*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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今日もわたくしは騎士様を求めて街へ降りるのです。
わたくしの名前はジェニファー・コレット 。イギリスの由緒ある子爵家の娘ですわ。
幼い頃から、高貴な家に相応しい娘になる様にと、様々な事を教えられました。わたくしもそれがこの家に生まれた努めだと、淑女になる為のレッスンを一生懸命受けて参りました。
いずれ、親の決めた身分の釣り合う殿方と結婚し、この家を守ってゆく。それがわたくしの未来だと、生まれてからずっと信じておりました。
しかし、そんなわたくしに、転機が訪れました。
あれは忘れもしません、十四歳のわたくしのバースデーパーティー。
参加頂いた皆様から沢山のおめでとうの言葉を頂戴し、わたくしも笑ってそれに応えました。今思えば、浮かれていたのだと思います。
お父様から頂いた新しい靴で動き回った所為で、靴擦れを起こしてしまったわたくしは、誰にも知られぬ様に庭に出ました。
物陰にあるベンチに腰掛け、靴を脱いでみれば、やはりそこには血の滲んだ足。
「ついてないわ、こんな日に」
溜め息を吐いたわたくしは、とりあえず傷の手当して、使用人に履き慣れた靴を持ってきてもらおうと、もう一度合わない靴に足を伸ばしました。
その時、近くの茂みから一人の男性が現れたのです。自分以外誰も居ないと思っていたわたくしは、文字通り飛び上がりました。
「!?」
その場に固まったわたくしの方へと、その男性は近付いてきます。
何か言わなくては。
そう思えど、声がでません。
「驚かせてしまい申し訳ありません」
あと三歩という所で足を止めた男性は、低く謝罪の声を発します。何故か、わたくしから視線は外して……。
「そ、その……少々不手際で迷ってしまいまして、人の気配がしたものでこちらに……その驚かせるつもりではなくですね……。もしパーティー会場の位置をご存知であれば、教えて頂きたいと思ったのですが……」
何だかしどろもどろに言葉を紡ぐその方が面白くて、わたくしは思わず笑ってしまいました。
「……ふふふ。会場でしたら、この道を引き返して右に、少し進めばホールが見えて参ります。そちらまで行けば当家の使用人がおります」
「ありがとうございます。その、失礼を承知の上お尋ね致しますが、その足は……」
その方の指摘に、わたくしは自分の足をベンチに上げたままであった事に気が付きました。
「きゃっ」
真っ赤になったわたくしは、慌てて足を下ろします。だからこの方は、わたくしの方を見ずに話をされていたのですね。
「ど、どうぞお気になさらず!」
恥ずかしさのあまり、少し声が大きくなってしまいました。火照る頬を隠して申し上げましたが、その方は一向に去って下さいません。
何故かしらと首を傾けたわたくしの前に、影が射します。
失礼と発したその方は、足下に跪いたかと思うと、わたくしの足を取ります。
「靴擦れですね」
あああの、すっごく恥ずかしいのですが放して頂けないでしょうか?というわたくしの心の声は、その方には届きません。
わたくしの様子に気付かないその方は、胸ポケットに入れていたハンカチを取り出すと、徐に引き千切りました。
そして、傷付いたわたくしの足に、その切れ端を包帯の様に巻いてゆきます。
「い、いけませんわ!」
漸く、その方の行動の意味に気付いたわたくしは、慌てて止めに入ります。が、その方は優しく微笑んで言われます。
「どうぞお気に為さらず。私が勝手にしているだけですから」
な、なんでしょう。胸がどきどき致します。
結局、それ以上何も言う事ができなかったわたくしは、器用に巻かれてゆく布を見ているより他ありませんでした。
やがて全ての布を巻き終えたその方は、わたくしを抱き上げホールの方へと足を進めました。
「お、降ろして下さい!!」
「いいえ。これ以上無理をなさってはいけませんよ」
蚊の鳴くような声で、お願いしたわたくしでしたが、強い否定の言葉に逆らう事はできません。そのまま、わたくしはホール近くまで連れて行かれ、会場から消えたわたくしを心配して、探しに出ていた父に手渡されました。
その時、ようやくその方のお名前を知る事ができました。
林興徐さま。
それ以降、わたくしの心はその方……リン様の事でいっぱいなのです。
中国系企業の御曹司で、家督は弟君に譲られ、御自身はイギリスの権威ある研究所の研究員。
ご実家の援助をお受けになられず、御自身で生計を立てていらっしゃる。
ああ何て素敵な御方。
包み隠さず申し上げると、わたくしはあの瞬間(とき)、恋に落ちたのです。
それからと言うもの、わたくしは自由時間の全てをリン様の観察に費やしているのです。
女とうものは、好きな殿方の事は何でも知りたいものですわ!
だからと言ってお仕事の邪魔をするなど言語道断。わたくし、その位弁えております。ちゃんとリン様の上司の方にお許しを得て、研究所にお邪魔しております。
リン様のお側に居させて頂くのに、カメラの一台や二台、安いものです。
「ああ。今、リン様がお手に取ってらっしゃるのは何かしら?あんなにも真剣に悩んでらして……ス・テ・キ」
わたくしはリン様の悩ましげな表情に、うっとりと頬を染めます。
そして、その行動を逃す事なく日記に付けます。
いつか夫となったリン様が、わたくしの隣りで微笑んで下さるのを夢見て。
end
美桜子さん、サイト四周年おめでとうございます!!!
悪☆オン3のチャットで出逢って約3年、オンでもオフでも仲良くして頂いてありがとうございます。
格好良いリンさんのリクだったハズなんですが、何かオリキャラがすっごく出張っててすいません。
こんなので宜しければ、どうぞお納め下さいませ☆
では、また遊んで下さいね♪c(>ω<)ゞ♪
朽葉
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