*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「滝川法生殿は確か、神祇官だったか?」
「うん、そうだよ。この春に、伯(かみつかさのかみ)の位を賜ったって言ってた」
「神祇官最高位か........そう易々と上がれる地位ではなかったと思うが」
姫君は「ぼーさんは特別!」と、微笑みながら話す
その事が、何故か気に障る若君ではありましたが、深く考える事を放棄して姫君に話の続きを求めます
「元々アタシのお爺ちゃん、ぼーさんにとっては伯父さんがその地位に居てね、そのお爺ちゃんが引退する時に、ぼーさんを跡継ぎにするって宣言したの。一番霊力が強かったからね。でも、ぼーさんは面倒臭いから嫌だとか言って、よく怒られてたんだ」
「本人が拒否しようとも周りが許さぬ程の能力者か........」
姫君の言葉に、先ほどまでとは違う意味で “ぼーさん” に興味を持たれた若君
幸か不幸か、ぼーさん本人は、その事実を知る事はなかった
「棚機(たなばた)つ女(め)は一年に一度しか逢えないのに寂しくなかったのかなぁ」
「逢えぬ日を思い嘆くよりも、逢える日を喜ぶ方が僕は建設的だと思うが」
桃の入った器を手にぽつりと呟かれる姫君
特に応えを求めていた訳ではないので返った言葉に驚いた顔で若君を見る
そんな姫君を特に気にするでもなく若君は「違うか」と素っ気なく訊ねる
「ううん、違わない..........逢える日があるのは幸せなことだよね」
若君の言葉を反芻し姫君は、ふわりと微笑み月を見上げた
その顔(かんばせ)はいつもより大人びており、まるで月の迎えを待つかぐや姫の様であった
「めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな」
「.............そこまで馬鹿ではないらしいな」
月を見ていた姫君の口から零れた歌に若君は少しだけ目を見張った
そして口唇を引き上げて微かに笑むと歌を返した
それはまるで後朝に交わす歌のようであった
「ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける」
end
=== 小倉百人一首より ===
めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな(紫式部)
※めぐりあって見たのは月かどうかもはっきりしないうちに雲にかくれてしまった夜中の月のように
やっとお会いしたあなたはあっというまに帰ってしまわれた ゆっくりお話したいと思っていたのに
<勝手に意訳>
初めて逢った日、あなたがどういう人なのか判らないくらいの短い時間しか
一緒に居られなかった、もっとゆっくり話したかったのに
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける(紀貫之)
※あなたの心は、どうだか知らないが、むかしなじみのこの里の梅の花だけは
むかしとかわりなく よいかおりで美しくさいている
<勝手に意訳>
お前の心の中は僕には判らないけれど、お前はまるで故郷の花のように咲き
僕にとってはよく馴染んだ存在となっている
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