*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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仕事が終わり、久しぶりに愛娘の顔を見ようとオフィスに行ってみた。
それが、いけなかった。
なんてタイミングが悪いんだろう、と今更ながらに思う。
まあ、結局どうせまた行くのだけど。
事は、ちょうどお茶の時間に起こった。
「麻衣、お茶」
例の如く、所長室から出てくるなりお約束の台詞を発したナル。
いつものことなので、麻衣は給湯室に行きお茶を淹れてきた。
相変わらずの手際の良さだ。
ちゃっかり一緒に、先程綾子が持ってきたゼリーの姿もあるけれど。
「はい、どうぞ」
紅茶とゼリーをナルの前に置けば、彼はやはりカップを手にとる。
視線は片手の本に固定され、ゼリーは綺麗に無視されていた。
もしかしたらすでに存在を忘れているのかもしれない。
「ナル、ゼリーは食べないの?」
「いらない」
「えー。美味しいのに」
唇を尖らせてゼリーを頬張る麻衣を、ナルは一瞥するだけ。
予想通りの反応に肩を竦めながら、麻衣はオレンジ色をしたゼリーを口に運んだ。
有名店だけあって美味なゼリーに表情を緩めた麻衣に、周囲もナルの態度など頭の隅に追いやった。
無愛想な仏頂面より、幸せそうに笑う(たとえそれがお土産のゼリーだとしても)方が、見ていて微笑ましい。
現に滝川もつられて相好を崩している。
彼は単なる親ばかなだけだが。
一人黙々と読書をしていたナルは、パタリと本を閉じた。
カップの中の残り少ない紅茶を飲み干し、軽く音を立てて置いた。
静かに立ち上がり、麻衣を見下ろす。
「所長室にお茶を」
「はーい」
「それから」
言葉を途切れさせ、スプーンに乗った最後の一口を口内に運んだ麻衣の後ろに回り込む。
反射的に見上げた麻衣の唇に、己のそれを重ねて。
ゆっくりと目を見開いた部下から離れると、ナルは唇で薄く笑みを作った。
「甘いな」
その時の麻衣や滝川の表情は見物だったと、後日、通称越後屋は笑顔で語った。
硬直した麻衣と滝川、笑顔の安原に呆れた表情の綾子。
三者三様の反応を見やると、ナルは何も無かったかのように所長室に戻っていく。
そして静かに閉められた扉の音に麻衣と滝川が叫び出すまで、あと三秒。
end
■ 月羽さまより (悪☆オンで/ナル麻衣)'09.9.9
<博士の突発的行動>
某所で大変お世話になってる『狂桜月夜』の月羽 湊渡さまより頂きましたー☆
この後の所長室が一体どうなったのか非常に気になります(笑)
月羽さま、ありがとうございました。
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