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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「そ、そんなつもりじゃ...」

薄暗い部屋の中、間近に迫った影に慌てて後ずさるのはまだ若い女。
片や壁際に女を追い詰めた男は、そんな事を許すほど甘くも優しくもない。

「観念しろ」

低く囁かれた声は酷く甘美で女の身体を揺さぶる。

「っ、な.....る」
「...麻衣」

潤んだ瞳で見上げながら自分の名前を読んでくる麻衣にナルは手を伸ばす。
ピクリと震える身体に言い様のない感情が沸き上がる。
顎に手を添え持ち上げた顔に浮かぶは羞恥と期待....そして僅かな怯え。
その事が面白くなく、その身体を強く壁に押さえ付けた。
言葉を紡ごうとする唇を塞ぎ音を奪う。

ふ...っ......ぅ...

途切れ途切れに上がる声により一層深く口内をを侵す。
昔、無理矢理見せられた醜い感情に似た思いを、まさか自分が持つ事になろうとは思わなかった。






事の起こりは昼の事務所。
いつもの如く訪れた松崎綾子の持ち込んだモノの所為....

「麻衣、あんたナルと一緒に住んでたわよね?」
「へ? 」
「これあげるわ♪」

麻衣の淹れた紅茶を飲み、事務所の効き過ぎた冷房で涼んだ綾子。
「あ、そうだ」と呟くと持って来た包みを麻衣に向かって放り投げた。
新々気鋭の博士様お墨付きの麻衣の第六感が、コレハキケンダ と告げている。

「コレ....何?」
「家に帰ったら開けてもいいわ」
「.........」
「ナル、使い方は麻衣に聞きなさいね」
「?」

突然話題を振られたナルが首を傾げる中、綾子は満足そうに微笑み去って行った。

「何だったんだろう....」
「さぁ? それは何だ?」
「..........なんだろうね?」





手の中の包みが気にはなったが、律儀な麻衣はちゃんと家に帰るまでは開けなかった。
資料の整理が大変で忘れてたとも言う。
食事もお風呂も終え、あとは寝るだけという時にその存在を思い出した麻衣。
早速、中身を見てみようと包みを手に取った。
ちなみにナルは書斎にお篭り中なのできっと数時間は出て来ない。

「何かな〜♪ .......ん?」

ガサガサと包みを開けば、出て来たのは枕だった。
淡いピンクとブルーの枕......
麻衣は自分の頬が ヒクっと頬が引き攣ったのが判った。

「何だそれは?」
「ナナナナナ、ナル!!? 何で? 本は!?」

背後から聞こえた低い声に麻衣は飛び上がった。

「読み終わった。で、それは?」
「あー....っと.....その〜、綾子がね」
「あぁ。使い方は麻衣に訊けと言っていたものか。で、どうやって使うんだ?」

麻衣は心の中で綾子を盛大に罵った。
なんてモノをくれたんだ!!

「いや、あの....ねぇ?」

何とか誤摩化したい。誤摩化したいが.......
誰もが見惚れる笑みを浮かべたナルに顔を覗き込まれ、麻衣はようやく観念した。





<おまけ>


「ち....ちょっ、と!!」
「何だ?」
「こ、この体勢は....////」
「ご自分の発言には責任を持たれるべきかと」
「?」

何の事だか判らない様子の麻衣にナルは意地の悪い笑みを浮かべた。
無論、麻衣が恥ずかしがっている体勢のまま。

「僕は訊いたんだ。“YES or NO?” と....」
「し、知ってるよ! だから、あ、あたしは “NO” って!」
「否、僕にはそうは見えなかったが?」
「は!? 何でよ!! YES NO 枕の裏が “NO” だもん!!」
「あぁ。その向きで出せば “NO” だな」
「........向き?」
「さっき、麻衣は......上下が逆だった」
「逆.......」

首を傾げ枕を眺める麻衣の目の前で、ナルはぐるっと枕を逆さまにする。

「 “NO” を逆さまにすると “ON” .....ほら、麻衣は僕の上に乗りたいんだろう?」
「なっ! な、な、な、な、な、な、な、な.............」

顔を真っ赤にさせてただ一音を叫び続ける麻衣。

「ご理解頂けたようで?」
「い、いや!! 何て言うか! その......あは、あははは」
「そんな誘われ方をするとは、さすがの僕でも予想できなかったな」

何とか逃げ出したい麻衣だが目の前の “コイビト” が許してくれるハズもない。
そもそも、まだナルの脚を跨ぐ様に座らされた上に、腰をガッチリと抱え込まれているのだから逃げるどころか動く事もままならないのだが....
他人に触れる事を厭うナルが自ら触れようとしてくれるのは嬉しい。
べ、別に...その、スルのが嫌...なんて事も絶対に無い。
無いんだけど.....
恥ずかしいモノな恥ずかしいのだ!!

「うぅぅ〜ぅ/////」

そっと窺ううようにナルの顔を覗けば、右手で首筋から肩のラインを撫でられ、逆の手で太腿を撫で上げられる。
ピクリと身体は正直に反応してしまう。

「麻衣?」


あなたが私の名前を呼ぶ.......それがきっと最後通告。
この体勢は非常に...本当に顔から火が出るほど恥ずかしいけれど。
逃げられる訳が無い。


だって私は.......


今度こそ抵抗を諦めた麻衣はナルの首に両手を巻き付けた。



end



りんさん、遅くなってすみませんでしたー(土下座)
チャットで「YES NO 枕 NOは向き間違うとON」の発言に則って書かせて頂きました。
エロは中途半端だし、ナルはアレだし、体勢は......何も言うまい。
この様な品になりましたが、どうかお納め下さいませ。
朽葉


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