*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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※注意※若君と姫君は幾度か逢瀬を重ねて仲良くなったあとの設定です
「もうすぐ乞巧奠(きっこうでん)だね」
「...............あぁ、宮中では中々忙しそうではあるな」
静かに書物を読む若君の隣りで姫君はうっとりとした様子で月を眺めていた
この様は若君と姫君が知り合ってもう直ぐ1年という歳月が経とうとしているが
若君も姫君も世間の風習に疎く、3日通えば結婚したと世間一般に認められ
露顕(ところあらわし)を行い夫婦となるのが倣わしであるにも関わらず
それ以上の時を共に過ごそうとも、そのような雰囲気は微塵も感じられぬのであった
これに姫君付きの女房は「なんと嘆かわしい」と袂で涙を拭う真似をするも
当の若君たちが歯牙にも掛けぬのでどうしょうもなかった
しかし今ではそんな2人の逢瀬に微笑ましいと頬を緩める事もしばしば
うちの姫様には丁度良い速度かもしれないと若君の来訪を心待ちにしているのであった
そんな女房たちの心はいざ知らず、若君と姫君は今日も色気のない会話を繰り返すのです
「宮中の乞巧奠ってどんな事するの?」
「特に変わった事はしない。豊穣を願い、桃、茄子(なす)、熟瓜(うれうり)、鮑などを供え手習い向上を願い、五色の糸と布はもちろん、琵琶、笙(しょう)、硯、筆なども供える。あとは暇な奴らが梶の葉に古歌を書いたりして詠み合ったりしている事もある」
「ふーん。何かいっぱいお供えするんだねぇ」
「僕に言わせれば、存在すら不確かなものに祈る暇があるなら練習すれば良いと思うが」
「そんな身も蓋も無い」
「祈って上手くなるのなら誰も練習などしない」
「ま、そうだけど。ナルは出席するの?」
「無駄」
「........................」
宮中の行事を一刀両断に切って捨てた若君は再び手の中の書物に目を落とした
2人の言葉が切れたのを見計らったかのように御簾の外から女房の声が聞こえた
「失礼致します。法生様より姫様にと桃を頂戴致しましたのでお持ち致しました」
「ぼーさんから!?うわー、美味しそう♪」
「ふふ。乞巧奠のお供え物として御用意なさったらしいのですが量をお間違えになられたとかで、よく冷やしてお出しするようにと氷もご持参下さいましたので甘さが際立っているかと」
「ぼーさん?」
「滝川法生(たきがわのほうしょう)様は姫様の母君の従兄弟にあたる方で、姫様を実の娘のように可愛がって下さっており、時折こうして贈り物をして下さるのです」
耳慣れぬ単語に反応し小さく呟かれた若君に言葉を返したのは女房であった
姫君は差入れられた桃に夢中で若君の小さな声に気付かれる事はなかったのです
「法生様が姫様に贈られる品に万一にも手落ちはございませんので、どうぞ若君もお召し上がり下さいませ」
そんな姫君のご様子に深い笑みを浮かべながら若君に頭を下げると女房は部屋を辞した
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