*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「ナルナルナル!」
「何だ?」
「ウェストミンスター宮殿に行ってみたい!」
「ご自由に」
「ひーとーりーじゃ、むーりーぃ」
「じゃぁ、諦めるんだな」
「次の休みに連れてってーーーーーーー」
「お断りします」
「なぁるぅぅぅぅぅ」
「煩い」
「おーぼー!!」
キャンキャンと仔犬が吠えるように叫んでいるのは日本から博士に連れられてやってきた、マイ・タニヤマ。
つい先日やって来たにも関わらず、明るい性格とキュートな笑顔で研究室の人間の心を掴んで放さない。
もちろん私だってマイが好きよ。
あの笑顔で「頑張って」なんて言われたら、徹夜明けだって頑張っちゃうわ。
そんな彼女が喚いている相手は、言わずと知れたオリヴァー・ディビス博士。
新進気鋭の天才、但し性格と社交性に難あり。
自信を失いたくなければ逆らうな、などココでは有名な話だ。
仕事に対して一切の妥協を許さず、本と研究以外に興味無し、数日徹夜しやっとの思いで仕上げた
報告書を、無言で突き返され涙した研究員は数知れない。
一部の勇気ある(無謀とも言う)研究員が、どこが悪いのか教えてくれ! と説明を求めたら身の毛も弥立つほどの視線と共に容赦無い酷評が降り注いだと言う。
他人と馴れ合う事、能力の所為もあるが、特に触れる事を毛嫌いする博士が、奥の個室になっている自身の研究室ではなく、他の研究員たちの居る部屋に留まっているいるなんて....
まして紅茶片手に休憩している姿など、見た事も無かった。
と言うより、一度、自室に篭ってしまえば出て来る事など皆無だったのだ。
でも、マイが来てからというもの午後3時前後になると決まって博士は部屋から出て来る。
そしてただひと言「麻衣、お茶」と。
特に用事があるわけでもないのに博士は本を片手にソファーへ留まるのだ。
はっきり言って初めてその光景を目にした時、私は自分の瞳を疑ったわ。
同じく仕事バカなリンまで一緒に座っている事があるのだから、さらにビックリよね。
で、今は休憩中とはいえ、博士がマイの言葉に対してきっちり受け答えしてるのよ。
視線は本に落とされたままだけど......
他人を徹底的に無視する博士様とは思えないわ。
「ここって、こんなに騒がしい部屋だったかしら?」
博士たちには聞こえないよう小さく呟いた私に周囲から苦笑が漏れる。
皆も考える事は同じらしい。
「博士の身も凍えるような視線を受けてまで騒ごうなんて物好き居なかったもの」
「何でマイは平気なのかしらね?」
「マイに言わせると、博士は可愛いらしいわよ」
「「........ゴメン、どこが?」」
「それはマイに訊いてちょうだい」
唖然としたように大口を開けて固まった友人2人に私は肩を竦めてみせる。
そんなの私に判る訳ないじゃない。
この広い世界に、オリヴァー・ディビス博士を可愛いなんて言ってのける女性はマイくらいよ。
「今日は早く帰ろうねー」
「なぜ?」
「今朝、ルエラが “待ってるから早く帰ってきてね?” って」
「....僕は聞いてないが?」
「うん。だって、ナルに言っても忘れるだろうから、アタシに連れて帰って来てね♪ って」
「..........」
「いつ見ても思うんだけど、マイは偉大だわ」
溜め息と共に思わず出てしまった私の言葉に、皆が大きく頷いた。
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