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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「軍曹殿、クルーソー殿をお連れ致しました」
商店街をあとにしたお嬢さんは、まず王都警備隊の詰め所に寄り、カーターの報告書(=フォルトレーヌ卿の本日の行動記録)をお読みになられ、フォルトレーヌ卿の一時的な処遇を警備分隊長と話し合い、街の警備の強化、特に貴族の市民に対する言動への取り締まりの強化のご指示をなさった。
なので結局、フェデリコ・テティスの家へ俺たちが向かえたのは、彼女が運ばれてから2時間ほど経過してからだった。
「お疲れ様です」
「ギー....えー、フォンクライスト卿?」
「はい、へ....コホン。何でしょう、クルーソー殿」
慣れない呼び方に、少しぎこちない会話。お2人共...まぁ、誰も聞いてないから問題無いでしょうが。
「テティスさんは大丈夫?」
「先程、無事お子さんをお産みになられました」
「産まれたの!!?」
「はい。警備隊がこちらに運んで来る途中で破水したようです。初めてのお子さんにしては稀に見る安産でして、母子共に健康状態に何も問題ありません」
「それは良かった!」


「あっ!!あなたですね! 先程うちの妻がお世話になったと言うのは!?何と御礼を申し上げれば良いのか!!本当にありがとうございます!!!」
話し声を聞き付けたのか、奥の部屋から勢い良く飛び出して来た男の人はそれはもう捲し立てる様にクルーに御礼を言い頭を下げる。
「えぇっと...」
その勢いに圧されたお嬢さんを見かねた軍曹殿が補足する。
「クルーソー殿、こちらテティスさんの旦那さんで、フェデリコ・ルチオさんと仰います」
「初めましてルチオさん。クルーと言います。お子さんの誕生おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます!!」
「テティスさんとお子さんに逢っても良いですか?」
「もちろんです! どうぞ奥に」
さぁ!と俺たちまで連れて行かれた奥の部屋。
ベッドで寝ていた奥さんことテティスさんはお嬢さんに気付くと、ゆっくり起き上がった。
「クルー、さっきはありがとう」
「起きて大丈夫?私は何もしてないよ、警備兵さんが運んでくれたんだもん」
「その手配をしてくれたのはクルーでしょう? ありがとう」
テティスさんはそう言ってふわりと微笑んだ。
その笑顔と御礼に “えへへ” と照れてるお嬢さんは.....否、言うまい。
俺はまだ命が惜しい。
「無事に産まれて良かった。赤ちゃんの顔見たいなぁ? ダメ?」
「まさか!? ぜひ抱っこしてあげて」
お嬢さんの可愛らしいお願いに笑顔で頷くテティスさん。
そんな2人にやりとりに首を捻ったのは旦那さんのルチオさんだ。
「テティス、この人と知り合いなのか?」
「あら、あなた。えぇ、さっき商店街から一緒に荷物を運んでくれたの。知らない? 街じゃぁ結構有名なのよクルーって。ね?」
「そーなの?」
テティスさんから渡された赤ちゃんを怖々と抱きながら小首を傾けるお嬢さん。
否だから犯罪ですって、それ。

「うわぁぁ。ちっちゃーい! 可愛いー♪ 男の子かなぁー? 名前は決めてるの?」
「いいえ、まだなの。でも候補が2つ有って....そうだわ!!クルーに選んでもらおうかしら? どう?」
「ほぇっ!!??」
名案、とばかりにニコニコ顔のテティスさんに対しびっくりして固まったお嬢さん。
「む、無理無理無理無理無理無理無理ー!! ちゃんと2人で決めなきゃ!だって、一番最初にもらう大事な物なんだから!! ね?」
「そう? うーん、そうね。そうするわ」
「うん。そうしてあげて」
必死に無理だと断るお嬢さんに、テティスさんは残念そうだが納得したようだ。
すると今まで黙って旦那さん...えーっとルチオさんがいきなり叫んだ。

「決めた!!」
「「「!?」」」
「何を決めたの?」
突然の大声に驚いたのは俺たちだけのようで、テティスさんは慣れているのか、おっとりした口調で訊ねる。この人結構大物かもしれない...
「 “クォール” この子の名前はクォールだ」
「 “クォール” ...うん。良い名前ね。候補には無かったけど、もしかしてクルーからもらったのかしら?」
「そうなんだ。今日たまたま知り合っただけの君に、こんなに親身になってくれて、この子もそんな風に、優しくて素敵な子に育ってくれたら良いなぁ...と思ったんだ」
名前を呟き、ふわりと笑ったテティスさんと、頬を赤く染め少し照れながらも、やはり幸せそうに笑いながら説明するルチオさんに対し、そうだろう、そうだろう。お嬢さんの気立ての良さには誰も及ばないだろう。うん、うん。と心の中で思わず頷いてしまった。





 

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