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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「どうしようか?」
「......」
「悩むなぁ〜」
「...本人に聞けば良いんじゃないか」
「ダメ!! 内緒にしててビックリさせるんだから!」
「......」
「ナルは何がいいと思う?」
「......」
「万年筆、時計、ネクタイ、シャツ.......ありきたりだよね」
「時計なんて無理だろう、そんな金がどこにあるんだ」
「もう! そんな事言うんだったら、ナルが考えてよ!!」
「無理に決まってるだろう」
「......そんな自信たっぷりに言わないでよ」


がっくりと項垂れたジーンは側にあった休憩用の椅子に腰を降ろした。
2人が訪れているのは大型のショッピングセンター。
間近に迫った6月の第三日曜日....そう、父の日の贈り物を買うためにやって来たのだ。
しかし、悩み始めて数時間。文房具屋、時計屋、紳士服売り場、父の日特設スペースなど、散々回ったのにまだ決まらないのだ。理由ば簡単、マーティンならば何でも喜んでくれるだろうが、どうせ贈るなら一番喜んでくれるものを、と考えるのだが浮かばない。
それも仕方ない事だろう。これは双子にとって初めてのプレゼント選びなのだから。
先月の母の日は、その存在を知らずに過ぎてしまったのだ。
よって、父の日に母の日のプレゼントも一緒に贈ろうと心に決めている。
ちなみに、ルエラへのプレゼントも未定だったりする。

「うぅぅ、どーしよう? まだルエラへのプレゼントも決まってないのに....」
「母の日は、花を贈る事が多いと聞いたが?」
「....ありきたりだけど、ルエラは花が好きだしね。父の日はネクタイが多いって言うよね?」
「考え過ぎて変な物を贈るよりば良いんじゃないか?」
「う......そうだね。じゃぁ、紳士服売り場と花屋に行こうか」
「あぁ」




「ただいま」
「お帰りなさい。あら? オリヴァーだけ?」
「ジーンはあとから帰ってくる」
「そう。じゃ、先にお茶にしましょうか?」

リビングのソファーに座ったナルとその向かいに笑顔で座るルエラ。
テーブルにはルエラお手製のお菓子と紅茶。

「今日は2人でどこへ行っていたの?」
「図書館に」
「ジーンも?」
「30分だけ、あとは何か色々連れまわされた」
「あらあら、楽しかった?」
「...疲れた」

本気で疲れたらしいナルの実感の篭った言葉にルエラは笑う。

「たっだいまーーーっ!!」
「お帰りなさい、ジーン」
「ただいま、ルエラ。僕のお菓子は?」
「はいはい、ちゃんと有りますよ」

くすくすと更に笑みを深めたルエラはジーンのお菓子と紅茶を取りにキッチンへ向かった。

「首尾は?」
「上々! ナルの部屋のクローゼットに入れたからね」
「?」
「なぜって? だって僕の部屋はルエラが入っちゃうかもしれないじゃない」
「悪知恵だけは働くんだな」
「.....ナル、僕泣いちゃいそう」




「ルエラ、マーティン。ちょっと良い?」
「どうかしたのかい、ツインズ?」

あの後、マーティンも帰宅し、家族揃って食事を取り一息付いた所でジーンが両親に声を掛ける。
マーティンが不思議そうに訊ねるのは、ジーンはともかく、いつもなら自室に引上げている
ナルがまだリビングに居るからだろう。

「えーっと、その....」

言い難そうに視線をズラすジーン。指でおデコを掻きつつ、“あー” とか “うー” と言っている。
見かねたナルが溜め息を吐きつつ、両親の為に用意したプレゼントを差し出す。

「...これを」
「.......私たちに?」
「こっちはルエラ、この箱はマーティン」
「その.....父の日と、過ぎちゃったけど母の日のプレゼント、なんだけど」
「まぁ! 」

息子たちからの突然のプレゼントに2人はとても驚いた。
先方引き取って養子に迎え入れた2人の息子は、とっても可愛いらしく、愛すべき存在である。
彼らは産まれてから置かれていた環境の所為で守られる事を良しとはしてくれなかった。
彼らが自分たちに何かをしたいと思う程に懐いてくれるのは、まだまだ先の事だと思っていたのだ。
しかし無表情なものの、どこか不安そうに差し出す息子と、頬を染めて照れながら反応を窺う息子。
そして何より手元に渡されたプレゼントが、ルエラとマーティンの心を温かくする。

「キレイなお花ね。良い香り....2人ともありがとう」
「私のは、何かな? ....開けても、良いかい?」
「えへへ。うん、もちろんだよ!」

ガサガサと、とても丁寧にラッピングを剥がしていくマーティン。
おそらくこの箱もリボンも、ラッピング用紙も大事に取っておくつもりなのだろう。

「あら、ネクタイね。ふふ、マーティン付けてみたら?」

箱を覗き込んだルエラの言葉に頷き、マーティンはいそいそとネクタイを付ける。
いつも笑顔だが、今日は一段と顔が緩んでいる気がする。

「どうかな? 似合うかい?」
「えぇ! とっても素敵だわ、マーティン!!」

「あぁ、本当にありがとう、ツインズ。こんなに嬉しい事は初めてだよ」
「本当に....ありがとう。ユージン、オリヴァー」

両親の言葉に顔を見合わせたナルとジーンは、ほっと息を吐く。
どうやら2人の贈り物は気に入ってもらえたようだ。
視線を戻せばやはり嬉しそうに笑ってくれている両親の姿がある。
その事にジーンは笑う。

「マーティン、ルエラ。僕たちを家族に迎えてくれてありがとう」
「........ありがとう」





end  


どうやら最近、双子話に目覚めららしい朽葉です。
双子、初めて両親にプレゼントを贈った日の出来事でしたー。  
既に父の日を●日オーバー.....
だって思い付いたの 22日だもん(今年のちちの日は 21日/笑) 
ー 父の日記念フリー小説 ー
フリー期間は(2009年6月30日を保ちまして)終了致しました。
今のお持ち帰りは禁止です。ご了承下さいませ。


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