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*藤袴 -thoroughwort-*

☆次回イベント予定☆                                                ★2017.8.20.SCC関西23 ふじおりさくら(ゴーストハント)★                  

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「確かこっちに在ったハズなんだけどな...」

ノックス先生の隠れ家のような病院を探す途中に見たのは壊れた街の建物。
これもホムンクルスたちとの戦いの余波だろう。
でも錬成陣の要の建物はホムンクルスたちに護られ残っている。
あれを壊さないと、錬成陣は効力を失わない。それに地下の道も断たなくては。
急ごう。
崩れた壁の向こう側で話し声がする......軍人だ。全員、銃を手に周囲を警戒している。
大佐は大丈夫だろうか? 瞳を閉じると浮かぶは漆黒の輝き。
ブリックスに行く前、ただ一度だけ見た激情を押さえ込んだ深い瞳。

「たいさ........」

はっ!? ち、違うぞ! 考えてない、考えてないっ!!
逢いたいなんて思ったりしてない!!
そんな事考えてる場合じゃないだろう俺!!! と自分に突っ込みを入れつつ、深呼吸する。
だ、大丈夫だ。落着いてきた。

「何を一人で百面相しとるんだ、お前は?」
「ぎゃぁっ!!」

誰も居ないと思っていた所へ掛けられた声に飛び上がってしまった。
恐る恐る振り返れば、忘れたくとも忘れられない女性が仁王立ちされていた。

「ア、アームストロング少将! お、お久し振りデス...」
「ふん、相変わらずみみっちい奴め」
「み、みみっちい...」
「何だ? なんか文句でも?」
「イイエ、メッソウモアリマセン」

ん? と鋭い瞳で訊ねられれば返す言葉なんて決まっている。
片言になるのも致し方無い。人間誰しも命は惜しいものだ。
しかし、一人でこんな所に居るなんてこの人は何をしてるのだろうか?

「まぁ、良い。で、それは何だ?」

アルフォンスの事を訊かれ何と答えたものか悩むが、この人には正直に言うしか無いだろう。

「...アルフォンスです」
「............そうか」

何とも言えない沈黙が降りた時、幾人かの慌ただしい足音が割り込んできた。

「こちらにいらっしゃいましたか、少将! 指揮を!」
「暫し待て! 逃げ遅れ、怪我をした子供が居る。誰か...おい、そこの役立たず!」
「は、はいっ!!」
「車で病院へ。ここに居られては邪魔だ!」
「はっ!」
「他の者はボサッとするな、行くぞ!」
「「はっ!」」

一方的に告げると、少将は去って行った。ただ一人の軍人を残して...

「.......久しぶり。ブロッシュ軍曹」





「衰弱はしているが命に別状は無い。まぁ、数ヶ月の療養生活は強いられるだろうがな」
「そっか、良かった」

ブロッシュに連れてこられたのはノックスの診療所だった。
アルの身体も特別な問題が無いようで、ほっとした。

「それより次はお前だ! とっとと脱げ! ブロッシュ、お前はドアの前で見張りしてろ! 誰も近付けんじゃねーぞ」
「は、はいっ!」

否、俺は別に... と言うセリフは
ノックスの言葉と慌てて出て行くブロッシュの足音、そして扉の閉まる音にかき消された。

「ほら、脱げ。ここには俺しか居ない」

そう言うノックスの瞳には呆れと優しさが浮かんでいた。
エドワードは諦めて、溜め息と共に服を脱いだ。

「.....動き易くしといてくれよな」

腕から肩にかけての怪我に包帯を巻いていたノックスはエドの言葉に眉を顰めた。

「この怪我で戻る気か?」
「........まだ、終わってない」

エドの簡潔な答えと瞳にノックスは息を呑んだ。

「お前は......お前たちは似ているな」
「?」

何が言いたいのか? と見上げたノックスの顔は実に複雑そうだった。
煙草に火を付け溜め息混じりに続ける。

「我侭で、頑固で、融通が利かなくて、馬鹿で.....誰よりも自分に厳しい。心の揺らぎを一瞬で薙ぎ払い、強い瞳で未来(まえ)を見据える。そんな大馬鹿者にそっくりだ」

そう言って笑ったノックスは空いている手でエドの頭を優しく撫でた。

「俺は、そんな強くない」

ノックスの言う大馬鹿者が誰かなんて訊かなくても判る。
自らの信念を貫き、揺るぎ無い瞳で未来(まえ)見据える人。

「強さなんて自分では判らんもんだ。ちっこい身体であんま無理すんじゃねーぞ」
「ちっこい、ゆーなジジィ!」

服を着込めば準備は完了だ。俺は行かなければ。

「アル、しばらく預かってくれ。身元不明で構わない」
「あぁ。気ーつけろや。アイツはセントラルの西側に居るぞ」
「...判った。サンキュ」

そう言い残し、エドは去った。戦いの場に戻る為に。

たった今、金の子供が出て行った扉に向かい紫煙を吐き出す。
ガキだと思ってたが、あんな顔させるとは男冥利に尽きるねぇー、アイツも。
しかし、厄介なのに捕まったもんだ、あの豆っ子........

死ぬんじゃねーぞ




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