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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「何だこの報告書はルイスお前は文章もまともに書けないのか? こちらの報告書解析が不十分だ、担当者へ突き返せ」
「は、はい!」
次々と飛ぶ指示。
今も別の研究員に指示を出しているのは、この研究室の若き責任者オリヴァー・ディビス博士。
突き返された報告書を持って席に戻ると同僚のセシアが笑いながら言った。
「相変わらず博士様のご機嫌は最低のようね」
「オリヴァーの機嫌の良い日なんて見た事無いけどね」
「確かに」
軽い冗談で返せばセシアからも苦笑が帰って来た。
しかし突然背後から掛けられた声と内容に背筋に冷たい筋が通った。
「お二方は随分と余裕がお有りの様で? この分ならその解析は三日も有れば終わらせて頂けるのでしょうね?」
「む、無理!!」
「優秀な研究員で助かります」
「無理だってばオリヴァー!! 俺もう、三日も家に帰ってないんだぜ〜」
「喚いている暇が有るなら仕事して頂けますか?」
「止めておきなさいルイス。あなたが博士に勝てる訳無いでしょう」
立ち上がって抗議するも、煩い。の一言で切捨てられた。
取り付く島もないとは正にこの事だろう。



「うにゃーーっ!!」
突如、静かな研究所に相応しく無い悲鳴が響き渡った。
「何だ?」
「さぁ?」
「女の子、の悲鳴よね?」
訪ねるも皆、困惑ぎみに声が聞こえた扉の方を見ている。
「は、放してくださーい!!」
「だーめ♪ リン、ぜぇーったい逃がさないでよ!」
あの声は...? と認識する前に扉をノックする音と共に、オリヴァーこと、ディビス博士の上司にあたる
森まどかチーフが笑顔で現れた。
コンコンコン
「ナルー!! 元気に仕事してるー? 根詰め過ぎたら倒れるわよー。そーんな、ワーカーホリックなあなたに!はい、お届けもの♪」
「まどか、僕は忙しいんだか.....」
オリヴァーに口を挟ませない弾丸トーク。
チーフ、その後の不機嫌なオリヴァーの攻撃は我々に返ってくるんです!! 止めてください!!!
あぁー、ほら! 声が一段と低く.....と、そこまで考えた時、森チーフの後ろから現れたのは 林 興徐。
この研究所でオリバーと同等に話せる希少な人だ。
オリバー同様 何を考えているか判らない程の無口で無愛想な彼の腕の中に、少女が一人。
...おそらく先程の悲鳴の主だろう。リンと少女。 
..........何て似合わない組み合わせ。そう思ったのは僕だけじゃ無いだろう。
「だーかーら、そんな荒んだナルに癒しのお届け♪」
「リン」
「無理です」
「リンさーん、降ろして下さいよー」
「すみません。まどかに言って下さい」
め、珍しい。リンが苦笑とは言え笑ってる。確かにリンの腕の中に居る少女は小動物を彷彿とさせ可愛いらしい。
東洋的な顔立ちをしているが、全体的に色素が薄く、髪は蜂蜜のように透明感の有る色で瞳も赤みがかった茶色。
...何と言ったか? 鳶色? だったか? 年齢は判らないが僕よりは年下だろう。多分。
「まどかさ〜ん」
「ナルが良いって言ったらね♪ で、どう?」
相変わらずの笑みを浮かべるチーフ。これはいつも通り。何ら驚く事では無い。
しかし、少女が口を開いた次の瞬間、オリヴァー・ディビス博士の研究室に居る十数人に激震が走った。
「ナルー、助けてよー」
「............」
「ナルぅー」
な、な...なる?  
事も在ろうに少女はディビス博士の事を、博士でもオリヴァーでも無く愛称で “ナル” と呼んだのだ。
ハッキリ言って僕らがそんな風に呼ぼうもんなら明日の朝日を見る事は叶わない程のブリザードに晒され.....
否、これ以上考えるのはよそう。徹夜明けの精神に良く無い。
少女はそんな僕らの心の葛藤に気付かず、オリヴァーを呼んでいる。
「ナールー。ナールナルナルナルナルナルナルナル」
「..........変な呼び方をするな」
「じゃぁ一回で返事してよー」
むーっ、と頬を膨らませる少女に対し、博士は大きな溜め息と共に一言。
「.....麻衣、お茶」
は? お茶? オリヴァーの言葉に思わず目が点になった僕。しかし、少女やリン、チーフには通じたらしい。
「はぁ〜い。リンさん降ろしてー」
「お疲れ様でした、谷山さん」
...とりあえず、マイ・タニヤマ それが彼女の名前らしい事は判った。
「お許しも出た所で、麻衣ちゃん。帰りはナルと一緒に帰って来てね♪」
「は?」
「まどか?」
これは僕らだけでなく、オリヴァーも少女も意味が判らないらしい。
少女は首を傾け、オリヴァーは眉を顰めている。
「私これから打合せなの。運転手はリン。相手はベルフォード卿。連れて行けないでしょう? それともナルが行く?ルエラたちも待っているわ。今日は諦めて早目に帰りなさい」
チーフがそう言うとオリヴァーは苦虫を噛み潰した様な顔でチーフを睨む。が、チーフには通じない。にっこりと笑うと彼女は去って行った。
ルエラは確かオリヴァーの養母。少女はオリヴァーと一緒に帰る... 家族に紹介済み....?
えーっと、普通に考えたら恋人......オリヴァーに恋人!? 本で無く?
そんな僕の取り留めの無い思考を打切ったのはオリヴァーの溜め息だった。
「はぁ。 .....麻衣、お茶」
「はーい。ナル、給湯室ってどこ?」
「こっちだ」
給湯室に向かうオリヴァーの後ろを付いて行く少女がクルリと振り向き僕らに話しかけた。
「皆さんも飲みます、紅茶?」
「へっ!? あ、お、お願いします」
にっこり微笑む少女につられ笑いながらお願いすると、不機嫌なオリヴァーが振り返った。
「麻衣」
「何よー」
「放っておけ。仕事もまともに出来ない奴に休憩なんて必要ない」
「あのねー、自分を基準にするんじゃ無いの。誰も彼もがナルと同じ様に寝る時間も削って仕事に没頭するワーカーホリックじゃ無いんだから。適度に休憩しなきゃ出来るもんも出来ないでしょうが!」
「十分休憩している様に見えるが?」
「あんたが持込んだ大量の仕事の所為で徹夜してフラフラなんでしょう!ちょっとは労ろうと思わないの!?」
「僕の都合に関係なく呼び出したんだ。それ位やって当然だろう?」
「呼び出したのは、お偉いさんで彼らじゃないでしょ! 八つ当たりするんじゃなーい!! ナルは要らないんだね、紅茶?」
「そうは言って無い」
「じゃぁ、休憩だね?」
にっこりとチーフそっくりな笑みを浮かべながら訪ねる少女に、我らが博士様は完敗したらしい。
ぐっと押し黙ったのち、付いて来いと給湯室へと消えて行った。


「すげぇ。俺、オリヴァーが口で勝てない女の子なんて初めて見た」
「彼女は博士の何なのかしら?」
「さぁ? 訊いてみる?」
「オリヴァーが答えるかねー?」
「そこはあなたの腕の見せ所でしょう?」
「.....骨は拾ってくれよ」




end





 

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