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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「そこの人は〜? 怪我? スケさ〜ん!」
「はいはーい。お嬢さんちょーっと待ってて下さいねー。ゴメンよー、運ぶぞー」
俯せに寝かされていた男に声を掛け身体を持ち上げれば「うっ」と押さえた呻き声があがる。
「悪りぃ悪りぃ、痛かったか? どこだ? 背中か? こりゃぁ熱も出てるな」
「スケさん、服脱がしてくれる?」
はい、お待ちを...と脱がした服の下にあったのは、紛れも無い鞭の痕。
1回や2回なんて可愛いもんじゃぁない。
幾重にも重ねられた痕は血の滲んでいるものから水膨れのできているものもあり痛々しい。

「これは...酷い....なんてことを.....」

お嬢さんが唇を噛み締めながら呟く。
もっと早く来られればと、御自身を責めておられるのだろう。
これは報告しておかなければ。
「ちょーっと触りますよー」
そう言うとお嬢さんは懸命に微笑みを浮かべて震える手をその傷付いた背中に当てられた。
辺り一帯を癒しの光が覆う。
周囲からいくつもの息を呑む音が聞こえた。
「とりあえず応急処置ね。これで大分ましにはなると思うんだけど....」
呆然とした男の顔を心配そうに覗き込むお嬢さんに誰も何も答える事は出来そうにない。
一見無礼とも取れる態度だがお嬢さんがそんな事を気にするはずもない。
「他に怪我してる人とか体調の悪い人は居ない? ....それも怪我だね?」
そう言いながら次々と怪我人や病人を看てゆくおふたり。重症な者の手当が終わった時には
既に1時間ほど経過していた。


「おふたり共、大丈夫ですか?」


飲み物を手渡しながら訊ねると少し疲れてはいるようだが意外にしっかりとした返事が返って来た。
「取りあえずこれで大丈夫.......えっと、私の話は聞いてもらえる?」
「あ、あの...どうして我々を治療して頂けるのでしょうか?」
「.....怪我や病気の治療を受けた事ってない?」
「い、今までは.....」
あぁぁぁ、お嬢さんと軍曹殿の瞳が座っちまった。
「その背中の傷はアンファンソレール卿が?」
「えっと....その、はい。廊下を歩かれる旦那様のお邪魔をしてしまいまして」
「.......それだけ?」
「はい」と小さく頷く男。お嬢さん! どっかの獅子みたいな顔になってますよーーーー!!
可愛いお顔が台無しですわ〜!! でも、それが嬉しいと言ったら、お嬢さんは怒るんでしょうね?
そんな貴女だから俺たちは護りたいと思うんです。
どんな無謀な事だってお手伝いしますとも。
なぁんて柄にも無い事を思っていたら、隣りの軍曹殿が声を上げた。

「お嬢様、そろそろお時間が」
「そうだね。じゃぁ、ギニーの目から見て移動させた方が良い人を選んで。あとその人を看病してくれる人を1人ずつ。半分くらいなら何とかなると思う」
「判りました」
「スケさんは移動用の馬車の手配を」
「はいは〜い。出来てますよ〜」
「さすがグリエちゃん」
軍曹殿の言葉に頷かれたお嬢さんは次々と指示を出される。
いや〜、何だか感慨深いですねぇ。
ほ〜んとご立派になられて....某王佐閣下なら滂沱の汁をお流しになられるんでしょーねー。

「お嬢様、小さいお子さんはどうなさいます?」
「う〜ん、できれば全員.......私が小さい子と遊んでみたいとでも言うわ」
「了解しました」
「出来れば親も一緒にね」

少し考えた末に、子供を全員連れて行くと仰ったお嬢さん。確かにこんな場所にいつまでも子供を置いておく訳にはいかない。
ひらひらと軍曹殿に手を振るお嬢さんに小さな影が近づいた。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん?」
「ハディーっ!! 申し訳ありません、子供のした事でございますのでお許し下さい!!!」

小さな女の子が服の裾を引っぱりながらお嬢さんを呼ぶ。
俺たちからすれば微笑ましい光景だが、母親だろう女性は真っ青な顔で飛んできた。
それを見て苦笑しつつもお嬢さんは女の子=ハディーに向かって話し掛ける。
「なぁに? お名前はハディーでいいの?」

「うん! あのね、ハディーのお兄ちゃんのお怪我治してくれてありがとう....えぇっと?」
「ルーシェ。私はルーシェって言うの、よろしく」
「ありがとう、ルーシェお姉ちゃん!!」

母親はホントに可哀想なくらい真っ青だが軍曹殿も居るし、まぁ何とかなるだろう。
一方お嬢さんは満面の笑みで御礼を言うハディーにヤラレタらしい。

「可っ愛いーーーーーー!! ハディー、おいでー」
「わーい、抱っこー♪」
「ハディーーーっ!!!」



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