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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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ここは少ーし15禁っぽい文章が書かれています
対象年齢に達してますね? ナルと麻衣がそう言う関係なのに嫌悪を覚えませんね?
以上をご理解の上、後悔しないと言い切れる方のみ下へお進み下さい





抗い難い所業



「どーしたの?」
「何が?」
「なーんか機嫌悪くない?」
「別に」
「んにゃ、昨日から悪い」
お風呂上がり、紅茶を持ってナルの部屋を訪れてみれば、ワーカーホリックな博士様はいつも通りソファーに座り本を手にしていた。
「ルエラたちも居るんだからリビングで読んでも良いんじゃない? 久しぶりでしょう、逢うの?」
そう言いつつナルの隣に腰掛け、紅茶を差出す。どうやら喉は渇いていたらしい、素直に受け取りカップを傾けるナル。
その横顔を眺めていると、少し疲れているらしい事が見て取れた。
“疲れてるの?” と聴けば、“少し” と素直に答えが返ってきた。闇色の髪に手を伸ばし、そっと梳いてみれば肩に寄り掛かってくる。
随分精神的に参っているらしい。
瞳を閉じて、じっとしていると精巧なビスクドールのようだ。
「ナル?」
眠ったのかと思い囁くように呼べば闇よりも深い瞳が瞬いた。
「何だ?」
「ゴメン。寝たのかと思って。疲れてるんでしょう、今日はもう寝たら?」
「時間が勿体ない」
「疲れが取れないと仕事も捗らないよ?」
“ね?” と促せば、珍しく本はパタンと閉じられた。
そのまま瞳を閉じようとするナルをちゃんとベッドで寝るよう促す。
いくら春先とは言えまだ寒いのだから。
電気を消して振り返れば、ナルはベッドの縁に腰掛けただけでちゃんと寝ていない。
“ほら、ちゃんとベッド使って!” と言えば、ただ一言 “麻衣” と呼ばれる。
「な、何?」
愛してると言われた(ナルが言うとこの世の終わりかもしれない)訳でも無いのに鼓動が早くなる。
精一杯の虚勢を張って答えたのに再び呼ばれてしまえば取り繕えない。
「麻衣」
ズルイ。
ただ名前を呼ばれただけ。
でも、その声で呼ばれてしまえば逆らえない。
腕を引かれ抱きしめられる。座っているナルの頭が丁度私の肩に置かれているので頬に柔らかい髪が触れる。
“ナル” と呼べば、さらに引寄せられ口付けられる。
深く吐息を奪われ、何も考えられない。
全身から力が抜けナルの膝の上に崩れ落ちる。
それでも唇は解放されない。ようやく解放された時には、呼吸もまま為らなかった。
荒い呼吸で見上げれば、月灯かりに浮び上がる黒い瞳に吸い込まれる。
痺れる身体をそっと横たえられ、再び深く口付けられても、もう何も考えられなかった。







つづき読みたい人って居るんでしょうか?
えーっと、“後朝の別れ” って言葉が頭に浮かんで、つづきから後朝の様子が脳内を駆け巡りました。
読みたいって方は「続きを読む」からどうぞ。



 

拍手[72回]

 

二人分の呼吸とベッドが軋む音だけがやけに大きく聞こえる。
首筋に降りて来た唇の感触にゾクリと震えが走る。
するりと脱がされていく服。
恥ずかしいと思う間もなく与えられる感覚に、ただ息が上がる。
んっ
思わず上がった声にナルはそこへの愛撫を強める。
首から胸に降りてきた唇はいつの間にか全身へ。
身体の熱さに耐え切れず“ナル”と呼べば深いキスが与えられた。
頬を撫でる優しい手、気遣うような瞳に笑みが零れる。
呼吸を整え小さく頷くと頭を抱え込む様に手を付き、与えられるのは深い口付け。
麻衣はナルの首に手を回し、ゆっくりとナルを受け入れる。
「はぁっ」
と息を吐き余裕の無い頭で麻衣は思う。
背後に月を背負っても失われぬ妖婉さと美しさ。
そして漆黒の輝き。
この人は
まるで月の化身のようだ。
闇が深くなればなる程、その輝きは増す。
誰よりも気高く、強い人。そして誰よりも脆く、優しい人。
あぁ。愛しさが込み上げてくる。

「何を考えている?」

思考を飛ばしていたのが判ったのだろう。
いつもより低い声でナルが訊ねてくる。
何を? と訊かれても、“ナルの事” としか答えられない。
瞳を瞬かせているとナルは妖艶に微笑んだ。
「っ!」
思わずその顔に見蕩れてしまった。が、次のナルの科白に青褪める。
「随分と余裕があるようで」
「ち、違...ふゎっ......あっ!」
慌てて否定しようとしても、ナルは容赦してくれない。
言葉と紡ごうとする唇を塞ぎ、弱い所を攻め立ててくる。
熱い。
合わさった唇の向こう側。深く自分を見つめる瞳に今度こそ、麻衣は思考を手放した。










小鳥のさえずりが聴こえる。
ふっと意識が浮上し瞼を開けば、明るい朝陽の中でもその色を失わない人が居た。
何度見ても突然だと驚いてしまう。
ふぅぅ、と息を吐き早くなった鼓動を落着かせる。それにしても綺麗だ。男の人なのに。陽の光の中に浮かび上がる様は一枚の絵画のようだ。
それを自分だけが見れるこの瞬間が麻衣は好きだったりする。
“愛してる” の言葉より、深くナルに愛されてると感じる瞬間だ。
人の気配に人一倍敏感なナルが、隣に私が居ても寝てるのだから。
穏やかな笑みが麻衣の顔に浮かぶ。
ナルの顔に手を伸ばし、そっおと頬に触れる。
何度か撫でていると、ゆっくりとナルの瞳が覗いた。
「おはよう」
幸せそうな笑顔を全開に浮かべ麻衣はナルに朝の挨拶を送る。
何度か瞳を瞬かせ、眩しそうに瞳を細めると少し笑った。
他の人は見逃してしまうだろう微かな笑み。
一瞬だけ瞳の奥に浮かべられる想いを、麻衣は読み違えない。


「Goog morning my dear」


唇に贈られた感触と耳元で囁かれた言葉にさらに麻衣の笑みは深まった。





 
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