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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「申し訳ありませんが、我々は仕事がありますのでこれで失礼させて頂きます。彼らは残してゆきますので何かあれば遠慮なくお話下さい」
「あ、あの! お嬢さんは大丈夫なんですか!?」
「大丈夫....とは?」
「アンファンソレール卿の元に行かれて、その...ご無事なんでしょうか?」

私の質問にデアルさんを含む総ての軍人さんが、一瞬ぽかんとした表情を浮かべ瞳を瞬いたあと一斉に微笑んだ。
今までの笑顔とはまた違う、とっても嬉しそうな笑顔だった。

「リューネ殿お側に居てあの方の身に危険があるはずがありません」

デアルさんはそうハッキリと断言した。周囲の軍人さんも皆、頷いている。

「絶対の信頼なんですね?」
「えぇ。でも、もし、万が一、億が一にでもお嬢さんに何かあったなら、僕らは容赦しません」
「まぁ、そうなったら私たちがどうこうする前に獅子降臨だと思いますが.....」
「否、その前に同行されてる軍曹殿が...」
「否々、獅子の逆鱗を恐れたグリエ殿が片を付けるかも.....」
「全員じゃないか?」
「「「......それは激しく有り得そうだ(です)!!」」」
「で、トドメはにこやかに軍曹殿が?」

......何だろう。
皆さんの顔色が一斉に悪くなって、会話が穏やかでない気がする....トドメとか言ってるし。

「お嬢さんのことだから、どっかの階段踏み外して捻挫....とか」
「果てしなく有り得そうで笑えないな.....」
「お嬢さんどうか無事に、出来れば無傷で帰って来て下さい!」
「だ、大丈夫ですか?」

軍人さんたちがドコか遠くを見つめていて何と声を掛けていのか判らず、つい見当違いな問い掛けをしてしまった。が、固まっていた軍人さんたちが何とか我を取り戻してくれたようだ。
そして自分自身に言い聞かせるよう皆、口々にこう言った。

「「「大丈夫です。我々の精神の安全の為にもお嬢さんはご無事にお戻りになられます」」」





「後ほどギニーという者が参ります。わたくし付きの者で湖畔族の血を引いております。来たらお通し下さいませんか?」
「畏まりました。門番へ連絡しておきます」

アンファンソレール卿の邸に着いて最初に交わした言葉がこれだった。
何故か付いて来たヒッツベルガー卿も交え、どうでも良い自慢や気分の悪くなる話、ぶん殴ってやろうかと思う話に耳を傾けて愛想笑い.....
途中でギニーが来て自己紹介の時間が無かったら耐えられなかったかもしれない。
正直すんごい疲れた。
実質2時間。これなら城で書類やってた方が楽だ、うん。
良く頑張ったよね私。ギニーもよく軍曹モードにならなかったなぁ......

「そう言えばベンカー卿?」
「何でしょう?」
「確か使用人が倒れてお困りとの事でしたかな?」
「えぇ、そうなんです。初めての長旅が嬉しくってわたくしが急かしてしまった所為で...お医者様やこちらのギニーの癒しの手で対処しておりますが半数以上が疲労から体調を崩し手が回らないのです。上の者は流石に残っておりますが倒れた者の看病をする者や所用をこなせる者が足りなくて、どうしたものかと.....」
「あぁ、なるほど。それで昨日お連れになられたには下位の者が中心だったのですね」

困ったように頬に手を当てるお嬢さんにヒッツベツガー卿が納得の声を上げた。
その言い草にお嬢さんとギニー殿のお顔がちょーっとばかし怖いんですが.....
まぁ、俺に被害は無いから良いか。
そんなお二人にまーったく気付く事なくアンファンソレール卿は笑みさえ浮かべながらこう言った。

「それでしたら私がお役に立てる事かと思います。ベンカー卿、あちらの建物はお判りになりますかな?」
「あの白い建物でしょうか?」
「そうです。あちらに固定の仕事を持たぬ使用人が70名ほど居ります」

アンファンソレール卿が指を指した先に有ったのは俺たちも目を付けていた大きな建物。
無駄に警備が厳しく調査しきれていない場所だ。
今日明日あたり俺が入り込もうと思っていたから丁度良い。
構造を頭に叩き込んでおけば後々潜り込み易いし他の奴に回せるな。
そんな事を思案している間にもお嬢さんとアンファンソレール卿の会話は続いている。
お嬢さん.....演技力付きましたねぇ.....

「...そんなに沢山仕事をしないものが?」
「否々、仕事をしないのではなく毎日発生する仕事ではないのです。私の身の回りの使用人は足りておりますし下民ですので夜会にも使えません。ですが、お話をお聞きした所ベンカー卿の身の回りのお世話をする上位の使用人は足りているご様子。中位から下位の使用人の世話をさせるのであれば丁度良いかと思います。いかがです?ベンカー卿さえお気に召せば誰でもお連れ下さい」

アンファンソレール卿が「下民」などとほざきやがった所為でお嬢さんの可愛いらしいお顔がどっかの某閣下みたいに....
お嬢さん眉間に皺! 皺寄ってますの事よ〜ん!!
あぁ....軍曹殿!! あなたまで.....




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「誰を連れて行っても良いのですか?」
「えぇ、今させている仕事はありません。全員でも構いませんよ」
「まぁ...ありがとうございます。でもさすがにそれは宿に収まらないので.....でもお言葉に甘えて何人かお借り致します。見に行っても構いませんか?」
「あちらにですか?」
「えぇ。使用人の世話をさせるとはいえ、わたくしの目に入るでしょう?なら自分で選びたいと思うのですが、ダメでしょうか?」
「確かに目端にしか映らぬとはいえ気に入らない者は置きたくありませんな。あまり綺麗な所ではありませんが、ご案内致しましょう」
「よろしくお願いします」

内心の怒りを悟らせる事なくお嬢さんはアンファンソレール卿との会話を終わらせた。
ホントお疲れ様です。
あとで美味しい紅茶とお菓子持って行きますから、もーちょっと耐えて下さいね〜。


「足元にお気を付け下さい」
「.....ここは暗いんですね」
「申し訳ありません。斜面を利用して建てられたもので採光があまり良く無いのです」
「そうなんですか。何だか不思議な造りですね....あの扉は?」
「え? あぁ、あれは門番の詰め所です。使用人しか居ないとはいえ警備は必要ですから」
「では、あちらは?」
「あれは勝手口です。外出許可を取った者が所用で出かける際に使用します。わざわざ邸を通ってゆくより街に近いのです。あぁ、着きました」
薄暗い階段をアンファンソレール卿の案内で降りて行った俺たち。
お嬢さんはごく自然に必要な情報をきっちり訊いて下さるので非常に有り難い。
これで詰め所と裏口は簡単に押さえられた。
「こちらが使用人用の広間です。全員集まるように通達しておきましたので、ごゆっくりご覧下さい」
「ありがとうございます」
恭しく頭を下げたアンファンソレール卿は悦に入った笑みを浮かべた。
嫌な顔しやがる。
そう思った時、バタバタという慌ただしい足音と「旦那様!! 旦那様!!」という叫び声が聞こえた。

「何だ騒がしい! お客様に失礼であろう!!」
「も、申し訳ございません。しかし緊急にお耳に....」
「黙れ!! 大変お見苦しい所を御見せし申し訳ありません、ベンカー卿。少し席を外さねばならぬようです」
「こちらこそお忙しい所、お相手ありがとうございました。お仕事でしょう? どうぞわたくしの事はお気になさらずお戻り下さい。場所は判りましたのであとは自分で参ります」
「そうですか? 本当に申し訳ない.....何か不明な事がございましたら回りの者にお尋ね下さい」
「では私がご案内を....」
「あ、あの! ヒッツベルガー卿にもお手紙が....」
「何?仕方が無い.....ベンカー卿、申し訳ありませんが」
「どうぞお気遣いなく」
慌てて邸の方に帰ってゆくアンファンソレール卿とヒッツベルガー卿を笑顔で見送られるお嬢さん。
ここへ来てから一番の笑顔ですね....気持ちは判りますが。
「アンファンソレール卿もお忙しそうですし、早く選んで帰りましょう」
「はい、お嬢様。わたくしもお手伝いさせて頂きます」
「うん、お願いねギニー」
「ではご案内させて頂きます!」
にっこりと微笑みあうお嬢さんと軍曹殿に向かって門番がビシっと敬礼した。
ガチャリと広間の扉を開けた門番は中の人たちに向かって大声で叫ぶ。

「静かに!! こちらは旦那様の御客様でベンカー卿 ルーシェ様と仰られる。皆、失礼の無いようにと旦那様からの御言葉だ!!」
「ご案内ありがとうございました。皆さんもお仕事が有りましょう?勝手に見させて頂きますので、ここまでで結構です」
「否、しかし....」
「結構です。1時間半ほど掛かるかと思いますがどうぞお気遣いなく」
「.....そうですか? で、では、何かございましたら御呼び下さい」
「えぇ、ありがとうございました」

お嬢さんがにこやかに、しかし反論は許さぬよう退出を促した。
というかあの微笑みで「結構です」って言われて逆らえる奴なんぞ居ないだろう、うん。



これでこの場には我々しか居ない。
去ってゆく門番たちの足音と気配を確認しお嬢さんに頷く。
「もう大丈夫ですよ、お嬢さん。近くに警備兵はいません」
「ありがとうスケさん。ギニー、時間がないけどお願いね」
「はい、早急に」
さて、とお嬢さんが振り返ると、そこに居た人々は一斉に頭を垂れた....こりゃぁまた、お嬢さんの機嫌が悪くなりそうだ。
しばらく無言だったお嬢さん。
なんと声を掛けようか迷っていたようだが大きな溜め息と共に口を開いた。
「はぁぁ....えーっと、私の声は聴こえますか? 聴こえてたら顔を上げて下さい」
大きくはないが、ハッキリとしたお嬢さんの声に躊躇いがちに顔が上がる。
「....そこの人は?」
「も、申し訳ございません! 直ぐに起こしますので!!」
「体調悪いの?」
「あ、あの...」
微動だにしない一角に気付かれたお嬢さんが心配そうにお尋ねになれば、近くに居た男は言い難そうに言葉を濁す。
その様子に眉を顰めたお嬢さんに軍曹殿が頷かれる。
「ギニー」
「はい! すみません、失礼致します。お顔を拝見させて下さいね...あら、あまり顔色が良くありませんね、いつからです?」
白衣の悪魔もといお嬢さん命名、白衣の天使の如く治療を開始した軍装殿はさて置き、俺はお嬢さんが見付けられた別の怪我人の元へゆく。





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「そこの人は〜? 怪我? スケさ〜ん!」
「はいはーい。お嬢さんちょーっと待ってて下さいねー。ゴメンよー、運ぶぞー」
俯せに寝かされていた男に声を掛け身体を持ち上げれば「うっ」と押さえた呻き声があがる。
「悪りぃ悪りぃ、痛かったか? どこだ? 背中か? こりゃぁ熱も出てるな」
「スケさん、服脱がしてくれる?」
はい、お待ちを...と脱がした服の下にあったのは、紛れも無い鞭の痕。
1回や2回なんて可愛いもんじゃぁない。
幾重にも重ねられた痕は血の滲んでいるものから水膨れのできているものもあり痛々しい。

「これは...酷い....なんてことを.....」

お嬢さんが唇を噛み締めながら呟く。
もっと早く来られればと、御自身を責めておられるのだろう。
これは報告しておかなければ。
「ちょーっと触りますよー」
そう言うとお嬢さんは懸命に微笑みを浮かべて震える手をその傷付いた背中に当てられた。
辺り一帯を癒しの光が覆う。
周囲からいくつもの息を呑む音が聞こえた。
「とりあえず応急処置ね。これで大分ましにはなると思うんだけど....」
呆然とした男の顔を心配そうに覗き込むお嬢さんに誰も何も答える事は出来そうにない。
一見無礼とも取れる態度だがお嬢さんがそんな事を気にするはずもない。
「他に怪我してる人とか体調の悪い人は居ない? ....それも怪我だね?」
そう言いながら次々と怪我人や病人を看てゆくおふたり。重症な者の手当が終わった時には
既に1時間ほど経過していた。


「おふたり共、大丈夫ですか?」


飲み物を手渡しながら訊ねると少し疲れてはいるようだが意外にしっかりとした返事が返って来た。
「取りあえずこれで大丈夫.......えっと、私の話は聞いてもらえる?」
「あ、あの...どうして我々を治療して頂けるのでしょうか?」
「.....怪我や病気の治療を受けた事ってない?」
「い、今までは.....」
あぁぁぁ、お嬢さんと軍曹殿の瞳が座っちまった。
「その背中の傷はアンファンソレール卿が?」
「えっと....その、はい。廊下を歩かれる旦那様のお邪魔をしてしまいまして」
「.......それだけ?」
「はい」と小さく頷く男。お嬢さん! どっかの獅子みたいな顔になってますよーーーー!!
可愛いお顔が台無しですわ〜!! でも、それが嬉しいと言ったら、お嬢さんは怒るんでしょうね?
そんな貴女だから俺たちは護りたいと思うんです。
どんな無謀な事だってお手伝いしますとも。
なぁんて柄にも無い事を思っていたら、隣りの軍曹殿が声を上げた。

「お嬢様、そろそろお時間が」
「そうだね。じゃぁ、ギニーの目から見て移動させた方が良い人を選んで。あとその人を看病してくれる人を1人ずつ。半分くらいなら何とかなると思う」
「判りました」
「スケさんは移動用の馬車の手配を」
「はいは〜い。出来てますよ〜」
「さすがグリエちゃん」
軍曹殿の言葉に頷かれたお嬢さんは次々と指示を出される。
いや〜、何だか感慨深いですねぇ。
ほ〜んとご立派になられて....某王佐閣下なら滂沱の汁をお流しになられるんでしょーねー。

「お嬢様、小さいお子さんはどうなさいます?」
「う〜ん、できれば全員.......私が小さい子と遊んでみたいとでも言うわ」
「了解しました」
「出来れば親も一緒にね」

少し考えた末に、子供を全員連れて行くと仰ったお嬢さん。確かにこんな場所にいつまでも子供を置いておく訳にはいかない。
ひらひらと軍曹殿に手を振るお嬢さんに小さな影が近づいた。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん?」
「ハディーっ!! 申し訳ありません、子供のした事でございますのでお許し下さい!!!」

小さな女の子が服の裾を引っぱりながらお嬢さんを呼ぶ。
俺たちからすれば微笑ましい光景だが、母親だろう女性は真っ青な顔で飛んできた。
それを見て苦笑しつつもお嬢さんは女の子=ハディーに向かって話し掛ける。
「なぁに? お名前はハディーでいいの?」

「うん! あのね、ハディーのお兄ちゃんのお怪我治してくれてありがとう....えぇっと?」
「ルーシェ。私はルーシェって言うの、よろしく」
「ありがとう、ルーシェお姉ちゃん!!」

母親はホントに可哀想なくらい真っ青だが軍曹殿も居るし、まぁ何とかなるだろう。
一方お嬢さんは満面の笑みで御礼を言うハディーにヤラレタらしい。

「可っ愛いーーーーーー!! ハディー、おいでー」
「わーい、抱っこー♪」
「ハディーーーっ!!!」



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無邪気な娘に母親は倒れそうだ。
対するお嬢さんは、クスクスと可愛く笑うのみで気分を害される事もない。
「ハディー、隣りに居るのはお母さん?」
「うん、お母さん」
「そう。ハディーのお母さん、こんにちはー」
「こ、こん、にちは.....あ、の。うちの娘がとんだ失礼を...」
「されてません」
元気良く挨拶なさったお嬢さんに母親は、どもりながらも返事を返す。
そして娘の行動を詫びようと頭を下げた時、お嬢さんの凛とした静かな声が母親を射抜く。
「無礼なんてされてません。ありがとうと御礼を言われましたけど無礼な事なんて何もされてません。貴女がちゃんと教育されてるからでしょう?」
お嬢さんの言葉の意味を掴みかねた母親は?マークを浮かべ首を傾ける。
その様子にお嬢さんはふわりと微笑まれる。
「“ありがとう” と “ごめんなさい” をちゃんと言える子は素敵な良い子でしょう? ね?」
「ハディーいい子?」
「うん、とっても良い子」
小さな女の子を膝に抱き、微笑まれるお姿は幻想のように美しかった。
母親の瞳からは耐え切れずに溢れた涙が浮かんでいる。
「さて、お嬢さん。ご機嫌が良くなったところ大変恐縮ですが、そろそろベンカー卿にお戻り下さい。アンファンソレール卿が戻って来ます」
俺がそう言うとお嬢さんは盛大に嫌そうな顔をしたが渋々頷きハディーに向き直った。
「むぅー.....仕方無い、ハディーまた後でね。あと、アンファンソレール卿の前では絶対しゃべっちゃダメだからね」
「はーい」
お嬢さんは母親にハディーを渡すと名残惜しそうに頭を撫でてから深呼吸する。
タイミングは完璧だ。
扉をノックする音と共にアンファンソレール卿がやってきた。
「申し訳ありませんでした、ベンカー卿」
「あら? アンファンソレール卿、もうお仕事はよろしいので?」
「そんなものは特急で終わらせてきましたよ」
ははは。と機嫌良く笑うアンファンソレール卿に合わせて笑みを浮かべるお嬢さん。
多少頬が引き攣ってるのは仕方ねーわな。

「そう言えば、お気に召す者はおりましたかな?」
「えぇ、先ほど選び終わった所です。結局何人になったのかしら、ギニー?」
「はい、37名です」
「あらそんなに? もう少し減らすべきかしら?」
「ははは、わたくしは問題ありませんので、ベンカー卿さえ宜しければお連れ下さい」
「そうですか? じゃぁ、お言葉に甘えさせて頂きますね」
にっこりと微笑まれたお嬢さんが振り返りギニー殿に移動の手配を促す。
さてこれで帰れると思った矢先、アンファンソレール卿がお嬢さんに語りかける。
「今夜のご予定はお決まりでしょうかベンカー卿? もし宜しければ夕食をご一緒にどうでしょうか?」
「夕食....ですか?今日は別の予定が.......困ったわ」
「否々、突然お誘いしたわたくしの責任です。申し訳ありません」
突然の誘いに対するこのお嬢さんの嫌そう....えーっと困ったお顔。
えぇえぇ。判ってますよ嫌ですよね堅苦しい食事なんて食べた気しませんものね。
しかしこれがチャンスだと言う事はお嬢さんも判っておられるのだろう、俺に視線を向けられる。
だが奴が戻る前にアンファンソレール卿と食事をさせてしまえば色々と都合が悪いので日程は変更だ。
俺は小さく頷き手帳を捲りながらお嬢さんにだけ聴こえるように囁く。
但し唇を読まれるとまずいのであくまでベンカー卿のお付きのスケサブロウとして。
「明後日までは予定が詰まっており調整は難しいかと......」
「ではこの日ならどうかしら?」
「その日でしたら調整できるかと思います」
俺の答えにお嬢さんは頷かれアンファンソレール卿に向き直られる。
「おそらく13日でしたら時間が取れると思うのですが......いかがでしょう?」
「13日というと....明々後日ですね判りました。楽しみにしております、レディ」
「わたくしもですわ」


「では今日はこれで失礼いたします」というお嬢さんの言葉で我々は辞去した。
で、合計40名が乗る馬車でお嬢さんは喚いていた。
「気持ち悪〜い!! 何なのあのオヤジーー!!」
「はいはーい。お嬢さん消毒しましょうねー。手を出して下さーい」
「スケさ〜ん」
「はい、お疲れ様でした。良く耐えましたね〜」
「良いもん、倍にして返してやるもん」
ぷっくり頬を膨らまして怒るお嬢さん........あぁ、和むなぁ。
俺も、先ほどまでイライラしてた軍曹殿も思わず頬が緩んでしまった。





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