*藤袴 -thoroughwort-*
☆次回イベント予定☆ ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★
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ここは渋谷、道玄坂にあるSPRの事務所。
いつもの様に足を踏み入れた綾子と滝川は目の前の光景に固まった。
応接ソファーの座るは事務所に咲く一輪の花、谷山 麻衣。
その向かいにリンが座っている事に何ら問題ない。
しかし、麻衣の隣りに、ちょこんと存在する姿がいつもの光景とかけ離れていた。
「ち...ちっこい、ナルが居る」
うわ言の様に呟いたのは滝川。
有り得ないだろうけど、有り得そうな事に思い至り訊ねてしまったのは綾子。
「麻衣.....あんた、いつ産んだの?」
「う、産んでないっ!!!」
「お、お前!! な、何て事言うんだ!!」
真っ赤な顔で否定するのは麻衣。自称パパもその発言に憤慨する。
「マイ、うるさい」
「な、何で私だけ...」
子供特有の高めの声だが、漆黒の髪と瞳、そしてその容姿は紛れも無くオリヴァー・ディビスその人である。
但し、どっからどう見ても5歳児な事を除いては.....
「マイ、そのマヌケそうなのは、知りあいか?」
「「......」」
可愛い声の癖に言葉の内容は辛辣だ。綾子と滝川の頬も引き攣っている。
「ぼーさんと綾子だよ、昨日言ったでしょ」
「.....プリーストとシャーマンには見えないな。マイ、おちゃ、おかわり」
「はいはい。ぼーさんはアイスコーヒーで良いよね? 綾子は?」
「こ、紅茶で良いわ...」
「リンさんはお代わりどうですか?」
「頂きます」
「しかし、何でまたこんな事に?」
「それがねぇ、判んないんだー」
「判んないって、あんたね...」
「谷山さんが発見した時には既にこの姿だったそうで、本人も5歳までの記憶しか無いらしく何がどうなったのか調べようがなくて....とりあえず様子を見るしか無いかと」
「5歳までの記憶が無いって事は、俺たちはもちろん麻衣やリンの事も...」
「えぇ、今のナルにとっては知らない人ですね」
「昨日一通りは説明したんだけどね」
「ナルちゃんは、それを信じるのか?」
「ボクはゲンジツを見きわめることくらいできる。アタマのできがチガウからな...それに、マイはウソをつくニンゲンには見えないからな」
何事もない様に言われたその言葉は、実にナルらしい。
しかし普段なら麻衣がカチーンときて喰って掛かるところだが、今日は静かだ。
気になって麻衣を見ると、何やら口元に手を置き肩が震えている。
い、怒りで震える程ムカついたのか!?
滝川がそんな見当外れの予想を立てていた時、麻衣が動いた。
「ぃやー、もう!! なんっつーぅ可愛さ!!! 普段なら子憎たらしいだけなのに、ちっちゃいだけでこんなに可愛くなるとは!!」
「ま、マイ、放せ!!」
「やーだ♪」
バタバタと暴れるナルを、ぎゅーっと抱き締めたまま “可愛い” を連発する麻衣。
ナルも必死に抵抗しているが悲しいかな今は5歳児、麻衣の腕を振りほどく事はできない。
「ちっこいナル......意外に可愛いわね」
そう呟いた綾子は麻衣の側に移動する。
「ねぇ、麻衣。私にも抱っこさせてよ」
「ズルいぞ綾子! 麻衣、俺にも......」
滝川の声が不自然に途切れた。
「ボクにさわるな」
ピッキーンと凍った空気。
小さくなっても鋭い瞳とブリザードは変わらない。
end
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