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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「ブロッシュ軍曹、戻らなくて良いのか?」

そう訊ねたのはセントラルの西部へ向かう車の中。
なぜか運転席に座る某軍曹が居る所為だ。

「少将からのご命令は、怪我人の保護と運搬だからね。それに今僕がお送りしているのは、少佐相当官の国家錬金術師殿です。なので職務的に何ら問題は発生しませーん」
「良いのかよ、それで...」

あっけらかんと言ってのけるブロッシュにエドワードは呆れてしまった。

「状況は聞いてる?」
「僕は下っ端だから。ただ、上層部からの命令は反乱者を排除せよと...」
「名前は正式に挙がってる?」
「...中心はマスタング大佐とその側近と言われているけど、僕が知っているだっけでもかなりの数の軍人が反旗を翻している。今、軍に残っている者の中でもマスタング大佐へ攻撃する事を躊躇う下士官は多いはずだよ」
「下には受けが良いからな大佐は...」

窓の外を見つめながらエドは小さく呟いた。
その横顔をバックミラー越しに見ていたブロッシュは意を決っしたように声を掛けた。

「マスタング大佐は、どう言う人なんだろう?」
「.........」

思いがけない問いに、エドは瞳を瞬いた。

「どう? ってのは、どう言う意味で?」
「う〜ん...何て言えば良いのか俺も良く判らないんだけど、エド君から見たマスタング大佐はどう言う人なのか、教えて欲しいなと思ったんだ」
「俺から見た大佐....笑顔が胡散臭い、嫌味な野郎、ムカつく、童顔、女ったらし、雨の日無能」

少し悩んだ後、スラスラと悪口を並べ立てるエドにブロッシュの頬はやや引き攣っている。

「えーっと、そう言うんじゃなくて......そうだなぁー、例えばテロリストが人質と取っていた。テロリストは人質に拳銃を突き付け軍に仲間の解放と金を要求してきた。しかし軍はこれに応じず、強行突破で人質救出の作戦を決行した。だが、人質の元へ潜り込む予定の軍人が運悪くテロリストたちに見付かった。激昂したテロリストは人質と軍人、両方に銃を向ける。この場合、マスタング大佐はどうする?」
「どちらも助ける。片方を見捨てるような選択肢は無い」
「でも、どうしてもって時があるだろう?」
「だからまず、そんな状況にならない様、ありとあらゆる可能性を踏まえて作戦を立てる。部下の技量を見据えた上で、必ず成功すると確信できる最前の策を選ぶ。無謀に見える作戦も緻密に計算された上で提示される。曰く “君たちなら出来るだろう?” と。そんな全幅の信頼に中尉達は完璧に答える。失敗する事はまず無い」

そこで一旦言葉を切り、ブロッシュから視線を外したエド。
しばし瞑目したのち、静かに続けた。

「もし、大佐の作戦が冷酷だと感じる事が有ったなら、それ以外、方法が無かったからだろう」
「では.......ロス少尉もそれ以外方法は無かったんでしょうか?」

静かに訊ねられた言葉にエドはブロッシュを見た。


「俺は、中佐...ヒューズ准将を殺した犯人を知っている」

厳かに告げられた言葉にブロッシュが息を飲む。

「あの時、大佐はロス少尉と話しがしたかった。でも上層部は有無を言わせずロス少尉を犯人に仕立て上げるつもりだったから、刑務所での面会は許可されなかった。だから、ちょっとしたツテでロス少尉を脱走させて死んでも仕方無い状況下にした」
「で、ではマスタング大佐は!!」
「大佐はロス少尉の言葉を信じた。俺が言えるのはここまでだな」

これ以上の質問は受け付けないとばかりに、エドは視線をまどの外に戻した。

「....最後に、一つだけ。マスタング大佐も、ヒューズ准将殺害の真犯人をご存知なんですね?」
「あぁ。俺が伝えた。ブロッシュ軍曹、ここで良い。停めてくれ」
「エド君、どこに行くんだい?」

そう訊いたブロッシュにエドはニヤリと人の悪い笑みを浮かべこう言った。

「高いとこ♪」



「エ、エドく〜ん! ま、待ってよ〜!」
「根性ねーな、怖いんなら下で待ってりゃ良いだろう?」
「そ、そういう訳には行きませーん!」

ここはセントラルで二番目に高い時計塔の階段。
途中で足が竦んでいるブロッシュと軽快に上を目指すエド。
最上段にある鍵の掛かった扉を錬金術で開けると目の前にはセントラルの街が広がっていた。

「やっぱ、こっからだと良く見えるな。少し圧されてる? この人数差ならこんなもんか? 否、西は囮か?」
「な、何でそんな事が判るかな〜?」

呟くと戦況を把握する為、鋭い視線で周囲を見渡す。
やっと追いついたブロッシュが首を捻る。

「んー? だたのカン。うん。南側だ、きっと」

そう言って身を翻す。

「も、もう降りるの〜?」

やっと上ったのに....と肩を落とすブロッシュに苦笑する。

「疲れてるとこ悪いけど、行って欲しいとこがあるんだ」





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