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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「私は、まだ彼らに話がある」

そう言って司令室からエルリック兄弟を出て行かせたイズミ。

「俺、見て来ましょうか?」

心配そうに腰を浮かせたのはハボック。しかしシグがそれを止めた。

「俺が行く。イズミ?」
「任せた。しばらく時間がかかるだろう」




「さて、彼らを追い出してまでのお話とは何でしょう?」

イズミの向かいに座り腕を組んだロイは率直に訊ねた。
今までの彼らとのやりとりを見る限り、下手な小細工は命取りだと判断したからだ。

「追い出してとは人聞きの悪い」
「事実でしょう?」
「まぁ良い。私も回りくどい事は嫌いだから単刀直入に訊こう。ロイ・マスタング、あんたは何をどこまで知って理解している?」
「それはどういう意味でしょう?」
「あの子たちは人体錬成をした。これは勿論知っているね?」
「えぇ、リゼンブールの彼らの家で血まみれの錬成陣を見ましたから」
「それによって錬成されたモノは?」
「否、私が訪れた時は既にロックベル夫人の手によって埋葬されたと」
「アルのあの状態は?」
「鋼のが片腕を対価に、魂の錬成を行い取り返したと...」
「魂の錬成か... 理論上は可能だが、火事場の馬鹿力って奴かね。腕一本、魂の対価としては軽いな...」

口元に手をやり小さく呟くイズミに口を挟んだのは、ロイではなくハボックだった。

「あの〜、お話中申し訳ないんスけど、腕一本は対価として軽いもんなんでしょうか?」
「魂はその人を形成する上で無くてはならない物だ。例えば、エドの身体にアルの魂が入っていたら、それは誰だと思う?」
「身体はエドで中身はアル........」

ハボックはそう呟いたあと言葉が続かない。ホークアイたちも難しい顔で考えている。

「難しいだろう? 外見を見るならエドワード、しかし記憶や心はアルフォンス。一概にどちらだとは言えない。つまり、魂は人として代える事ができない物のひとつだ。それを腕一本で取り返えせたなら、軽い対価だと言えるだろう」

難しい顔ながら一同はイズミの説明に納得したようだ。
しかし、ロイは違う事を思った。

「“どちらも” ではないでしょうか?」
「どういう意味だい?」
「身体は鋼ので中身はアルフォンス。ならどちらでもあるという事ではないかと」
「.....その考え方は、エドに似ているな。なるほど。だから “コレ” なのか.........」

悩みながらもロイが捻り出した答えにイズミは苦笑し、“ふぅ” と溜め息を吐き瞳を閉じた。


「...イズミさん?」
「なぜ、エドに国家錬金術師になる事を進めた?」
「私が鋼の見つけた時、まるで死人のような瞳をしていました」
「だろうな。アレを見て生きて戻った。それだけでも軌跡に近い」
「“何を作った” と訊いた私に、“ごめんなさい” その言葉だけを繰り返していました。誰に対して何を謝っているのかさえ判って居ないように感じました。在るのか無いのか判らない道でも、出来れば立ち上がれのではないかと....」
「そうか....」

静かに呟いたイズミは、“私の質問は終わりだ” とソファーに身を沈めた。

「では私からも質問を良いでしょうか?」
「判る事なら答えよう」
「先ほどから言われている “あれ” とは一体、何なのでしょう?鋼のは知っているがアルフォンスは判らない様でしたが?」
「この世の真理さ」
「真理...?」
「全は一、一は全、全は世界、一は自分、世界は宇宙、宇宙は神、神は真理」
「イズミさん、もしや貴女も...」
「あぁ、内(なか)をね色々と持って行かれたよ。まったく、師弟そろって情けない」

苦々しげに顔を顰めたあと、ひたりとロイに視線を合わせたイズミ。

「ロイ・マスタング。背負わなくていいもまで背負ってたら、いつか身動き出来なくなるよ?」

ぱちくりと瞬きをしたあと、ロイは唇に笑みを浮かべた。

「背負ってなんかいませんよ。現に彼らは自由に飛び立ってます。それに私は、彼らを“軍人” にするつもりはありません」
「まったく、バカな上に甘い男だ。だが嫌いじゃない」

穏やかに笑ったイズミは立ち上がり、深く頭を下げた。

 


「うちの子を救い上げてくれてありがとう」


end 





 

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