*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「んじゃ、私帰るかんね」
そう言って玄関に向かおうとしたハズなのに.....
ようやく論文が完成し、ずーっと書斎に篭りっぱなしだったナルが出て来た。
「お茶」
の一言を告げるとリビングのソファーに沈み込んだ。
そのままソファーの背凭れに頭を預け動かない。
「はぁぁ...」
お湯が沸くの待つ時間に、私がこんな風に溜め息を吐いてしまうのは仕方無いと思う。
仕事なのは判る、でも気を抜けば意識が朦朧とするまで身体を酷使するのは如何なものだろう。
食事のサポートの為に、ここ数日はナルのマンションに通う羽目になってしまった。
別にそれ自体が嫌な訳ではないが....と、お湯が沸いた。
リラックス出来るようにと選んだのはカモミールが入った紅茶。
じっくり抽出したそれをカップに注ぎ、残りをもうひとつのポットに入れる。
これでお代わりも確保だ。
紅茶を手にリビングに戻れば、気配に気付いたナルが目を開ける。
差し出したカップを受け取るとゆっくり口に運ぶ。
「ふぅ.....」
半分ほど飲んだところで溜め息が聞こえた。ようやく肩から力が抜けた様だ。
「お疲れ。こっちにお代わりあるからね」
「....麻衣の分じゃないのか?」
「うん。もう帰んないと」
「.....」
「今日は無理だろうから明日、ちゃんとご飯食べてよね」
「.....」
「もー!返事くらいしてよ。んじゃ、私帰るかんね。朝、昼用のご飯冷蔵庫に入れてあるから、どっちかだけでも良いから食べてね」
そう念を押し、カバンを持って玄関に足を一歩進めた。
「.....」
おかしい。
ついさっきまで私の目には廊下へ続くドアが映っていた。しかし今、視界に入っているのはリビングの天井。
「.....ナル?」
とりあえず原因を作った人物の名を呼んでみるが返事は無い。
ってゆーか、この体勢、私の背中がナルの脚に乗っかってるんじゃぁ無いでしょうか?
天井に向いていた視線を少しずらせば眉を顰めたナルの顔。
「...な、に?」
「なぜ帰る?」
「へ? ....だってもう終電だし」
私の答えが気に入らなかったらしく眉間の皺が深くなった。
「ね、放して」
「...断る」
「や、放してくんないと帰れないし」
身体を起こしソファーに座ったは良いが、手首をナルに掴まれたままなので動けない。
「ねー、ナルー」
「煩い.....僕は寝る」
「じゃー、は.....」
放して、と続くはずだった言葉は音になる事は無かった。
ソファーに座る自分の脚の上には温かな重み。
聞こえる呼吸も、疲れているはずの表情も実に穏やかで何も言えなかった。
掴まれていた手は解放され、代わりに軽く絡められた指。
「しょーが無い。麻衣ちゃんの膝は高っいぞー♪」
明日、代わりに何を要求しようか考えながら麻衣も眠りに落ちた。
end
「四季折々の小道」様との相互リンク記念に、管理人さまに捧げます♪
麒麟さま、ありがとうございましたー♪
「帰るな」の一言がどうしても言えない博士様は実力行使に出ました(笑)
お気に召して頂けたなら幸いです。これからもよろしくお願いします!!!
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