*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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しんっと静まり返った朝。
いや、朝というにはまだ早すぎるかもしれない刻(とき)。
鳥のさえずりさえも聞こえない静かな時間が麻衣は好きだった。
太陽の光が降り注ぐ前の深い藍色の空。
魂が吸い込まれそうになる。
その静寂を脅かさない様、静かに息を吐けば、キンと冷えた空気の中に白い残像が浮かんでは消える。
やがて、東の空に一筋の光が産まれ、世界を優しく照らし出す。
チュンチュンと雀の鳴き声が聞こえたと思えば、遠くで車のエンジン音が聞こえる。
朝の陽の光と共に、世界が動き出した音が響く。
「きれい」
はーっと両手に息を吹きかけながら、ゆっくりと昇る朝陽を見る。
どれくらいそうして居ただろう?
指先が完全に冷えきっているから結構長かったのかもしれないが、背後から呆れを含んだ声が掛けられた。
「何をしている」
「あ、ナル。おはよう」
麻衣の答えが気に入らなかったらしいナルは眉を顰める。
「風邪を引きたいのかお前は」
「あたし丈夫だし」
にっこり微笑む麻衣に、諦めたのかナルは部屋の中に戻った。
そんなナルを追い掛けるでもなく、麻衣は再び朝陽に顔を向ける。
朝の音に耳を傾け、目を閉じていた麻衣の前にふわふわと湯気の上がる紅茶のカップが差出される。
「ナル?」
キョトンとした表情の麻衣に、ずいっとカップを差出す手。
その有無を言わせない行動と眉間の深い皺に、麻衣は笑った。
「ありがとう」とカップを受け取った麻衣の背後に立ったナルは優雅にカップを傾ける。
不器用だけど優しいこんな行動が見られるから、この癖は中々抜けそうにないと言ったらナルの眉間の皺はもっと深くなるのだろう。
その時の表情と溜め息を想像して、麻衣は再び笑う。
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