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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「ダメだってば、ナル」
「何がダメなんだ?」
「ち、ちょっと!」
「何だ?」
「....んっ」

そんな声が聞こえて俺は固まった。




今回、調査に訪れたのは長野県のとある別荘地。
え、何? 軽井沢じゃないのかって? そこは言ってるだろ、とある別荘地。
心霊現象が起こるなんて大打撃だからな、大人の事情ってやつだ察してくれ。
そんな事はさて置き、何だその甘ったるい会話は!! 仮眠用に与えられた部屋は確かに、少しベースからは離れている。
だが、しかし! 誰も来ない訳じゃぁない。現に今、部屋の前に俺が居る。
霊現象は起こるものの、情報が少な過ぎて少年が戻るのを待っている状態だったのだ。
その間、ナルには仮眠を取るようリンが進言し、麻衣が笑顔で部屋に引き摺って行った。
しかし、待てど暮らせど麻衣は帰って来ない。だんだん不安になって来た頃、少年が帰って来たのだ。
そして事の次第を聞いた少年の感想はこうだった。

「一緒に寝ちゃったんじゃないですか?」

麻衣! そんな娘に育てた覚えは無い、パパは悲しいぞー。そしてナル! 今は調査中だぞ、何考えてるんだ!
否々そこじゃないだろ、俺! 可愛い俺の娘に手を出すんじゃぁない!!そんな風に憤慨する俺には構わず会話は進んでいる。

「少しなら問題無い」
「あ、有るに決まってるでしょ!」

そうだ麻衣、もっと言ってやれ! その馬鹿に今、調査中だという事を思い出させてやれ。

「煩い」
「きゃっ!」

娘の軽い悲鳴と共に、ドサリという音が聞こえた。
.......ま、まさか。ナル.....お前、押し倒したんじゃぁないだろうな?


「あ!バカ!!」
「もう黙れ」
「っナル」


麻衣ーーーーっ!! もう無理だった。少し引き返した廊下を、わざとドタドタと足音を立てて進む。
そして部屋の前に立つとノックし、一気に扉を開けた。

「ナルっ!」

バタンっ! と大きな音を立てて開いたドアの向こうには、壁に凭れて座り込んだナルとその横からナルの膝に身体を乗り出した麻衣が居た。....あれ? 想像してた体勢とちょっと違う。

「ぼーさん?」

可愛い娘が小首を傾け俺を呼ぶ。

「な、何やってんだ?」
「そーだった! ぼーさんも止めてよ〜。ナルってば、サイコメトリしようとするんだよ!」

ぷっくり頬を膨らませ怒る麻衣。よく見ればナルの腕を掴んでいる。
そのナルの手には......あれ、被害者の遺品じゃねーか。

「....ナル坊、お前」
「何か用があったんじゃないのか?」

俺と麻衣の視線をあえて無視しそんな事を訊ねるナル。憮然とした声の響きから一応はサイコメトリを思い留まったらしい。

「少年が戻ったぞ」

そう伝えれば麻衣の顔に笑みが浮かぶ。

「じゃぁ、もう見る必要ないよね?」
「どいて頂けますか? 谷山さん」
「視ないよね?」
「......はぁ」

諦めたような溜め息は了承の合図。

「今は視ない」

その返答に眉根を寄せた麻衣。“今は” という部分に引っ掛ったのだろう。
しかし次の瞬間にっこり笑ったかと思えば、ナルの手の中にあった遺品を奪い取った。
そして間髪入れずそれを俺に投げた。

「ぼーさん、逃げて! で、それリンさんに預けといて」
「りょーかい」

確信犯な笑みを浮かべて笑う俺たちにナルの恨みがましい視線が向けられる。

「早く来いよ」

それだけ言うと俺は踵を返した。奴が戻って来る前にこれをリンに渡しておかねば。






<おまけ♪>


「麻衣」

なんて事してくれたんだと言う目で麻衣を見る。
滝川がアレをリンに渡せば、僕がサイコメトリしようとした事は確実にバレるだろう。

「ふふ。リンさんだってナルが心配だから怒るんだよ」
「はぁ...」
「ねぇ、ナル?」

囁くような声で名を呼ぶ麻衣に、視線で先を促す。

「約束しようか? あたしが居ない所でサイコメトリしないって」
「何だそれは?」
「あたしが居たら必要ない時は止められるし何かあったら誰かを呼ぶ事も出来る。嫌だよ、あたし。倒れてるナル見るの」
「麻衣」

少し泣きそうな声は反則だと思う。
頬に手を伸ばせば擦り寄ってくる麻衣。見上げる瞳が心配だと雄弁に語っている。

「なるべく、しない」
「それだけ?」
「どうしても視る時は、隣りに居ろ」
「偉そーだぞー」
「実際、偉いからな」
「うわっ、自分で言うし........約束ね」
「あぁ」

頷いた僕に笑った麻衣は、頬に触れたままの僕の手を取る。そしてゆっくりと手の平に口付けを落とす。

「約束だよ」
「.....あぁ」

もう一度、念を押すように囁かれた言葉に頷くと、僕は麻衣に顔を寄せた。



end 



刃月さま、本当にありがとうございました。
<ナル麻衣、甘々、第三者視点> との事でしたので、ぼーさん視点にしてみました♪
おまけ♪ は、ナル視点です。返品OKです。では、失礼しましたー☆


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