*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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「アンバランスな距離感」Discolo(配布)選択式お題より
「うわー凄い雨」
「台風だからな」
窓に手を付き外を眺めているのは、バイトとして雇った人間のはずだ。本来なら仕事をしろと言いたい所だが、今日は特にこれといった作業がないので仕方がない。
まあ、だからこそ僕がここで本を読んでいる訳だが……
「あーあ、せっかくおにゅーの靴だったのに…」
「………馬鹿め」
「なにおぅ!?」
思わず零れた言葉に、麻衣は目を吊り上げて噛み付いてくる。
馬鹿を馬鹿と言って何が悪い。今日は元より、昨日ですら台風がくると騒いでいたのは、自分だろうに。
「否、馬鹿以下だな。今日が雨な事は、馬鹿でも知ってるからな」
「うぬぬぬ……でも履きたかったんだもん」
「自業自得」
「わ、わかってるもん」
「なら黙ってろ」
「………」
不満そうな顔をしてはいるが、ようやく黙ったか。
僕は本を読みながら、こっそり溜息を吐く。
ちらりと視線をやれば、未だ窓の外を恨めしそうに睨みつける麻衣が見える。
馬鹿め。
生まれてこの方、兄でさえ理解できなかったが、麻衣は更に上をいく。今日の事もまったくもって理解不能だ。
だが、自分の頭にこの単語が浮かぶ事もまた理解不能だ。
そしてまた麻衣の反応が予想できる事も………。
「麻衣」
「……なに」
「お茶」
「ふぁーい」
一応仕事をする気はあるらしい。僕の言葉に立ち上がった麻衣は、給湯室へ向かう。
その背中に、僕は再び声を掛ける。
「帰り………もし雨が降ってたら」
「降ってたら?」
馬鹿らしい仮定。これからどんどん台風が近付いて、雨が止むはずもないのに。
鸚鵡返しに首を傾ける麻衣も、きっと僕の言葉は予想外。
「送ってやる」
「!?」
「お茶」
「はーい!!えへへ、とびっきりのいれるね」
先ほどとは打って変わって、馬鹿っぽい笑みを振りまきながら給湯室に向かう麻衣。
悪くはないな。
僕は、紅茶が淹れられるまでの僅かな時間、再び本に目を落とした。
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