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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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555キリ番をお踏みになられました、きみ子様リクエスト作品です。

<リク内容>
ナル麻衣。
本国イギリスにて麻衣に言い寄る男+嫌味を言う女、ナルが安原を使って牽制&報復。
麻衣自身はまったく気にしないが、ナルが切れ、麻衣をとっても大事にしている感じ。
イギリス関係者やイレギュラーズの反応も。
えーっと、きみ子様。すみません、1話ではまとまりませんでした。







ここはSPRの某一室。薄暗い室内でモニターだけが光を放っている。
“ピッ” という電子音が聴こえたあと、静かな声が響いた。

「以上が、僕からの報告です」
「なんて女なのかしら!」
「まったくですわ!」
「これは逆恨みっちゅうやつちゃいますやろか?」
「それよりこっちの男だろう問題は!!!」

憤慨した様子で一斉に声を荒げるのは、綾子、真砂子、ジョン、そして滝川だ。
リンでさえ “誉められた言動ではありませんね” と憤りを表している。
そんな中、なんの反応も示していない青年が一人。
その事にムッとした滝川は、怒りに任せて青年に詰め寄る。

「おい、ナル! お前も何とか言ったらどうなんだ!!」


一拍置いて向けられたナルの視線に滝川は固まった。

「そんな大声を出されなくても、聴こえていますよ滝川さん」

いつに無くゆっくり丁寧に告げられた言葉と、微笑みを湛えているにも関わらず
熱湯も瞬時に凍りそうな視線がナルの怒りの深さを表現している。


「所長、いかが致します?」

キランと眼鏡を光らせながら訊ねる安原に返されたのは、凄然とした微笑みだった。
(※凄然>寒く冷ややかなさま)   







イギリス、SPR研究所内にある小さなカフェに人目を惹く男女が座っていた。
男の方はライトブラウンの髪に深い緑色の瞳。柔らかそうな物腰は女性から好感を持たれそうだ。
対する女の方は、長い金の髪に茶色の瞳。少し気の強そうな雰囲気だが、男受けは良さそうだ。

「ねぇ、ケヴィン。私に協力してくれない?」
「突然なんだ、エルザ? また博士に相手にされなかったのか? いいかげん諦めたらどうだ、無駄なんだから」
「うるさいわね!! その無駄に良い顔を愛想で、とっととあの娘(こ)落としてよ!!」
「あの娘?」
「そうよ! 博士の側でヘラヘラ笑ってる目障りな小っちゃいのよ!!」

エルザはそれだけ言うと立ち上がり、カフェを出て行った。
ケヴィンと呼ばれた男は溜め息を付き、小さく笑った。

「エルザ、あれは小さいんじゃなくて華奢って言うんだよ」







「あちゃー、やっちゃったー」

そう呟くのは書類をぶちまけた麻衣。順番に並んでいたはずの報告書が見事にバラバラである。

「うー、これ並べ直すのか...はぁぁぁ」
「どうしたの? そんな大きな溜め息....うわぁ、これはスゴイ」
「ご、ゴメンなさい! 直ぐ片付けます!!」
「手伝うよ、コレは一人じゃ大変だよ」
「ありがとう」



「僕はケヴィン、君は?」
「マイです」

今2人が並んで歩いているのは研究室へ向かう途中の廊下。
並べ終わった報告書を運んでいるところだ。

「すみません。運ぶのまで手伝って頂いて」
「ノープロブレム。こんな重いもの一人じゃ運ばせられないよ。それに、可愛い女の子を助けるのはナイトの務めだからね♪」

そう胸を張るケヴィンに麻衣は笑った。

「ケヴィンさんって面白い人ですね。あ、もうそこですね、ありがとうございました。
 良かったらお礼にお茶淹れますんで飲んで行きません?」


「ただいまー」
「「「お帰り(なさーい)」」」
「遅かったわね。あら、ナンパ? 麻衣もやるわねー」
「違うよーもう、ケヴィンさんに失礼だよ綾子。書類運ぶの手伝ってくれたの!ケヴィンさん気にしないでその辺に座ってて下さいね」

そう言うと、給湯室に消える麻衣。
瞬間、合わされる研究室内の人々の目線。そして小さく頷き合う。

「ケヴィン、もうマイをナンパしたの?」
「人聞き悪いなぁ、セシア。大変そうだったから手伝っただけじゃないか」
「その優しさが男女共通なら良い人なんだけどねぇ、そう思わないアヤコ?」

肩をすくめトボケるケヴィンにセシアは呆れたと言い、綾子に同意を求める。

「あら? レディーファーストの染み付いた騎士の国の紳士ならそれ位、当然じゃない」
「そうなんですの?」
「真砂子ちゃん、綾子の言う事をあんまり真に受けちゃいかんぞー」

男は尽くして当然、と言い放つ綾子に不思議そうな真砂子。
そんな真砂子の将来を心配してしまうのは滝川の性分だろう。

「煩いわね、エセ坊主!真砂子、男に尽くさせてこそ女の魅力は上がるのよ!男がただ優しいなんて有り得ないんだから、レディーファーストなんてして当然と毅然とした態度で受け止めなさい。でないと付け込まれれるんだから!!」

色々有ったのだろう、妙に実感の篭った言葉が綾子から出る。



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