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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「本当に何も見えないのか?」
「あぁ、そのようだ」

心配そうに訊ねたエドワードに返ったのは静かな肯定の言葉。
何でもないように言われたその言葉にエドワードの顔が曇る。
あのホムンクルスとの戦いでロイはその視力を奪われた。
それは理不尽な奪われ方だった。
人体錬成を己の意志で行った自分たちは当然の報いだと思う。
でもホムンクルスの都合で人体錬成など望んでいなかったロイが一方的に真理に対価を奪われるとは、それが真理だなどと到底許容できるハズが無い。
エドワードは壊れることを恐れるように、そっとロイの頬に触れた。
手に伝わる温もりが、自分もロイも生きているということを実感させてくれる。
そんなエドワードの様子に少し困ったように首を傾げる。

「.....何?」
「いや...........君から私に触れてくれるなんて中々なかったシュチェーションだなと」
「アンタ、バカだろう」
「酷いな君。私は久々に恋人と二人っきりの時を過ごせると喜んでいるのに」
「...........やっぱりバカだよ、アンタ」

泣き笑いのような表情になったエドワードの口から発せられるのはいつもの憎まれ口。
ちょっとだけ今の顔をロイに見られなくて良かったと思うエドワードだったが、ロイには例え顔が見えずともエドワードが何を考え、どんな表情なのかは手に取るように判る。

「君だけが見えれば十分だよ」

そう茶化し笑うロイにエドワードは「はぁ!?」と怒りの目を向ける。
アンタさっき何も見えないって言っただろうが!!と叫ぶエドワードに対しロイは自信たっぷりに応える。

「君の顔なら心の瞳でしっかり見えるとも」
「..............っばっかじゃねーのっ!!//////」
「そんな真っ赤な顔で睨まれるとイタズラしたくなるな」

くすくすと笑うロイが本気んんだか冗談なんだか判らずエドワードは口を閉じる。
こういう時に口を開けば墓穴を掘りまくって流されることは判り切っている。
流されてなるものかという思いを篭めて睨み付ければロイはようやく笑いを引っ込めた。

「茶化してんじゃねーぞ」
「冗談で言ってる訳じゃないよ」
「じゃーどーいう意味だ」
「君の目に世界はどう見える?」

怒りを孕んだエドワードの言葉に今度は真面目に応えるかと思えば、質問を質問で返すロイ。
顳かみに青筋が浮かびそうなエドワードに「そうじゃない」とロイは言う。

「私の目にもう何も映ることが無いのだとしても世界は止まっている訳じゃぁない。もちろん私の時間(とき)も望む望まないと別として容赦なく進んで行くだろう。目が見えない、ただそれだけのことで立ち止まっている時間は私にはないのだよ、鋼の。それにこの国に目が見えない人が何人いると思ってるんだ?片腕や片足のない人は?難病を患っている人は?その人たちはただ嘆いて暮らしているのか?違うだろう?人というものは意外にしぶといものだ。私の目が見えないなら他のものの目を借りればいい。幸いにも私の周りには中尉しかりハボックしかり支えてくれる部下が居る。私を支持してくれる街の人たちが居る。だから私の目が見えずとも彼らに聞けば良いんだ。今、国はどうなっている?と。ほら大したことじゃぁない」

穏やかに笑いながら言うロイの言葉は一理ある。
足が片方なくても生きてゆける。腕が片方無くとも未来は攫める。
その人たちは決して不幸なんかじゃぁない。
けれど、国のトップに立とうとする人間が目が見えないというのはこの権力争いの中では致命的なことのハズだ。
でも...........それでもアンタは笑うんだな。
トップに立つことを諦めずに、足掻き続けるんだな。
エドワードはロイと初めて逢った時のことを思い出し眩しそうに目を細めた。
世界の全てを遮断して生きる屍と化していた自分の前に現れたこの男は、漆黒の髪と瞳をしていたにも関わらずエドワードには鮮烈な光そのものだった。
一度全てを諦めた自分が再び立ち上がることができたのはロイの言葉があってこそだ。
途中、崩れそうになった時も支えてくれたのはこの男だった。
エドワードは取り戻した右手をぐっと握り込むと、真っ直ぐにロイを見据えた。


「俺が、あんたの目になってやるよ」

「鋼の..........」


エドワードのその真摯な言葉にロイはあとの言葉が続かない。
確かに自分は言った「他のものの目を借りればいい」と。
だがエドワードの言葉にはそれ以上の意味がある。これはきっと自惚れではないハズだ。
ソファに座ったまま動けないでいるロイの前に立ちその手を取り自らの胸に抱き込む。


「俺があんたを支えてやる」




end  





お、おかしい。ギャグの予定だったのに....エドさんが格好良すぎる所為だw
もう感動したロイさんに押し倒されちゃえば良いよ☆ってことでおまけ


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