*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「こんにちわ♪ これは何してるの?」
突如響いた少女の声に私たちは驚いた。この町で私たちにこんな風に声を掛けるものなど皆無だったから。
ニコニコと私たちの返事を待っているのは、60〜80歳くらいの少女。ぱっちりとした大きなブラウンの瞳に癖の無い瞳よりやや赤っぽい艶やかな髪。クマ耳帽子を被って小首を傾げる様はクマハチのようで抱き締めたい程に愛らしい。
着ている服や雰囲気そして容姿から見るに、かなり良いことのお嬢さん=(イコール)上流貴族といわれる家柄だろう事は判った。しかし、この少女は我々に話し掛けても平気なのだろうか?
仲間たちも同じ疑問を抱いたのだろう、少女の問いに答えるべきなのか困惑気味に顔を見合わせている。
「? えーっと....」
何も答えない我々に今度は少女が困ったように瞬いている。最初に声を掛けられた時にも思ったが、この可愛らしい少女からは上流、中流関係なく貴族特有の我々を見下すような視線をまったく感じない。
.....女は度胸よね!?
怒られたら怒られた時、目の前のこの少女が困っているより良いわ!!
「こ、これは山から採ってきた...採って参りました薬草を種類ごとに煎じ乾燥させている所でございます」
それでも声が震えるのは愛嬌だ。
「薬草...って事はコレ薬になるの?」
「は、はい。粉状の物をお医者様が調合されるとそうなります」
“ふぉえー” と声を上げマジマジと私の手元を見つめる少女。
「あ、あの!!」
勢い良く訊ねてしまった私に少女はキョトンとし、“何?” と首を傾けた。
その邪気の無い仕草に後押しされる様に私は口を開いた。
「こ、このような事をお訊ねするのは、ふ、不敬かと存知上げますが、あなたは何故、わたくし共に普通に話し掛けられるのでしょうか?あと、わたくし共に話し掛けて、お叱りを受けたりはされないのでしょうか?」
一気に言い切った私の言葉を聞き、少女は思案するよう人差し指を口元に当てる。
そして私と、周囲の仲間を見渡してから口を開いた。
「良く判らないんだけど、まず1つ目。私は別に不敬な事はされてないと思う。どっちかと言うと仕事の邪魔したのは私だし。2つ目はなんで私に敬語使ってるの? 皆さん私より年上でしょ? あと普通じゃ無い話し掛け方ってどんなの? 3つ目、これが一番聞きたい事なんだけど、皆さんに話し掛けると “誰に” 叱られるの?」
ニコニコと最初と変わらぬ笑顔の少女。
なのに言い様の無いプレシャーを感じるのは何故かしら...?
我々が答え倦ねていると少女は “にっこり” と笑い矢継ぎ早に質問を重ねた。
それはもう、我々が疑問に浮かべる間もなく次々と...
「答えにくい? じゃーねー、そこのお姉さん!!」
「は、はい!」
「私お仕事の邪魔してました?」
「い、いいえ!」
「次のお兄さーん。何で敬語?」
「え? あー、その我々は平民でして...」
「うん。それ却下。お兄ーさんたちは平民じゃなくて眞魔国民です。次はそこのお姉さん!お姉さんと私どっちが年上?」
「わ、わたしですが...」
「だよね? じゃぁ別に敬語はいりませーん。そっちのお姉さん、話し掛けると何で叱られるの?」
「わ、わたし達は、平民でして地位もお金もありませんし」
「し?」
「その...出生の不確かな者も多く、混血だったり...」
私がそこまで言うと、少女は最初とはまったく別人のように訊ねた。
「で、誰が、誰の命令で叱るの?」
「...そ、その...ヒッツベツガー卿が、ご領主、フォンシュピッツヴェーグ卿の御達しだと....」
「へぇぇぇぇぇぇ。それは大層な御達しで... グリエちゃん何か聴いてる?」
少女が低い声でそう言うと、今まで誰も居ないと思っていた少女の後ろの柱の影から男が現れた。
綺麗なオレンジ色の髪に水色の瞳。何より凄いのはその筋肉だろう。
いきなり現れた男は私たちに一瞥を与えたあと、少女に話し掛ける。
「あらーん? お気づきでした〜? もう、気付いてるならそう仰って下さればアタシもこっそりじゃなく堂々と御傍におりましたのに〜ぃ。お嬢さんの、イ・ケ・ズ♪」
その姿から想像できない話し方に私たちは全員固まった。
「....グリエちゃん?」
ニコニコと満面の笑みを向ける少女。な、なんか黒い。
「.......お嬢さん、どっかの獅子に似てきましたね。はいはい、他にですよね?この辺りはフォンシュピッツヴェーグ卿のお膝元ですからね。そりゃぁもう、何から何までありますよ。どれをお聞きになりたいです?」
男の言葉にしばし考えるように顎に手をやった少女は何やら意味深に訊ね返す。
「......私は、どう見える?」
「 “どう” とは?」
「 “わ・た・し” は使える?」
少女のその問いかけに、男はニヤリと笑ったあと、徐に片膝を付き臣下の礼を取った。
「御心のままに」
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