*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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自分が落着いてしまうと周りの様子が良く見えるようになった。
俺たちを周囲の研究員だろう白衣を着ているし、が呆然と見やっていた。
「おいリン、俺たちすっげぇ見られてる気がするんだが?」
「数日前の谷山さんもそうでしたが、ナルと普通に会話してるだけでそんな感じですよ。ここは」
「ナル坊、会話放棄が多いもんな。俺たち自己紹介はせんでも良いのか?」
「したければどうぞ」
そう言ってナルは立ち上がった。
「所長、報告はどうしましょう?」
「二度手間になるので麻衣が来てからで結構です。昼には来る予定です」
ナルはそれだけ告げると書類を持って奥の部屋へ入って行った。
「...相変わらずですわね」
「まったくね。リン、私たちはどうすれば良いの?」
「取りあえず荷物はこちらの部屋にどうぞ。その後、彼等に紹介します」
まずは、とリンが紹介してくれたのは、ルイスという好感の持てる青年だった。
ナルの七歳年上でメカニック担当らしい。あと、ジェイシーというキャリアウーマン風な映像解析者(まどか嬢と同じ年くらいの美人)に、ロゼリアという若い女性研究員、マルクという穏やかそうな青年ラウスという気弱そう研究者、セシアは可愛い女の子な感じだ。
ルイス、マルク、セシアの三人は明後日からの調査に同行するらしい。
俺たちも一通り自己紹介した所で、リンが “仕事が有りますので” と、どっかに行ってしまった。
すると、少し躊躇いながらルイスが話し掛けてきた。
「えー、Mr. タキガワ? いくつか質問しても?」
「おう。俺が答えられる事なら良いぜ!」
そう言って笑ってやると安心したようだ。
もしかして日本人は皆、ナルみたいに無愛想だと思われてるんだろうか?
「皆さんはオリヴァー....えー、博士と、どのようにお知り合いになられたんでしょうか?」
そう質問して来たのはルイスだ。が、室内の全員が興味津々に聞き耳を立てている。
「もっと気楽にしゃべってくれて良いぞー。まず俺と綾子、ジョンに真砂子ちゃんがナルと逢ったのはとある高校の心霊現象の調査の時だな。第一印象は、綺麗な顔して傲顔不遜の若造だったなぁ」
「確かに。刺々しい物言いだったわ。役立たずだの何だの」
「あら? 事実じゃありませんの」
「煩い!」
口元を隠して笑っている真砂子。言い返してる綾子も楽しそうだ。
「マジで人使いは荒いし、言葉は毒と棘だらけだったが仕事は確かだと思った」
「子憎たらしいけど何か憎めない奴なのよね〜」
「まぁ、結局その調査は地盤沈下って事で終わったけどな。その後、な〜んか知らんが調査の時たまに呼ばれるようになったんだ」
「事務所を喫茶店代わりに入り浸って居た滝川さんが余りに暇そうだったからじゃありません?」
「真砂子ちゃん酷ーい」
「あら、失礼」
「で、この少年は元依頼主だ。少年の高校で心霊現象が起こっていると校長が最初に依頼に来たんだがナルが追い返したんだ。すると翌日、この生徒会長だった少年が全校生徒の署名と校内で起こっている現象をまとめた資料を持って再度依頼に訪れた。依頼を受ける気のなかったナルを言葉巧みに丸め込んで結局動かしたんだから大したもんだよな。」
「いやー、そんな褒められたら僕照れちゃいますよー」
「そん時の情報収集能力を見込まれて雇われたんだよな」
「えー、つまり。博士の方が皆さんをお呼びになるんですね?」
「そうそう。不遜な態度にムカついて、次は頼まれても絶対行くもんか! って思ってるのに “出来ないなら結構です” って言われるとつい... あぁ、俺ってイイヒト」
「そうですわ。ナルは不遜なままでいらっしゃれば良いのに偶に、本当にごく稀にですけど謝ったり、優しかったり。ズルいんですわ!! これじゃぁ憎めませんもの」
「確かに普段が普段だものね」
「渋谷さんは元々お優しい方やと僕は思いますよって」
「結局、皆さん所長の事が好きなんですよねー」
少年の言葉を否定できずに苦笑してしまった俺たちはやっぱり博士様が好きなんだろう。
周囲の研究員(全員)は驚愕の表情を浮かべ固まっているが...
おーい。大丈夫かぁ? 顎が外れそうだぞー。
ヒラヒラと顔の前で手を振ってやると、ルイスが半ば呆然としながら言葉を紡いだ。
「や、やさ...し..い...オリヴァー? ....すみません。ちなみにどの辺りが?」
本気で訪ねるルイスに同意するように視線を向けてくる研究員たちに俺たちは笑いが込み上げて来た。
でも同時にナルが彼らには根本的な部分で理解されていない事にも思い至った。
ちょっと見方を変えさせてやろう。まったく俺もお節介になったもんだ。
「そ、そーだよな!あはは、普段のあいつには無いよな。気遣いとか無縁だと思ってるだろう? 確かに言葉はキツイし態度もデカイ。でもな、あんたらちゃんと見てるか?アイツは正真正銘、天才鬼才のディビス博士だ。でもな、奴が<オリヴァー・ディビス>という一人の人間だということをあんたらは理解していないし見落としているんだ」
真剣な想いを瞳に載せ、彼らが少しでも理解してくれるよう希望も込めて事実を諭した。
「そうですよー。ちゃんと見てれば所長、結構判りやすい性格してますよ」
少年よ、にこやかにトドメを刺したな...
他の奴らも否定しない。
ナル坊もきっちり愛されてるらしい。
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