index.html
『キマグレダーリン』のイボコ様より奪っ.....じゃなくて、頂きましたー♪
まるマ貰うの初めてです! ありがとうございます!!
ヘタレなはずのコンが格好良くって超悶えます><ノ☆
《ナルーねぇナルってば》
《……………》
《ナルーねーねーねー》
《…………五月蠅い》
《今どこ?》
ナルの冷めた言いぐさを全く気にもしないで自分の言いたいことを言えるのはジーンと、
数ヶ月前に家族となったルエラとマーティンだけ。彼の能力を受け止めているのも彼らだけとも言える。
これは彼ら双子が実験道具(モルモット)にされる前の話。
《………図書館》
《じゃあ出てきてよ。良いこと思いついたんだ!》
《僕を巻き込むな》
《いいからいいから!どうせ今読んでる本、あんまり面白くなかったんでしょ?ちょうどいいじゃないか》
《他にも読む物はある》
《もう!ルエラとマーティンに関することなんだから!後5分ぐらいで着くからね、出てきてよ!!
じゃないと引きずってでも引っ張り出すからね!!》
プツリと回線が切れる。ナルは深いため息をついてイスから立ち上がった。
****************************************
「で?」
二人は草木が沢山生い茂る公園のベンチに並んで座っている。
その光景はまるで一枚の美しい絵画のようで、どんな昔の高名な画家でも書き表せないような、そんなものだ。
「うん、ほら僕たちここにきてからなんかあっという間だったね」
アメリカにいた頃は一日一日がとても長かった。虐げられ、蔑まされ、身を寄せ合って。
今はそんなことはなく、養父母はとても優しく暖かく、思い返せば一日の体感時間が短く感じられる。
それはとてもとてもありがたく、嬉しくてうれしくて………幸せなこと。
「あのね、すこしでもそんな気持ちを伝えたくてね、なにか贈り物をしようかなって」
「ふぅん」
「でね、何にしようかな?」
「なんでも、喜びそうだけど」
「ナルも、考えるの!!」
プレゼント内容を丸投げにしそうな雰囲気を感じ、先に制する。とは言ったもののジーンも何も考えつかない。
むしろ養父母にはそんなことを考えなくても良いのに、と言われそうだ。
悶々と熟考し始めた二人の前を、一人の男性が通っていった。手に持っているのを見て、二人は顔を見合わせた。
テレパスをしなくても相手が何を思いついたのか分かるのはやはり双子ならでは。
数分後、また違う男性が通りかかる頃にはもう双子の姿はなかった
****************************************
「ルエラ!マーティン!」
てこてこと、一人はこれでもかというくらいにこやかな笑顔で、もう一人は無表情ながらもどこか頬を緩めて、
やって来た。ナルの方は後ろに手を回して。
「おやツインズ、どうしたんだい?」
「うん、あのね、僕たち、ここに来てからとっても毎日が楽しくてね、全部二人のおかげなんだ。
それで『ありがとう』と『これからもよろしく』ってことでプレゼントを考えたんだ!貰ってくれる?」
スッとナルが掲げたのは綺麗に放送された箱のようなもの。
「あら、あら、そんなたいしたことじゃないのに………私たちも毎日がとても楽しいのよ。
ありがとう、私たちの所へ来てくれて」
ルエラはうっすらと目に涙をたたえて受け取った。丁寧に、丁寧に包装紙を剥がしていく。
マ-ティンもルエラの横に立ってそれを見守る。
出てきたのは………
「これは――――アルバム?」
スタンド型で、捲れば次々と写真が見られるようになっている。
一ページに二枚はいるようになっていて、三十枚が入れられる。
「公園でカメラを持っている人がいてね、思い出はやっぱり消えていくものもあるから、
だったら忘れないようなきっかけがあればいいと思ったんだ」
ここでの記憶は消えないで欲しいものばかり。
たとえもし、辛いことがあっても優しい家族と切り取られた優しい時間があれば、耐えられるはず。
「そうね、沢山撮りましょう。きっと、あっという間に埋まってしまうわね」
「だったらまた、新しいのを買えばいいさ。今度はみんなで買いに行こう」
ジーンが、照れくさそうに笑った。
だから辛くても、自分たちの進むべき道を見いだせた
辛くなかったことはない。苦しくなかったこともない
だからこそ、今でもずっと、感謝し続けている
それは、本当は言い現せられないほどの――――気持ちである
End
■ 麒麟さまより (キリ番ゲット♪/ナル麻衣)'09.7.2
<絆>
『四季折々の小道』さま宅で555のキリ番を踏んだのでリクエストさせて頂きました♪
初めてだという双子話をお願いしてみたのです。
カワイイーーー、ツインズ Love !!
麒麟さまありがとうございましたーーー(ぺこり)
カウンター
nextキリ番 300000
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