*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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ゆるされた
許された
側で息づくことを
許された
ゆるされたのだ
この上ない幸福を
与えられた
一時はどうなるのかと、つかず離れず時には衝突し、紆余曲折しつつ結果は————大団円。
近くで傍観し、時折逃げ場になってあげていた大人組は収まるべき場所に収まったと思い
ホッと息をつく。つけるはず、だった。
ところがどっこいそうは問屋が降ろさないとばかりにまた、頭が痛くなるようなことが起き始めた。
本人達にとっては深刻ではないけれど、周りに被害が及ぶことだ。
カランコロン
「邪魔するよ〜って………誰もいないのか?」
「んな訳ないでしょ。この物騒なご時世に」
「資料室にいらはってらっしゃるんやないで……」
すか、と続けようとしたのだろうがそれは音になることはなかった。
「ちょ、ほんとに離してってば!自分で歩けるよ!」
「また転びたいのか?」
「あんなとこに物置いとくのが悪いっ」
「足元に注意すればいいような所だったろう」
「そもそもっあたしの!人権は!?」
「そんなものあるか」
「むきーっ!!」
「エエト……;」
ジョンが困るのも頷ける。
麻衣は
ナルに
姫抱きにされているのだ。
(………なんだ、これ)
会話の中から推測すると麻衣は転んだからといって別に怪我をしたわけではないようだ。が、
(………なによ、これ)
それならば何故姫抱き?!
思わずというか必然的に立ち尽くす三人にようやく麻衣が気付いた。
「あっ三人とも来てくれたの〜♪」
強引に飛び降りたせいかぐらりと体が傾いだが、ナルがさりげなく麻衣を支える。
ぽてぽてと近づこうとする麻衣にナルがすげなく言い放つ。
「麻衣、お茶」
「は〜い。あ、三人ともそんなとこで突っ立ってないで座って?飲み物はなんにする?」
「あ、おう、じゃあいつものアイスコーヒーで」
「今日はピーチのタルトを作ってきたのよ。ちょっと甘めになったからダージリンのストレートを濃いめに」
「ほなボクもそれで」
「わかった〜ちょっと待っててね」
すでにナルは一人掛けのソファに座ってどこに持っていたのか本を読んでいる。
滝川達も恐る恐るソファへと近づく。
「お久しぶりですね、お三方」
「うわっ!少年!?」
「驚かさないでよ!!」
「あ、原サンもお久しぶりデス」
「こんにちは」
背後からいきなり出てきたのは小さい買い物袋を持った安原と真砂子。
「買い出し、か?」
「それと逃亡で3:7ですかね」
「逃亡?!」
「あ、ちなみにリンさんもメンテに出した機材の回収という名目の逃亡で今日は帰ってきません」
「おいおい………;」
小声で話しているとはいえ全く聞こえないことはないはずなのだが、ナルはいたって無関心の無表情。
「あ、今更逃げようだなんて思わないで下さいね。
僕なんかここ最近ずっとこの空間にいたんですから。たかが2、3時間」
まるで獲物を捕らえた鷹。
「観念してくださいまし」
ため息をつく真砂子は早い時分からここにいたのだろうか、諦め顔。ここは腹をくくって挑むしかない。
それでもなるべく近づかないように離れて座る。
「あ、安原さんと真砂子お帰りなさ〜い。綾子がね、ケーキ持ってきてくれたんだよ。
切り分けてきたからリンさんいないけど皆で食べよう」
いつもと変わらぬ言動になんとなくホッとする。やはりあれは、そう、何かの見間違い。
けれど安原の目は
『まだまだ甘いですね』
————と。
「ほらぁナルも!休憩するのに出てきたくせに読んでたら意味ないでしょ。それに疲れた頭には糖分は必要!」
「要らない、疲れていない」
「う・そ・だ・ね!夕べからずっとパソコンに向かいっぱなしじゃん」
何故夕べからの状態を知っているのか。思わず叫びそうになる滝川を安原と綾子が咄嗟に押さえ込む。
それには全く気付かずに会話は進む。
「ナルのはちっちゃくしてあるから」
「麻衣が食べれば」
「へ〜ぇそんなこと言うの。子供みたい。我が儘」
「…………」
「…………」
「…………… 一口だけなら」
「ん、はい」
「………甘い」
「タルトだもん。甘いに決まってるでしょ」
———さて、この間に起きたこと。
一つ目、しばしの睨み合い。まぁこれはいつもの日常茶飯事。
二つ目、あぁこれは、もう気付いただろうか。
麻衣がナルに食べさせたのだった。
いわゆる、『はい、あーん♪』的なことを。
麻衣をムスメと言って憚らない滝川なんぞは口を開けて石化した上に風化している。
綾子やジョンなどは咀嚼を忘れていて。安原と真砂子はやれやれと濃いめのお茶をずずずっと啜る。
こういう展開になると踏んでいたのかタルトは完食済みだ。
「はい、もう一口」
「一口だけと言っただろう」
「だから食べられたんだったらもう一口ぐらいいけるでしょ。じゃなきゃお代わりナシね。
ほらほら早く口開けて………って、あれ。皆どしたのかな?」
「………さぁ」
三人に安原の視線が突き刺さる。
『こんな空気の中にいるんですよ』
幸せになってほしい
ただそれだけの願い
そう思っていた
ああ、今彼らは
本気で幸せを噛み締めている
end
■ 麒麟さまより (相互リンク記念/ナル麻衣)'09.5.14
<悪気はないんです ただ本気なだけ>
『四季折々の小道』様と相互リンクさせて頂きました☆その記念リクを頂戴しましたー!
きゃぁぁぁっ//// 姫抱き姫抱き秘め抱き(←違っ)転んだからって姫抱きですよー!!
いっそそのままベッ....ごほん。麒麟さま、これからも宜しくお願いします。
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